東京都医師会副会長で「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が4月29日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。コロナ禍において、家族が極度の心配性または楽観的である場合の対応方法などについて解説した。
飯田浩司アナウンサー)コロナ禍では日ごろから多くの方が、胸のなかにわだかまりを抱えていると思います。そのような不安にどういった対処をしたらいいのか、先生に伺ってまいります。まずは会社や仕事についてですが、コロナ禍で働く環境が大きく変わりましたよね。
平川)感染拡大は、医療・介護はもちろんのこと、日常生活や教育、就労、政治・経済に至るまで大きな影響を与えています。特に就労環境については、コロナ流行前とは激変しました。以前はリモートワークなど考えられないという方も多かったと思います。
飯田)体調の管理なども、相当厳しくなりましたよね。
平川)以前であれば、「風邪程度で会社を休んでいては仕事にならない」と怒鳴っていた部長が、「風邪気味で出社するとは信じられない。早く帰りなさい」というように、まったく相場が変わって来ました。
飯田)「できるところはすべて在宅勤務で」ということになりつつあります。しかしウェブで会議をすると、「コミュニケーションがなかなか上手くとれない」と愚痴をこぼす方も多いですが、どうしたらいいでしょうか?
平川)これもよく聞くご相談です。まずは、「上手くとれなくて当たり前」だと思って欲しいですね。決してご自身の力不足や性格のせいではありません。そもそも今回のリモートワーク社会というものは、計画性を持って導入されたものではございません。極めて唐突に、やむなくスタートした働き方ですよね。何の準備もフォローアップ体制も整備されていない見切り発車でしたので、逆に「コミュニケーションが上手くとれない。どうしたらいいのですか」と会社に訴えるべきでしょうね。
普通であれば、オフィスにいる隣の同僚に「これはどうしたらいいの?」と尋ねるだけで済むことが、わざわざメールに打ち込んで回答を待つといった、大仰なことになっています。「聞かなくてもいいか……」と逆に気を遣ってしまうこともあると思います。
飯田)そうですよね。メールを打つのも時間がかかりますし、「この表現だと別の捉え方をされるかも知れない」など、いろいろと気を回します。
平川)相手の表情も伺えませんし、気を揉むところですね。
飯田)それから、「家族が極度の心配性なのですが、どう付き合えばいいでしょうか?」という質問を(番組のリスナーから)いただきました。
平川)本当に心配しているわけですので、ご本人にとっては切実な悩みです。それに対して、ただ「間違っている」「それは違うよ」と言ってしまうと、ご本人には正しい情報が伝わらないのです。気遣いのない答えではご本人も拒否してしまうので、まずは恐れているご本人の不安や心配に寄り添って、その上で冷静に、「こういう考え方もあるし、これで上手く行っている方もいるよね」という形で、強要しない説得が大事だと思います。
飯田)逆のパターンもあって、家族のなかで「コロナなんて風邪みたいなものでしょう?」という方がいらっしゃる場合もあると思いますが、この場合もやはり同じように、噛んで含めるような形で諭すということでしょうか?
平川)そうですね。そういう方に限って実は心配していて、不安を自分の言葉によって払拭しようとしている場合もあるため、じっくり話し合えば、本当に心に響くような形で伝わると思います。
飯田)いずれにせよ、頭ごなしに言うのはよくないのですね。
平川)やはりその方は、それなりの考えを持って結論を出しているわけですので、まずはその方の言葉を受けた上で、「でも、こういう考えもあるよね」ということを、冷静に伝えるべきだと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます