東京都医師会理事で「ささき眼科」院長の佐々木聡氏が6月22日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コナウイルスにおける目からの感染リスクについて、また、スマホを見続けることで生じる目の病気について解説した。
目からの感染リスクは高い
飯田浩司アナウンサー)口や鼻、目などの粘膜から新型コロナウイルスに感染するというリスクが伝えられていますけれども、目から入るリスクは高いのでしょうか?
佐々木)目に限らず、喉や口や鼻などの粘膜から、新型コロナも含めて、いろいろな感染症が入ることが指摘されています。
飯田)どこかを触った手で目を触ってしまうことがリスクになるわけですか?
佐々木)接触感染リスクはかなり高いと思います。
感染防御の上にフェイスシールドをつけて目の保護をしたグループの感染率は“ゼロ“という調査結果も
飯田)さかんに「飛沫が」ということが言われるではないですか。私や先生はメガネをかけていますが、何か装着物でリスクが変わるということはありますか?
佐々木)調べてみたところ、ある医療従事者のグループでしっかりサージカルマスクをつけて、手袋をつけて、手指消毒をしてというグループでも19%に新型コロナの感染が生じています。
飯田)19%。
佐々木)一方で、同等の感染防御をして、なおかつフェイスシールドをつけたグループは何とゼロだったのです。そういう論文があるのです。その論文では、新型コロナを防ぐ鍵、「ミッシング・キー」と呼ばれていますが、そこが目の保護、アイ・プロテクションが大事なのだろうという結論でした。
飯田)マスクもして防護服もということになると、「目以外入りようがないではないか」ということですね。そんなに違うのですか。フェイスシールドに効果があると。
佐々木)というのが、その論文の結果でした。
スマホを見続けることで起こる「スマホ内斜視」「スマホ老眼」
新行市佳アナウンサー)コロナ禍で、リモートで仕事をする人も増えています。会議もリモートで、パソコン、スマホに向かう時間が増えたという方がいらっしゃると思うのですが、その影響で目が悪くなるということはあるのでしょうか?
佐々木)特にお子さんの場合は、パソコンやスマホの授業がこれから増えて来ますので、今後、近視の進行によって、眼球が変形していろいろな目の病気が起きて来るということが眼科医会のなかでも指摘されています。
飯田)具体的にはどのようなことでしょうか?
佐々木)例えば、ディスプレイを長時間見ていると、瞬きをしないで真剣に見てしまうので、ドライアイになりやすくなります。そのため、ときどきは瞬きをする、または、1センチでも離してディスプレイやスマホを見る。あとは、たまに遠くを見て目の筋肉の凝りをほぐしてやることが必要です。スマホを見続けることで、急性内斜視が起きる「スマホ内斜視」や、調節力が落ちてしまう「スマホ老眼」というものが出て来ています。昔は幼少期、小学生のときに近眼が発生すると考えられていたのですが、いまは「成人発症近視」というものもあると言われていますので、気をつけた方がいいと思います。
周囲の明るさとディスプレイの明るさは同等に
飯田)スマホやタブレットのディスプレイの明るさの調節と、部屋の明るさはどう考えたらいいですか?
佐々木)もちろん、明る過ぎず、暗過ぎず、見やすい距離で、見やすい明るさで見る。あと、部屋をあまり暗くしないで、周囲の明るさとディスプレイの明るさが同等くらいであれば、目に負担がかかりにくいと考えられています。
飯田)その辺りは本を読むのと同じで、部屋は明るくした方がいいわけですね。
自動調節機能はオンに
飯田)ディスプレイの明るさは、明る過ぎるとよくないですか?
佐々木)その光自体が網膜に悪いというわけではないですけれども、強過ぎる光は疲労感を生むと思います。
飯田)最近、自動調節機能がありますが、あれに頼った方がいいですか?
佐々木)いいかも知れないですね。私もオンにしています。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます