英CVCの東芝買収提案にある“3つのポイント”

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月13日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。東芝がCVCキャピタル・パートナーズからの買収提案を独立して審査する特別委員会を設置するというニュースについて解説した。

【東芝入社式】入社式で挨拶する車谷暢昭代表執行役会長兼最高経営責任者=2018年4月2日午前、東京都港区・東芝本社 写真提供:産経新聞社

東芝が4月中にも特別委員会を設置~買収の提案を審査

東芝がイギリスの投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズからの買収提案を独立して審査する特別委員会を、4月中にも設置する見通しであることがわかった。

飯田)東芝の取締役会は4月19日に定例の会合を予定していて、詳細提案を受け次第、特別委員会の設置を決議するということです。上場会社であるところの東芝を非上場にして全部買い取ってしまうという提案ですよね。

東芝のロゴが掲げられたビル=2015年7月21日午後、東京都港区 写真提供:産経新聞社

買収提案にある3つのポイント~ガバナンス

クラフト)東芝の場合は、かねてからいわゆる「物言う株主」、アクティビスト・ファンドとの対立が問題視されていました。今回のことはそのような亀裂を回避する1つの方法案ということなのですが、この案には3つのポイントがあります。1つはガバナンス。なぜ、非上場にするのか。そもそもCVCキャピタル・パートナーズは車谷CEOが代表を務めていたのです。

飯田)日本法人の代表だったということですね。

東芝の臨時株主総会が行われる会場へ案内するボード。議決権誤集計が起きた2020年の定時株主総会の調査を求めた投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントの株主提案を可決した=2021年3月18日午前、東京都新宿区 写真提供:産経新聞社

時価評価と外為法

クラフト)未だに東芝の取締役の1人がCVCの最高顧問を務めているという、その利害関係。それは、経営陣を守るためにやっているのか、株主のためにやっているのかという問題があります。そこをクリアにしないといけない。2つ目が時価評価です。CVCは1株5000円で買い取りを提案しているのですが、これが評価として正しい額なのかどうか。一部のアナリストに言わせれば6000円と言う人もいるし、5000円はかなり魅力的だと言う人もいるので、そこの精査をしなければいけない。これは実は、日米首脳会談とも関連していて、日米首脳会談では、サプライチェーンの話もします。そういう安全保障、サプライチェーンの政策によっては、東芝の持っている「キオクシア」に関しても。

飯田)旧「東芝メモリ」という会社。

クラフト)東芝自体の価値が変わって来るかも知れないということなので、さまざまな要因があります。3つ目は外為法ですね。東芝が持っている原子力や量子コンピューティングなど、「日本の安全保障を脅かすような技術、ビジネスを売却してもいいのか」ということについては、政府の精査が必要です。この3つの点があるので、すぐに買収が決まるものではないと思います。

【東芝決算会見】決算会見する東芝の平田政善代表執行役専務=2017年11月9日午後、東京都港区の東芝本社 写真提供:産経新聞社

マーケットの反応は「フィフティ・フィフティ」

飯田)いまのところは上場しているではないですか。マーケットの反応はどうですか?

クラフト)これが発表されて5000円という価格が上がったときに、4300円で引けたのです。本来なら、株主から見てこれは魅力的だということであれば、すぐに5000円に行くはずが、4300円ということは、フィフティ・フィフティだと市場は見ています。

飯田)「本当にできるのか」と。

クラフト)いろいろな要素、複雑性から「本当にできるのか」というところで株価も様子見というか、慎重姿勢になっているのです。

飯田)東芝本体のビジネスとしての見通しなのですが、稼ぎ頭だったはずの半導体のキオクシアの部分を早々に売ってしまいましたよね。

経済 決算会見を行う東芝の車谷暢昭会長兼CEO=2019年11月13日、東京都港区 写真提供:産経新聞社

経営陣からすれば非上場になった方がやりやすい

クラフト)まだ4割ほど持ってはいるのですが、ビジネスの中核ではないので、いつまでも持っていても仕方がないということです。もう1つガバナンスの問題なのですが、東芝としては上場している以上、「どういうビジネスモデルで長期的にやって行くのか」というところを見せなくてはいけないのですが、なかなか見えて来ない。そこにアクティビスト・ファンドがいろいろ提言をして来て、「合う、合わない」という問題があったのですが、非上場になれば、経営陣としては腰を据えてゆっくりいろいろなことをやって行けるので、経営陣からすると、やりやすいのではないかと思います。

飯田)先ほど外為法などの指摘もありました。虎の子の技術というか、日本の安全保障に関わって来るところ、レーダーの技術などいろいろなものを売っているようですね、東芝というところは。

クラフト)よかったなと思うのは、日本は安全保障技術を守る法が2018年までなかったのです。賛否両論はあったのですが、それを導入した結果、こういう問題が起きても、政府としては精査して、「ここは売っていいですよ」「これはダメですよ」と言うことができる。また、今回のCVCの件も単独ではなく、産業革新投資機構(JIC)や日本政策投資銀行(DBJ)など、日本の投資家も入れて外為法の規制を通るようにしようと考えています。

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