宇宙での領土争いが始まる~米ヴァージン・ギャラクティックが有人試験飛行に成功

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月13日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。アメリカの宇宙旅行会社が有人宇宙飛行に成功したというニュースについて解説した。

宇宙船に乗り込んだリチャード・ブランソン氏=2021年7月11日、アメリカ・ニューメキシコ州上空[YouTubeより] 写真提供:時事通信

米の宇宙旅行企業、ヴァージン・ギャラクティックが有人試験飛行に成功

アメリカの宇宙旅行企業ヴァージン・ギャラクティックは7月11日、新型宇宙船「スペースシップ2」による有人宇宙飛行に成功したと発表した。宇宙船にはギャラクティック社を設立した実業家のリチャード・ブランソン氏が搭乗し、高度およそ86キロメートルまで達したあと地球に帰還した。

飯田)4回目の有人飛行試験だということで、ブランソン氏自らが乗ったということです。86キロだそうです。

奥山)マッハ3ということで、飛行機に乗せて、それを接続した宇宙船というか、小型のスペースシャトルのようなものを途中で打ち上げて、86キロ上空まで行って帰って来たと。

飯田)あとは放物線のような感じで。

「宇宙体験」というようなもの

奥山)これは宇宙旅行というよりも、私の感覚からすると、宇宙に近いところの高い空間に行って帰って来たということですね。実際には、「宇宙体験」くらいの感じなのではないでしょうか。

飯田)なるほど。

奥山)私の感覚では、「宇宙に行く」ということは、「地球の軌道に乗る」というイメージで、宇宙ステーションのようなところに乗るという感覚です。これだと気軽ですけれども、宇宙へ行ったことにはならないのではないかと思う部分はあります。

地球の軌道に乗るためには秒速7.9キロ以上の速さが必要~ビジネスとしては成り立つ

奥山)マッハ3で行って帰って来たので、「秒速1キロ」ということになります。全然遅いのですよ。地球の軌道に乗るためには、マッハ23という「第一宇宙速度」の秒速7.9キロが必要です。今回は秒速1キロで行ったのですけれど、実際は7.9キロメートル以上の速さでなければならないのです。そんなに早いスピードで行ったわけではないので、「地球軌道に乗っていないからなあ」ということなのですけれど。

飯田)そうですよね。重力が効いているからこそ、放物線のように帰って来るわけですよね。

奥山)帰って来てしまうわけですね。一瞬、「フワッ」と浮かんで帰って来るという感じです。しかし、値段的には2500万円くらいだということなので、お金持ちの人であれば、「高いベンツを買う代わりに宇宙に行って来るか」という形で、ビジネスとしては回るのではないでしょうか。本格的な宇宙飛行ではないのだけれど、体験としてはいい感じなのかなと思います。

飯田)これを使えば、東京からニューヨークまで30分くらいで行けるということで、そこでビジネスになるのではないかという話もあります。

奥山)これはまだ本格的なものではなくて、アマゾンのベゾス氏の方の……。

飯田)ジェフ・ベゾス氏。

奥山)あの人はもう少し本格的なものを狙うということです。

中国は29日、海南省の文昌宇宙発射場から運搬ロケット「長征5号B遥2」を使い、宇宙ステーションのコアモジュール「天和」を打ち上げた。(文昌=新華社記者/琚振華)= 2021(令和3)年4月29日、新華社/共同通信イメージズ

宇宙地政学~宇宙での領土を取り合う時代になる

奥山)最初はこういう形で我々は宇宙に進出していますけれど、そのうち領土争いをするようになるのではないかと思います。初めは旅行ですけれど、本格的に宇宙に人間が進出するようになると、ますますガンダムの世界が来るのではないかというところです。

飯田)スペースコロニーなどの話になるのですか?

奥山)スペースコロニーの話ですね。宇宙における、「宇宙地政学」というものがあります。

飯田)宇宙地政学?

奥山)すでに「宇宙で領土を取り合う時代になる」ということを、日本のアニメがうまく説明しています。月と地球の間には、重力が合わさっている中間点があるのです。そこにコロニーを置こうという話がいろいろあります。実際に人工衛星をどこに置くのかということで、宇宙での場所取りが激化している部分はあります。

飯田)宇宙での場所取りが。

奥山)小さい国も人工衛星をたくさん飛ばしています。静止衛星のようなところ、地球のちょうど上にある場所というのは、とても混んでいまして、そこをどこの国が取るのかで勢力図が変わるというような話です。

飯田)重力と遠心力がちょうど釣り合うところですよね。

奥山)そうです。いまは人工衛星のレベルですが、そのうち有人の方でも出て来ると思います。ニュースそのものは、「ちょっとした宇宙旅行」といったものなのですけれど、その先に進んで行くと、なかなか夢のある「ガンダムの世界」になるのではないかと思います。

地球で行われているような領土争いが、月でも行われる可能性が

飯田)中国は、独自の宇宙ステーションを打ち上げようとして、いま資材を運んでいます。

奥山)やっていますね。

飯田)領土という概念を、宇宙空間においても主張する国が出て来る可能性があるということですね。

奥山)月と地球の間に「ラグランジュポイント」という名前で、ガンダムではよく出て来るポイントがいくつかあります。月と地球の重力が釣り合っていて、人工衛星を置いておける場所がいくつかあります。アメリカの人たちは、80年代からアメリカ議会のなかにロビー団体をつくって、ラグランジュポイントL4、L5などがあるのですけれど、「そこを取っておかなければいけないのだ」と動いているのです。それこそ、ガンダムの世界なのですけれど、実際に政治的には、このような動きがあって面白いですよね。

飯田)それに対して、宇宙空間は公の空間であって、誰かの占有物ではないだろうとか、そういう地理的な概念のようなものも出て来るのですか?

奥山)出て来ますね。最終的には海のように、「自分の近くの地域だけを囲んでしまおう」などとなると、地球で行われているような領土争いが、月でも行われる可能性があります。

飯田)そうすると、国連の海洋法条約を宇宙へ援用するようなことになるのですか? 無害通航権になるのですか?

奥山)それもあると思います。

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