東京都医師会理事で「葛西中央病院」院長の整形外科医・土谷明男氏が5月19日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。日々のウォーキングにおける、効果的な歩き方と適切な目標設定について解説した。
飯田浩司アナウンサー)番組には「ウォーキングしながら聞いています」というメールがよく来るのですけれども、ウォーキングというのは、ただ歩いているだけでもいいのですか?
土谷)いいと思います。極論を言えば、何もしないよりは歩いた方がいいですよね。
飯田)本屋さんに行くとウォーキングの本がたくさん並んでいて、美しい歩き方や、効果的に脂肪を燃やす歩き方など、いろいろ出ています。何か効果的な歩き方はあるのですか?
土谷)私はよく、「いろいろな歩き方をしてください」と言っています。いつも一定の歩き方ではなく、速く歩いたりゆっくり歩いたり、足を高く上げてみたり。外来では高齢の方が多いのですが、特によく言うのは「きれいに、美しく歩きましょう」ということです。
飯田)背筋を伸ばして、ということですか?
土谷)そうですね。自分の体をイメージするのと同時に、「外から見られている自分」を意識して歩いてみるといいでしょう。
飯田)猫背でひょこひょこ歩いていたら、あまり美しくは見えないですものね。「何万歩を目標に」とか、「1日に何キロ歩きましょう」など、高い目標は設定しなくてもいいのですか?
土谷)私は、あまり高い目標を掲げなくてもいいと思います。例えば、「1日1万歩を目指しましょう」と言っても、1万歩は意外と大変です。「大変だな」と思いながら1万歩を達成すると、翌日には「昨日1万歩も歩いたから、きょうはいいか」となってしまうかも知れません。
飯田)「昨日あれだけ歩いたし」と思いますよね。
土谷)そうなりがちです。むしろ目標はやや低めに設定し、「もう少し歩いてもよかったかな」と思うぐらいで、次の日につないで欲しいと思います。まったく運動習慣のなかった方たちが続けて行くために、そのような話をさせていただき、実際それで続けている方もいます。
飯田)これからの季節はいい陽気になり、外を歩いていたら自然と汗も出て来ると思うのですが、冬などは汗が出にくい場合もあります。そのため、「一生懸命歩かなければいけない」と思ってしまう方もいるかも知れませんが、その辺りはどうですか?
土谷)運動量の目安として、汗をかくことはすごくいいと思います。汗をかかないと、「汗腺」という汗が出るところが減って行くのです。特に高齢の方は、冬場は汗をかかずに痒くなってしまいます。高齢の方が痒みを感じる原因として、最も多いのは乾燥ですが、汗をかかなくなるのも原因のひとつです。年をとると誰でもそうなるのですが、使わなければさらに減って行きます。普段から運動して汗をかくことは、高齢の方にとってもいいことだと思います。
飯田)私が昼間ジムに行くと、ウォーキングや水泳をやっているご高齢の方を見掛けます。
土谷)それもいいと思います。ただ、あまり負荷をかけ過ぎず、継続的にできる程度の運動量を設定して欲しいと思います。過度にやり過ぎず、継続することに重きを置いていただきたいです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます