実はリンクする「こども庁」と「デジタル庁」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月15日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。設置法案を2022年の通常国会に提出する方向となった「こども庁」について解説した。
「こども庁」設置法案を通常国会に提出へ
政府・与党は、子どもに関する福祉や医療などの政策を一括して所管する「こども庁」の設置法案を、2022年の通常国会に提出する方向で調整に入った。担当閣僚と長官を置き、児童虐待防止や不妊治療支援などを一体で担わせる方針である。
飯田)「デジタル庁」がいま審議されていますけれども、次は「こども庁」と、横串政策を打ち出していますね。
鈴木)悪いことではないと思います。こども庁に関して言うと、4年~5年くらい前から以前の厚生労働大臣をやっていた塩崎恭久さんが、児童虐待や児童相談所の問題を改革するべきだということで、超党派で取り組んで来ていました。こども庁のいろいろなプランを見ると、そういうものが中心になっています。
何のための霞が関の役所なのか
鈴木)何が言いたいかというと、やることはいいのだけれども、すでにある霞が関の役所のなかで、例えば厚労省のなかで改革できるものが実はあったのではないか。塩崎さんたちが一生懸命やって来たようなことは、少しは法改正もできましたが、縦割りということもあって、ほとんど形にはならなかったのです。だからそこで改革できるものをやらないと、結局本質的には変わらず、テーマが出て来たら「はい、横串横串」と。何のための霞が関の役所なのか、仕事ぶりなのかとなるわけだから。屋上屋にならないように、今回も制度設計議論が必要だというのがまず1つですね。
「こども庁」と「デジタル庁」をリンクさせる
鈴木)なぜこども庁をつくるかと言うと、虐待などいろいろなことを含めて、いまの体制では連携できないからということです。そこで、いろいろなところでデジタル社会をつくって行こうという菅政権の方針がありますが、実はここと、子どもに関する虐待などの問題を結びつける。簡単に言うと、こども庁とデジタル庁がリンクするような話があるのです。行革担当大臣の河野太郎さんにデジタル庁のことで取材したのですよ。「デジタル化、デジタル化と言うけれど、デジタル庁もしくはデジタル化の先にどんな日本の社会があるのか」と。「デジタル社会とはどういうことか」ということで、例に挙げたのが子どもの話だったのです。
子どものデータをデータベース化することで家庭環境が把握できる
鈴木)実際に東京の足立区や大阪の自治体などで、教育委員会が子どものデータをデータベース化しているということです。何かと言うと、子どもが身体測定をやるではないですか。たかが身長体重かと思ったら、それをデータベース化することによって、成長して1年経っているのに、まったく体重が増えていないというようなことがわかるのです。さらにマイナンバーなどに紐づけされるけれど、その子どもの家庭環境はどうなのか。実はお母さんが1人で育てているかも知れない。その場合、お母さんの給料がいくらなのか。お母さんの給料が減っているのではないかなどということがわかるのです。
飯田)失業しているかも知れないとか、シフトが削られているのかも知れないとか。
鈴木)子どもの体重が増えていないとなれば、もしかして、ちゃんと食べさせられていないのではないか、虐待はないのかと。そういうものが全部データ化される。だからデジタル化社会というのは……。
飯田)「申請が楽なんでしょう」とか、「人と人との関わりがなくて冷たい社会なのではないか」みたいな。
鈴木)その通り。でも実はそうではなくて、「1人1人のために何ができるか、そういう考え方があるのです」というようなことを子どもの例で河野さんが説明をしたのです。そういう意味では、こども庁というのもわかるのですが、デジタル庁も含めて、総合的にいろいろな切り口でやって行けることがあるのだな、ということを感じますね。
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