「蔓延防止等重点措置」は「アンチ変異株」である理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月2日放送)に作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴が出演。宮城県、大阪府、兵庫県での実施が決定した「蔓延(まんえん)防止等重点措置」について解説した。
大阪、兵庫、宮城に「蔓延防止等重点措置」を正式決定
菅総理)本日、宮城県、大阪府、兵庫県について4月5日~5月5日までの期間、「蔓延(まんえん)防止等重点措置」を実施することを決定いたしました。
新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、政府は「蔓延防止等重点措置」を4月5日から1ヵ月間、大阪府、兵庫県、宮城県に適用することを決定した。この措置が適用されるのは初めてのケースである。
飯田)大阪府は大阪市、兵庫県は神戸、西宮、尼崎、芦屋各市。それから宮城県は仙台市という方向で調整ということです。「この“蔓防”と略される表現、何とも緊張感に欠けませんか」と、メールで東京都北区“ハルゾウ”さんからもいただいておりました。「この先どうやって行くのだろう」ということも言われますが、どうご覧になられますか?
官僚用語としての意味合いを持つ「蔓延防止等重点措置」~緊急事態宣言を止めて10日後にもう一度緊急事態宣言を出すことは経済的にも政権へもダメージがある
青山)これは菅総理が「“経済に打撃を与えない”ということと、どうしても両立させたい」という強い意志の表れでもあります。緊急事態宣言を止めました。そして緊急事態宣言を止めたわずか10日後にもう一度というのが、経済的なダメージと政権へのダメージにもつながるので避けたい。そういう意味では、これは本当は官僚用語なのです。「蔓延防止“等”重点措置」、1府2県と言っていますが、本当は大都市に限って、それも飲食店です。店側からしたら「また狙い撃ちにされて8時まで」ということでしょう。
緊急事態宣言が終わったのではなくて、それに「準ずる事態」が出ているということをはっきりさせるべき
青山)経済人からずっと私に要望が来るのは、「中途半端でダラダラやるのはやめてもらえませんか」と。「フランスのように、ロックダウンしてくれないか」という希望が去年(2020年)から来ています。しかし、こういう中途半端路線を取っている。ただ、台湾のように成功した例を別にすれば、世界の先進国と比較すると、「成功してしまっているから、この中途半端路線をやめられない」ということがあるわけです。略して「蔓防」がどうかというのが主な議論ではないけれども、明らかに自粛要請だから気分の問題が大きいので、「蔓防」という意味不明なことになるよりは、「準緊急事態宣言」とするべきではないでしょうか。「準緊」という略語なのかも知れませんが、いずれにしても、緊急事態宣言が終わったのではなくて、「それに準ずる事態が出ている」ということをはっきりさせたほうがいいと思います。
蔓延防止等重点措置は「アンチ変異株」~変異株対策
青山)本当は蔓延防止等重点措置というのは、変異株対策なのです。私は好きではありませんが、カタカナを入れて「アンチ変異株」としたほうが、よほどわかりやすいと思います。変異株そのものはトゲトゲですよね。スパイクですけれども。
飯田)顕微鏡で見ると出て来ます。
青山)トゲトゲに見えるやつです。あそこが変異して、感染しやすくなっている。要するに「感染しやすくなっているから、いままで以上に気を付けなければならない」ということだけなのです。8時に飲食が終わったら、それで大丈夫ということではなくて、飲食をしている途中の座席の位置など、「細かい配慮がいままで以上に大きなポイントになる」ということをみんなに知らせることが大事なのです。都市政策や飲食店のあり方などに焦点があるような、蔓延防止等重点措置というのは、私はよくないと思います。「アンチ変異株」ということなのです。
飯田)昼であっても、たくさんの人が集まって飲食をしていれば当然リスクはあるし、一方で夜中であっても、これができなくなって問題なのですが、トラックのドライバーさんなどが1人で食事をする場合のリスクは限りなく低いではないかという指摘、これも前々からありました。
感染症状の個人差が激しい変異株
青山)それと、皆さんに聞いて欲しいのは、個人差があるということです。変異株になって、感染したあとの症状の個人差が大きいという印象を感じます。医学、疫学の方と話すと、まだデータとしてはっきり出ているわけではないのだけれど、印象としてはかなり個人差が激しいと言います。感染後の症状が酷くなる人、後遺症がさらに酷くなって長く続く人。それと、そうではない人の差が激しくなっているので、逆に言うと、感染して、もしも自分が酷くなるタイプであれば、よく言われていた「風邪みたいなものではないか」という、それどころではありません。病態は非常に悪くなっています。その前段として、感染力が強まっているわけです。政府のできることだけで止まるというのが感染症ではありません。それはいままでのインフルエンザと基本的には同じです。インフルエンザはワクチンを打っても感染する場合もあります。
冷静に判断をしてワクチンを打っていただきたい
青山)今回のワクチンについて、初めて遺伝子を使っているので、不安感が強いのはわかるのですが、私は必ず打ちます。まず、自分が打ってみて克明に皆さんに報告しようと思っています。基本的に、いままでのウイルスを不活性化しただけ。つまり、ウイルスそのものが入って来るワクチンよりは、少なくとも短期的には安全性は高いということです。これまでに海外で打った症例のデータもいただいていますが、いままでのワクチンより、安全性は“マシ”です。普通の国民が心配されるように、「遺伝子」と聞くと、中・長期的に心配だということはわかるのですが、ワクチンでつくった抗体、それから抗体がつくられたことによる免疫、これは消えるのです。いい悪いではなく、必ず消えます。従ってワクチンの影響自体が残るということは考えにくいのです。既往症、糖尿病などの病気をお持ちの方は他のことを考える必要がありますけれども、基本的には、「打つかも知れない」ということを考えていただいて、そこにリスクを加えて判断なさってください。最初から、ワクチンは危ないかも知れないからとか、遺伝子を使っているからと排除するのではなく、冷静に判断していただきたいと強く思います。
自分と家族と仕事仲間でお互いに注意して感染させないようにする
青山)蔓防とか、準緊急事態宣言とか、緊急事態宣言などと言っても、そういうものは効力が薄れていて、もはやワクチンしかないのです。だから、尾身茂さんがおっしゃっているように、ワクチンがいよいよ行き渡り始めるはずの6月までの間を何とか持たせたいというのは、実態通りなのです。
飯田)6月までの間。
青山)尾身さんの判断はブレたことがありません。おかげで、かろうじて政治側もブレないで済んでいるのです。中途半端という批判を受けるわけですけれど、ブレてはいないのです。この「両立路線で行く」ということは、安倍政権の時代からブレていません。ということは、個人個人の努力に重点があるということなのです。独裁主義の中国のように、「何もかも共産党の言う通り」というやり方ではなく、私たちがいま試みているように、「自分と家族と仕事仲間で、お互いに注意して感染させないようにする」ということが基本なのです。政府のやっていることがいい悪いというのは、もちろん主権者が判断しなければいけないし、国会議員が判断しなければいけないのですが、同時に、民主主義の原点は、1人ひとりが大切であるということですから。
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