ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月7日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。JR東日本が新幹線や在来線の一部で手荷物検査を実施するというニュースについて解説した。
治安のよさと安全であることのバランスをどう取るか、議論が必要
JR東日本は東京オリンピック・パラリンピックの期間中、首都圏の新幹線や在来線の一部で手荷物検査を実施する。
飯田)テロ対策も含めてということで、日本の鉄道で手荷物検査を行うのは初めてだそうです。
ドライブレコーダーを搭載するように、「監視が自分を守るものになる」という価値の転換が起きている
佐々木)海外では普通です。しかし、日本の朝の新宿駅でもやるのかという、少し現実的ではないですが、必要は必要です。こういうことをやると「監視社会だ」、「厳しい私権制限だ」と訴える人がいますが、監視社会だと怒る考えも古びて来ているのではないでしょうか。最近、ドライブレコーダーを車に積むことで、あおり運転を防止するなど、「監視が自分を守るものになる」という、価値の転換が起きています。手荷物検査の場合も、それをやることで我々の生活の安全が守られるのです。
バランスをどう取るかを考えるべき
佐々木)イギリスでは、街中に監視カメラがあって、見られている気持ち悪さは確かにあるのですが、それによって治安がよくなっていることは間違いありません。治安のよさと安全であること、そして見られていること、監視されることのように、手荷物検査をやることのバランスをどう取るかを議論するべきです。何でも「けしからん」と言っていても始まりません。どんな問題でも、バランスや折り合いをどこでつけるのかを考えなければいけない時代に変わって来ているのだと思います。
飯田)情報収集そのものを止めろということではなく、どう管理するかということに。
佐々木)通勤ラッシュ時にどのくらい、人の流れを阻害しないで、スムーズに手荷物検査を行えるような仕組みをつくるかという、一歩進んだ議論に行って欲しいですね。
危険物探知犬や不審者・不審物検知機能を有した防犯カメラを用いて特定
飯田)対象者は危険物探知犬や、不審者・不審物検知機能を有した防犯カメラを用いて特定するそうです。
佐々木)「不審者・不審物検知機能を有した防犯カメラ」が何なのかは気になりますけれどね。おそらくAIを使ったものでしょう。海外では、既に実用化されていますが、歩いている人の不審な行動、歩き方などで判断します。警察の捜査3課のスリ担当の刑事がジーッと見ていて、「あいつはスリだ」と見分けるという、人間のベテランにしか見抜けられないような「ちょっとした違い」をAIは見つけることができる。それを防犯カメラで見つけて特定したら、次はその人を「ちょっと来てください」と人間が呼び出す、というやり方だと思います。
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