インスタ『駄菓子絶景』も人気の「日本一のだがし売場」とは
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それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
5月5日の『こどもの日』は、「国民の祝日に関する法律」第2条によりますと、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する日」とあります。子どもだけではなく、母親にも「生んでくれてありがとう」と感謝する日だそうです。
さて、子どもというのは昔もいまも「あそびの天才」です。常に新しい興味をもち、それを全力で楽しもうとする。いまの子どもたちの新たなブームは、『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』だそうです。
原作は、シリーズ累計300万部を突破する「偕成社」の児童人気小説。4月6日からはNHK・Eテレで毎週火曜日、午後6時45分に新シリーズがスタートしています。
幸運な人だけがたどりつける、ふしぎな駄菓子屋「銭天堂」。店の女主人の紅子さんが勧めてくれる駄菓子は、どれもその人の悩みにピッタリのもの。それを食べることで、さまざまな運命が展開して行くというお話です。
「こんな駄菓子屋さん、ホントにできませんかねぇ」と言うと、岡山県瀬戸内市にある「日本一のだがし売場」の深井宏和さんは、「そうですね、できそうですけれどね」と、明るい声を弾ませました。
「日本一のだがし売場」は、看板に偽りなし。テニスコート10個分の広さがあり、駄菓子とおもちゃは約5000種類。「すべて税込み10円単位」のコーナーや、「大人買いコーナー」「子ども目線の売り場」「ステージ」などがあり、「だがし神社」まであると言います。まさに駄菓子のユートピア、子どもだけでなく大人も楽しめそうな夢の世界です。
「日本一のだがし売場」で、主に駄菓子とおもちゃの発注を担当している深井宏和さんは、32歳。岡山県の高校を卒業後、ギター職人を志して上京。専門学校で2年間技術を習得し、バイト先のギター修理工場へ就職を申し出ます。
「ところが、『君はこの仕事に向いていない』と言われてしまったのです。落ち込みましたね」と、 悔しそうに振り返ります。それから半年間は、本屋さんやホテルでアルバイトを始めても続かない。まさに夢も希望もない青春を送ったそうです。
「岡山へ帰ってしまおうか」と考え始めた矢先、たまたま目に留まったのが「駄菓子店員募集」の求人広告。小さいころ通い詰めた店の駄菓子たちが、脳裏をゆっくりとパレードして、「子どもたち相手の仕事って楽しそうだな」という興味が湧いて来ました。
「ららぽーと横浜」のなかにあったその店は店長不在で、深井さんは自分の駄菓子への愛着と想いを、自由に発揮することができたと言います。
「自分が子どものころに買っていた駄菓子が、そのままのパッケージと形で残っているんです。駄菓子のパワーを感じて感動しました」
有名菓子店ではない、個人の小さな商店が細々とつくり、伝えて来た駄菓子たち。深井さんはこのとき、初めて思ったそうです。
「ギターづくりに向いていないと言われて、よかったのかも知れない」
軸足をふるさとの岡山へ移してから、駄菓子愛はさらに深まります。100円きっかりの買い物ができてガッツポーズする子ども。なつかしい駄菓子に「あ~、これこれ!」と大興奮する若い女性。商品を手に取ったまま、ジッと見入っているお年寄り。駄菓子売り場は、さまざまな人の想い出と熱気が交差する不思議な空間でした。
深井さんはやがて、自分も何か仕掛けたくなり、店の商品配置やポップづくりに工夫を凝らし始めたと言います。そして考えたのが、駄菓子とカフェ、駄菓子とカレー、駄菓子と写真など、さまざまなものとのコラボでした。
深井さんは、身の周りのいろいろな風景のなかに駄菓子を置いて写真を撮り、インスタグラムに載せました。食べておいしい駄菓子は、見ても楽しいはず。そんなコンセプトで集められたインスタグラムのタイトルは、『駄菓子絶景』。
遠近法を利用して五重塔の隣にそびえる5個の「コーヒーヌガー」や、木の枝に実る「ボンタンアメ」、大観覧車の軸になった「輪投げチョコ」。公開されているおよそ100点の作品から40点ほどを選んで、4月からは岡山市内で写真展を開催。たくさんの人の目を楽しませています。
深井さんの夢は「時代に合った理想の駄菓子店をつくること」。そこで悩み多き現代っ子や、現代人が集う『銭天堂』はできないものか……という話になるわけです。果たして、どうなるのでしょうか?
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