コロナ禍でピンチの特産品を助ける「ヒダカラ」の“たから箱”
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それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
本来なら「ゴールデンウィークはどこに行く?」「あそこだ」「ここだ」と盛り上がる時期ですが、今年(2021年)は「まん延防止等重点措置」のなか、自粛の要請。大っぴらにそんな話をしている人はいないようです。
ところが「こんなことではへこたれないぞ!」と言わんばかりに、7月・8月・9月の連休中のツアーなど、その募集が始まっているようです。心はもう夏休みからお盆休みへ飛んでいる。北海道、沖縄の人気は相変わらずですが、他にも穴場があるようです。今回は、飛騨についてのお話になります。
「日本有数の観光地、岐阜県飛驒地方のみやげ物が行き場を失っている!」
こんなニュースが出たのは、今年2月のことでした。岐阜県は当時、新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言の対象地域。地元のみやげ物屋さんは大変で、観光客が戻らないまま、店先に並べた商品の賞味期限はどんどん迫って来ます。
ニュース映像はこの辺りまで伝えてくれますが、さらに深刻な打撃を受けるのが、みやげ物の製造元だと言います。製造元は、賞味期限の迫った商品を引き取りに行かなければなりません。
精魂込めてつくった自信の商品たちが、どっさり売れ残ってしまっている。それをわざわざ引き取りに行くときの気持ちがどれほど辛いものなのか……たとえ商いをしていなくても、容易に想像がつきます。
そんな製造元の皆さんの大きな支えとなったのが、飛驒地方で売れ残った特産品のネット販売を手がける「ヒダカラ」という会社でした。20代~30代の人を中心に、2019年8月にスタートした若い会社です。
「ヒダカラ」のホームページを開きますと、従業員は9名。皆さんペッタンコの靴を履いて、服装はデニムなどのラフな感じが中心です。印象的なのは、皆さんがほほ笑んでいること。そして、後列中央に立っているのは社長さんでしょうか? 横を向いてニッと笑っています。
「ヒダカラ」という社名には、飛騨の地から「飛騨のタカラモノ」を輝かせるお手伝いをしたいという願いを込めたそうです。代表取締役は舩坂康祐さん。取締役は、奥様の舩坂香菜子さんです。
同い年の舩坂ご夫妻が出会ったのは、通信販売大手の「楽天」。奥様の香菜子さんは鹿児島や京都を担当し、転々としたあと、2人目のお子さんが生まれた育児休暇中に、故郷へUターンするというご主人と飛騨に引っ越し。いまだから言える話ですが、最初はしぶしぶという感じだったそうです。
ところが、半年後に命じられた出向先は飛騨市役所。奈良出身の香菜子さんは前々から「地方を元気に」という使命感を抱いていたそうですが、ここで「よし、やるか!」と飛騨に真正面から向き合ってみたところ、魅力あふれる土地柄であることに気づいたと言います。
ジビエハンター、鮎釣り名人など興味深い人がいる。いいモノがある。それなのに、そのよさを十分に発信できていない。自分のスキルを活かして、そのお手伝いをしたい……。そして、香菜子さんはご主人と「ヒダカラ」を起業しました。
ところが、必ずしも順風満帆とは行きません。今年2月、「ヒダカラ」の倉庫にはみやげ物の詰まった段ボールが山積みになっていました。飛驒牛のカレー、まんじゅう、漬物など、およそ20社の製造元から買い取ったみやげ物の山です。飛騨市内だけでなく、同じ地方の高山市、下呂市などの会社も含まれていました。
しかし「ヒダカラ」には、あるノウハウがありました。去年(2020年)5月、コロナ禍のために売り上げが激減したみやげ物を詰め合わせた『飛驒のたから箱』の販売です。
「ヒダカラ」は今年1月から、みやげ物の買い取りとネット販売を強化。販売を開始したころと同じ水準の、およそ1200箱が売れたそうです。『たから箱』のなかで特に喜ばれるのは、飛騨牛カレー、みそせんべい、飛騨のちぢれ麺、漬物などだそうです。
「いいモノを見つけて、その価値を伝えるのが私たちの使命です。地元の人さえ気づかなかった飛騨のよさを発見するのがうれしいですね。オフィスに気軽に遊びに来てくれる地元の人が増えているんですよ」と、香菜子さんの声が弾みました。
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