まもなく宇宙へ! 星出彰彦宇宙飛行士インタビュー

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「報道部畑中デスクの独り言」(第240回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、4月22日に新型宇宙船「クルードラゴン」搭乗予定の星出彰彦宇宙飛行士について---

画像を見る(全8枚) 星出彰彦宇宙飛行士(2021年3月2日記者会見 JAXA提供)

宇宙飛行士の星出彰彦さんが4月22日、アメリカ「スペースX」社の新型宇宙船「クルードラゴン」に搭乗し、国際宇宙ステーションに向かいます。

星出さんとニッポン放送にはちょっとしたご縁があります。2012年の秋、「オールナイトニッポン」のなかで、20分間の宇宙生中継を行いました。当時のパーソナリティはEXILEのNESMITHさん。ラジオの宇宙生中継は日本では史上初で、イマジンスタジオでリスナーも参加して、星出さんと『Choo Choo TRAIN』のダンスをともにしました。

宇宙にちなみ、その名も「宇Choo 宇Choo TRAIN」。宇宙ステーションとイマジンスタジオが一体となったシーンは感動的でした。あれからもう9年になります。

宇宙船搭乗を前に、星出さんは先月(3月)ニッポン放送の単独インタビューに応じ、現在の心境などを語ってくれました。

新型宇宙船「クルードラゴン」(2020年11月16日運用1号機打ち上げ前 NASAテレビから)

「いよいよ訓練も大詰め。打ち上げが徐々に近づいているという実感はあるなかで、新しい宇宙船で宇宙に行ける、久しぶりに軌道上の“我が家”に行って戻れるのを楽しみにしている。オリンピックが夏にある、軌道上で応援するのも楽しみにしている」

東京オリンピックが予定通り開催されれば、期間中、星出さんは宇宙で過ごすことになります。

現在は野口聡一宇宙飛行士が宇宙ステーションに長期滞在中ですが、先だってNASA=アメリカ航空宇宙局が、野口さんが4月28日昼(日本時間29日未明)に地球に帰還する予定を明らかにしました。予定通り行けば数日間、野口さんと星出さんが宇宙で“同居”することになります。

11年前の2010年、野口さんと山崎直子さんが宇宙で会したシーンを思い出します。「妹よ」と、山崎さんを迎えた野口さん、無重力空間らしく、2人が上下逆さまにして並ぶというパフォーマンスを見せました。今回も「実現するかわからない」ものの、何か仕掛けを考えているようで、内容は「お楽しみに」ということです。

星出さんが乗り込む新型宇宙船「クルードラゴン」。野口さんがひと足早くこれで飛び立ち、星出さんの打ち上げは運用としては2機目。訓練の流れについてはこれまでとは大差ないものの、「全体的にきゅっと圧縮されている感覚、コンパクトに訓練していると感じる」と語ります。スペースX社の訓練チームについては「少数精鋭。本当に一握りの人たちがすべてのクルーに対して訓練をする。非常に優秀」と評価しました。

クルードラゴンの船内(NASAテレビから)

宇宙船の内部が「スマホのようだ」と語ったのは野口さんですが、これを聞いて星出さんは「ウマいこと言うな」と感じたそうです。船内の操作系は「物理スイッチ」が本当に少なく、さまざまなことが自動化され、タッチスクリーンでコマンド(指令)が打てる仕組みになっています。

星出さんは「スペースシャトルのときは、訓練で200個近いスイッチを全部覚えなくてはいけないという苦労があったが、今回はほとんどない」と話していました。

200個ものスイッチの機能を覚えるだけでも大変なことですが、その物理的スイッチがないということで、いわゆるミスタッチはないのか……そんな素朴な疑問もぶつけました。画面でタッチしたあと、物理的スイッチのコマンドを打つなど、2段階の構造になっていて、フェイルセーフを保っているということです。

3月2日の記者会見で、星出さんは「関係者、優秀な方々と一緒に仕事をするのが楽しみ」と話していました。これまで感銘を受けた出来事についても聞きました。

「1回目の船外活動、ボルトが閉まらないことがあって、2回目があった。無事にボルトが閉まり、地上のチームと話をしたときの彼らの笑顔がすごく印象に残っている」

2012年の長期滞在のときです。私もNASAテレビでその様子を見守っていました。星出さんは1回目の船外活動で電力切替装置の交換作業を担いましたが、ボルトのねじ山に金属ごみがかみ込んでボルトが締められず、改めて船外活動を行って解決しました。金属ごみの除去に活躍したのはステーション内にある歯ブラシを改造した器具でした。その船外活動後しばらくして、星出さんはニッポン放送の生中継に臨んだのでした。

11年前 野口聡一・山崎直子の両宇宙飛行士が宇宙で同時滞在した(2010年4月16日JAXA・NASA提供)

船外活動と言えば、いま滞在中の野口聡一さんも、日本時間の3月5日夜~6日未明にかけて臨んでいます。新たに追加する太陽電池の台座を設置する作業がメインでしたが、野口さんは着実に作業をこなし、終了後「ありがとうございました。素晴らしい体験でした」と、日本語で応えました。

今後の船外活動では太陽電池本体の設置が予定されています。星出さんにその可能性はあるのでしょうか。「誰がどのタイミングで船外に行くかはわからないが、行くことになればしっかりやって行きたい」と意欲を見せます。

2018年2月、ちょうど平昌オリンピックの最中です。星出さんは金井宣茂宇宙飛行士の船外活動も地上で交信しながらサポートしました。金井さんは船外活動について、「1つのお祭り」と語ります。星出さんも「まさにその通り」と同意。その上で「私にとっても地上のチームの顔が見えている大きなイベントであることは間違いない」と話しています。

最後に、宇宙に行く前に地球上でやっておきたいことをたずねました。「身の回りを片しておきたい。自分の仕事をちゃんと整理しておかないと……」とのことで、星出さんの普段の仕事場をのぞいてみたい気がしました。

船外活動訓練に臨む星出彰彦さん(JAXA・NASA提供)

星出さんのフライトは新型宇宙船が今後、有人輸送手段として定着するかどうかがポイントの1つです。定着すれば国際宇宙ステーションのような地球低軌道……と言っても、地球からは400km上空の距離にありますが……この低軌道はスペースXのような民間企業が担うことになって行く。これは宇宙で本格的なビジネスが展開される時代になることを意味します。

同時に公的機関、国レベルの活動は、次世代の宇宙開発……月や火星への探査に向かいます。宇宙ステーションでは数多くの実験がひかえていますが、例えばJAXAが開発した水の再生技術は、月や火星で人間が過ごすのに必要な技術です。こうしたものを検証しながら、月・火星探査に必要なノウハウを蓄積して行く。野口さん、星出さんのフライトはこうした次世代へのステップという意味もあるわけです。

ロードマップでは「2024年までに人類が月面に再び着陸する」とされています。3年後は意外とあっという間……JAXAは今年(2021年)秋をめどに新たな宇宙飛行士の募集を明らかにしています。次世代への準備を進める……今回のフライトが担う、もう1つのポイントです。(了)


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