ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月6日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。政府が東京オリンピックの一部競技について、無観客で行う検討に入ったというニュースについて解説した。
東京オリンピックの一部競技について無観客を検討へ
政府は7月23日に開幕する東京オリンピックの観客数について、国立競技場で行う開会式や閉会式、一部競技について無観客とする方向で検討に入った。
飯田)大会組織委員会などは8日にも、5者協議を開いて正式決定するということです。無観客検討の話は先週辺りから出て来ました。
無観客を主張して都議選で健闘した都民ファーストの圧力がかかっている
クラフト)都議選の結果も影響しているのではないでしょうか。都民ファーストは無観客を主張して、選挙を戦い、健闘しました。これを受けて、自民党にも無観客の圧力が相当かかっているのだろうと思います。いずれにせよ、あと3週間もないわけですから、早く決めて欲しいですね。
飯田)実はチケットが1枚当たっているのですけれど、昨日(5日)、「抽選そのものが延期になりました」というメールが来ました。「また追ってお知らせします」というメールだったのですけれども、五月雨式なのですよね。
クラフト)関係者も含めて大変でしょうね。
国によって、格差のある感染者数の受け止め方~アメリカから見れば「日本の感染者数は多くない」
飯田)世論の風のようなものに翻弄され続けている、この日本の感じを海外の人たちはどう見ているのですか?
クラフト)その国々の感染の格差があると思います。日本では、人も亡くなられていますし、「大変です」ということですが、例えばアメリカから見ると、アメリカは桁違いに感染者数が多かったわけです。それと比較対照すると、「日本はそんなに酷くないね。オリンピックもできるよね」という感覚なのです。日本はより高い水準で感染抑制を目指していますから、「これでも大変だ」ということなので、その国々の経験値によって見解が違いますよね。
飯田)アメリカのメディアの人たちが「ワクチンを打っているのに、どうしてこんなに制限しなければいけないのだ」という抗議文書を出したというのは、その辺もあるのですかね。
クラフト)アメリカ人は身勝手ですから。自分たちがいまワクチン普及で高揚してしまって、「大丈夫だ!」という雰囲気なのだけれども、世界は違うでしょう。「自分たちの物差しで国際社会を見てはいけない」と、アメリカ人として言いたいところですね。
都民ファーストの都議選の健闘が空気を変えた
飯田)なるほど、そういう違いもあるわけですね。先ほどご指摘のあった都議選の結果ですが、議席を減らしていますから躍進とは言えませんけれど、都民ファーストの健闘によって空気がだいぶ変わって来ていますか?
クラフト)自民党にとってもよかったのではないかと思うのは、ワクチンが普及し始めて政府の方も達成感があり、そこで緩んでしまったところがあります。ここで制裁ではありませんが、引き締めになったのではないでしょうか。政府のワクチン対策は、改善されていますが、「まだまだ不十分である」という都民の声が今回、現れたのだと思います。さらにこれで手綱を引き締めて、感染予防に邁進していただければ、結果的によかったのではないかなと思います。
職域接種を中断してしまったのが、与党の悪いイメージを与えてしまった
飯田)きょう(7月6日)の産経新聞が1面トップで報じていますけれども、「自民恐々、小池氏動いた」という見出しが付いています。
クラフト)これが小池さんの戦術なのかわかりませんけれど、最後の日に出て来るのは、選挙戦術として「すごいなあ」という印象を受けますね。
飯田)ワクチン接種に関しては、東京都もそうだし、各自治体もそうだし、当事者でもあるということですね。
クラフト)そういうことですね。職域接種を中断してしまったのが悪いイメージを与えてしまった。
飯田)そうですね。
クラフト)早期に職域接種を復活させて、とにかくワクチン普及率を上げて行く。日本もやがて直面すると思うのですが、いまアメリカで起きている問題は、7割までワクチンが普及していますけれども、そこで頭打ちになっているということです。「ワクチンを打ちたくない」という人がいる。やがて日本もそういう時期が来ますので、そういうときに「どうやってワクチン接種を促して行くか」というのが1つの課題になると思います。
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