“東芝・車谷社長辞任”の背景にある「根深いもの」
公開: 更新:
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月14日放送)に数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一が出演。東芝の車谷社長兼CEOが辞任するというニュースについて解説した。
東芝社長辞任へ
東芝の車谷暢昭社長兼CEOが4月14日付で辞任することになり、14日に開く取締役会で表明する。イギリスの投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」が東芝へ買収提案をしており、過去にCVC日本法人会長を務めていた車谷氏との関係を疑う声が上がっていた。買収案などをめぐる経営陣との根深い対立が背景にあるとも言われている。
飯田)このCVCキャピタル・パートナーズによる買収提案ですが。
高橋)辞任というところだけで考えると、車谷さんという方がCVCの会長をしていたということがポイントなのです。車谷さんは若いときに大蔵省に来て、2~3年間ほど国際金融局というところにいました。基本的には三井銀行の人だったのです。CVCの会長をしていたのは2017年5月です。その後、2018年2月に東芝に来ています。東芝の社長はいままでプロパーばかりでした。
飯田)約50年ぶりだったということですよね。
「東芝プロパー対車谷社長」の構図も
高橋)プロパーの人から見ると、「CVCから来た人間だろう」と。それでこの買収の話を受けたのでは、と思ってしまいます。プロパーから見れば、「外から来てCEOになって、買収をした。それは出来レースではないのか」と思ってしまうのは事実です。一方で東芝は生え抜きばかりでしたので、そのようなこともおそらく背景にはあるのでしょう。そこで揉めていると私には思えます。
飯田)「物言う株主」とも言われる方々を封じ込めるためではないか、とは最初から言われていました。
高橋)しかし結果的にはCVCの言うことを聞くわけではないですか。矛盾もあるわけです。要するに、利益相反的な話が一方で車谷さんの方にはあり、東芝は東芝の方で、プロパーだけでずっとやって来たから、「外には絶対に売りたくない」という2つの要素があって、このような話になっている気がします。どちらにしても、東芝の企業株主にはマイナスですね。
プロパーから見ると「出来レース」に見えるCVCの買収提案
飯田)巨額の損失がある上で、ウェスチングハウスというアメリカの原発子会社が損失を出して、経営が厳しくなったというところからはじまったことでもあります。半導体なども売ってしまって、「この先どうするのだ」という話もあります。
高橋)経営権を取得するときに、日本政府と絶対に話をしています。そうでないと、外為法に引っ掛かってしまいますから。国家機密のようなものも扱ったりして外為法とも関係があるので、日本政府の方ともよく話をしていたはずなのです。車谷さんも昔は役人で国際局に勤めていたのですから、そこの話はよく知っていると思います。
飯田)国際局に数年いたということは。
高橋)外資法の外資規制をやっていたところですからね。そのようなことに詳しいはずなので、いろいろなところで話をして、このような結果になっているのだとは思います。それは逆にプロパーから見ると出来レースのように見えるのです。
部門を分けることに
飯田)機密の流出なども心配されています。
高橋)それは「部門をきちんと分ける」というような話に最後はなるはずです。外資規制に引っ掛かるような話になってしまいますので、当然のことながら、経営権の話になると大変なことになります。経営権の話だけれど「部門はここに分けてどこかに移す」というような話が出て来るとは思います。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。