【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1006回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、7月16日公開の『竜とそばかすの姫』と、Netflixにて全世界独占配信中の『バイオハザード:インフィニット ダークネス』をご紹介します。
映画館で観たい!『竜とそばかすの姫』~少女の成長とともに、現実と虚構の二面性を描き出す
『バケモノの子』や『未来のミライ』などを世に送り出し、日本のみならず世界中の観客を魅了し続けているアニメーション映画監督・細田守。
最新作となる『竜とそばかすの姫』の舞台は、かつて『サマーウォーズ』でも描いたインターネットの世界。『時をかける少女』以来となる10代の女子高生をヒロインに迎え、勇気と希望の物語をつくり上げました。
『竜とそばかすの姫』のあらすじ
高知の田舎町で父と2人で暮らす内藤鈴(すず)は、17歳の女子高生。母と一緒に歌うことが大好きだった彼女は、母の死をきっかけに歌うことができなくなり、いまは1人で曲をつくることだけが心の拠り所となっている。
ある日、すずは親友に誘われて、インターネット上の仮想世界<U(ユー)>に参加することに。全世界で50億人以上が集う<U>では、<As(アズ)>と呼ばれる自分の分身をつくり、まったく別の人生を生きることができる。
そんな<U>の世界に「ベル」という名のアバターで足を踏み入れたすずは、この世界では自然と歌うことができた。ベルの歌は瞬く間に話題となり、彼女は世界中の人気者になって行く。
しかし<U>の住人たちから恐れられている竜の姿をした謎の存在が、ベルの前に現れ……。
『竜とそばかすの姫』のみどころ
母の死により心に大きな傷を抱えた主人公が、“もうひとつの現実”と呼ばれる仮想世界で大切な存在を見つけ、悩み葛藤しながらも未来に向かって歩いて行こうとする姿を描いた本作。
主人公のすず・ベル役は、シンガーソングライターとして活動する中村佳穂。劇中歌の歌唱や一部作詞も務め、思春期の少女が成長して行く様を瑞々しく演じています。
共演には成田凌、染谷将太、玉城ティナ、「YOASOBI」のメンバーikuraとして活躍する幾田りらなど、話題性抜群のキャストが集結。また、すずを母親代わりのように見守って来た合唱隊メンバーとして、森山良子、清水ミチコ、坂本冬美、岩崎良美、中尾幸世が参加。彼女たちが響かせる美しいハーモニーは、見どころならぬ“聴きどころ”です。
そして、物語のキーキャラクターとなる竜の声を務めたのは、佐藤健。<U>の世界に突如現れる乱暴で傲慢な謎の存在を、表情豊かに体現しています。
「インターネットの世界で『美女と野獣』をやったらどうなるか……という発想が、この映画をつくるきっかけでした」と語る、細田守監督。その言葉どおり、星空の下での抱擁や、ダンスを踊る姿など、竜とベルのシーンでは『美女と野獣』を彷彿させるような描写が散りばめられているのが印象的です。
壮大なスケールで創造された仮想世界<U>と、エモーショナルに描かれた高知県の自然あふれる風景。この相反する2つの世界観が見事に溶け合うリアルとファンタジーの融合に、このうえない感動と恍惚感を覚えることでしょう。
恋、友情、家族の絆、青春。これまでの細田守監督作品で描かれて来た普遍的なテーマを据えながらも、随所に新たな挑戦が垣間見える本作。ベルの歌声は、あなたの“世界”をも変えるかも。
お家で観たい!『バイオハザード:インフィニット ダークネス』~人気シリーズ初の連続CGドラマ
今年で25周年を迎えた、サバイバルホラーゲームの金字塔「バイオハザード」。シリーズ初となる連続CGドラマが完成しました。
ホワイトハウスを突然襲った謎のウイルス事件の真相を追う、レオン・S・ケネディとクレア・レッドフィールド。やがて辿り着く、恐ろしい陰謀の存在とは……。
スリリングかつスピーディーなストーリー展開が秀逸、息をもつかせぬ面白さ。実写映画かと見紛うほどに映像が美しく、どっぷりと作品世界に没入してしまいます。思わず悲鳴を上げてしまいそうなほど、グロテスクで迫力満点のクリーチャーにも注目ですよ。
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『竜とそばかすの姫』
2021年7月16日(金)から全国東宝系にてロードショー
キャスト:中村佳穂、成田凌、染谷将太、玉城ティナ、幾田りら、森山良子、清水ミチコ、坂本冬美、岩崎良美、中尾幸世、森川智之、宮野真守、島本須美、役所広司、石黒賢、ermhoi、HANA、佐藤健
メインテーマ:millennium parade × Belle 『U』(ソニー・ミュージックレーベルズ)
監督・脚本・原作: 細田守
配給:東宝
(C)2021 スタジオ地図
公式サイト https://ryu-to-sobakasu-no-hime.jp/
Netflixオリジナルアニメシリーズ
『バイオハザード:インフィニット ダークネス』(全4話)
Netflixにて全世界独占配信中
【スタッフ】
原作・製作・監修:株式会社カプコン
監督:羽住英一郎
脚本:武藤将吾、羽住英一郎
エグゼクティブプロデューサー:小林裕幸(カプコン)
製作プロデューサー:篠原宏康(トムス・エンタテインメント)
プロデューサー:古屋厚(ROBOT)
CGプロデューサー:宮本佳(Quebico)
フル3DCGアニメーション制作:Quebico
制作プロデュース:トムス・エンタテインメント
クリエイティブアドバイザー:トニー石塚(Sony Pictures Entertainment)
音楽:菅野祐悟
【日本語吹き替えキャスト】
レオン・S・ケネディ:森川智之
クレア・レッドフィールド:甲斐田裕子
ジェイソン:立木文彦
シェンメイ:潘めぐみ
パトリック:野島健児
グラハム大統領:井上和彦
ウィルソン国防長官:田原アルノ
ライアン大統領補佐官:小形満
原題:BIOHAZARD: Infinite Darkness
英題:Resident Evil: Infinite Darkness
(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
Netflix作品ページ https://www.netflix.com/title/80987064
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/