回復したコロナ患者を転院させる『下りの医療体制』の必要性……満床状態を改善するために

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東京都医師会副会長で「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が4月27日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスにおける、下りの医療体制について解説した。

「大阪コロナ重症センター」で研修する看護師ら=2020年12月11日午前11時9分、大阪市住吉区の大阪急性期・総合医療センター 写真提供:産経新聞社

飯田浩司アナウンサー)病床逼迫ということがさまざまな場面で報じられていますが、その1つに感染者のベッド占有があります。東京都医師会の尾﨑会長に番組へご出演いただいたときも、回復したコロナ患者さんたちを転院させる必要があるのだという、「下りの医療体制」の確立を言われていました。改めて、下りの医療体制の必要性とはどういったことでしょうか?

平川)現在の大阪府の状況を見てもわかるように、感染者の急増で、感染症治療の専門病院は満床の状態です。そうなると、感染者数や死亡者数に最も大きな影響を与えてしまう、高齢者施設の対策が重要になります。このような満床状態にありますと、施設の入所者が陽性となっても、速やかに専門病院に入院できず施設内に留め置かれるため、巨大なクラスターを生んでしまいます。速やかに感染症の専門病院に入院できる体制をつくるためには、感染症から回復した患者さんを効率的に退院させる必要があります。一方、過度に警戒するあまり、利用者が回復しても、再入所を拒否するような施設も出ています。

飯田)一足飛びに退院してすぐ家に帰すというよりも、治療を終了した要介護高齢者の方々を老健施設が受け入れる、といったことを平川先生は提案されていますけれども、老健施設というのはそもそもどういう施設になるのでしょうか?

平川)公的な介護保険に使える施設のサービスというのは、皆さんよくご存知の「特別養護老人ホーム(特養)」と言います。それから、昔の老人病院であって、いまでは介護療養型、あるいは介護医療院と言われるような病院型の施設。そして「介護老人保健施設(通称:老健)」というものがございます。

飯田)中間施設だからなのか、よく聞く噂で、「それほど長期間はいられない」「3ヵ月程度で出ざるを得なくなってしまう」というようなことが言われていますが、これについてはいかがでしょうか?

平川)これは根強い都市伝説なのです。もちろん帰れる方は帰っていただきますけれども、さまざまな事情で家に戻れない方もいらっしゃいますので、そういった方を追い出すということはあり得ません。私は八王子で老健施設をやっているのですが、うちの施設でも、半数の方は数年に渡っていらっしゃいます。

平川博之氏、飯田浩司アナウンサー

飯田)徐々に回復して行くというプロセスを辿るのですね。

平川)回復できない方は、最後まで診る場合ももちろんございますので、「老健はすぐに出す施設だ」というイメージはぜひ払拭して欲しいですね。

飯田)都内に「老健施設」と呼ばれるものはどのぐらいあるのでしょうか?

平川)現在、約200施設ほどございます。

飯田)すべての施設がコロナの回復患者さんを診られるかどうか、という問題はあるかも知れませんが、いまの状況としてはいかがでしょうか?

平川)今回、この下りの流れをつくるために、老健施設でコロナ感染症の治療が終わった方を受け入れる仕組みをつくりました。いま都内の老健施設のなかで、約115ヵ所、受け入れ可能ということで手を挙げてもらっています。すでに30ヵ所近くのところでは、ポストコロナの方も受け入れています。

飯田)下りの体制ができて来ると、現場としても相当変わりますか?

平川)そうですね。1つはまったく違う意味で、施設というのはコロナ感染に対して多少の不安があるのですが、そういう方を受け入れることによって、施設自体のコロナ対策や感染対策の実習をすることになり、より全体のレベルが上がります。私は積極的に受け入れて、いろいろな経験を積むことが大事だと思います。コロナ禍では一丸となることが大事で、我々の介護施設でもやるべきだと思っていますので、ちょうどいい機会だと思っています。

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