正しく恐れて社会参加を……過度な自粛生活での認知症問題
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東京都医師会理事で「西田医院」理事長の西田伸一氏が3月17日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。コロナ禍における認知症と、過度な自粛が引き起こすフレイル(虚弱)について解説した。
新行市佳アナウンサー)コロナ禍における認知症についてお伺いしますが、どういったところが心配でしょうか?
西田)特に独居の高齢者の方に多い傾向なのですが、情報源がテレビなどに限られているため、誇張されたイメージで、過度な自粛生活を強いている方を多く見かけます。孤立と閉じこもりは、認知症を悪化させると思っています。
新行)一人暮らしの高齢者の方は多いと思うのですが、コロナ禍で帰りたくとも帰れないという親戚の方なども大勢いると思います。離れて暮らしている私たちにもできる認知症予防として、どのようなことがありますか?
西田)よく言われていることですが、まめに電話をしてあげることです。テレビ電話があれば、そういったものでも結構ですし、まめに連絡を取り、多少の長話をして差し上げるということも重要なのではないでしょうか。
新行)私は最低限、週に1回は電話をして、母や祖母と会話するように心がけているのですが、そういうことが大切なのでしょうか?
西田)とても重要だと思います。
新行)個人ができる対策としては、どういったことがありますか?
西田)こういうコロナ感染症の蔓延下でなかなか難しいところもございますが、やはり正しい感染対策のもとに、少しずつ社会参加を始めて行くということが、いま求められているのだと思います。
新行)例えば社会参加というと、どういったことが挙げられるでしょうか?
西田)地域ごとにサロンやカフェなど、さまざまなボランティアの取り組みによる集いの場があります。あるいは、介護保険サービスでもいいと思います。あとは老人クラブ等々、何かしらの集団で行動するようなところに参加するのは大事だと思います。1人で目的もなく散歩するだけでは、なかなか会話もありません。感性蔓延下ですけれども、やはり人と接するのは大事なことです。
新行)特に昨年(2020年)は、そういった行動を抑えなければならない時期もあったと思うのですが、認知症の症状というのは、どのような段階を踏んであらわれるのでしょうか?
西田)それは、個人個人でまったく異なっています。認知症の発症は、脳細胞が変化して行くような身体の要因だけでなく、生活環境、性格、生活歴、教育歴、あるいは生活習慣病の有無、聴力などの五感の低下といった、いろいろな要因が関与して来ますので、一概には言えません。ただ、久しぶりに外来に訪れた高齢者の方の身体機能の低下や、認知症の進行を目の当たりにすることが、最近増えているのも事実です。自粛一辺倒ではなくて、今後は世の中の感染状況を見ながら正しい感染対策をした上で、積極的に社会参加を促して行く必要もあると思います。正しく恐れて社会参加を、といったスローガンも重要だと思っています。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます