ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月26日放送)にエコノミストで複眼経済塾塾頭のエミン・ユルマズが出演。7月24日に行われた菅総理と仏マクロン大統領の首脳会談について解説した。
菅総理とフランスのマクロン大統領が首脳会談
菅総理大臣は7月24日、フランスのマクロン大統領と会談し、「自由で開かれたインド太平洋」の重要性を確認。自衛隊とフランス軍の部隊との関係強化などを盛り込んだ共同声明を発表した。また、中国による新疆ウイグル自治区や香港での人権弾圧に「深刻な懸念」を共有した。
飯田)23日の東京オリンピック開会式にマクロンさんも来ていました。いわゆるオリンピック外交というところですが、昼食会も含めて1時間半、いろいろと話したようです。
国際結婚の場合の親権をどうするか
ユルマズ)今回、唯一来てくれた首脳さんですからね。私が気になったのは、野村證券のトレーダーをやっていた男性で、日本人の女性と国際結婚をしたけれども、奥さんが突然子どもを連れて家を出て行ってしまったという方がいます。その後、離婚したけれど、別れた奥さんが子どもの顔を見せてくれない。しかし、日本の法律では、どうにもならないようなのです。
飯田)元奥さんが子どもに合わせてくれない。
ユルマズ)私は同様のケースを外国人コミュニティで何度か見ています。奥さんが家を出て行ったとか、奥さんが自分と結婚した理由が「ハーフの子どもをつくりたかったから」だったと言う友人もいます。彼はスタジアムの前でハンガー・ストライキを行っていて、今回、マクロンさんにも訴えたということです。3年くらい前から彼は日本でそのような働きかけをしていますが、今回の首脳会談でもこの話は出たようです。
飯田)ヴァンサン・フィショさんという方が10日からハンガー・ストライキを行っているということで、もうすでに2週間余りになるようです。
ユルマズ)そうなのです。皆さんの気づいていないところで、日本もグローバル化をしているのです。国際結婚のときに子どもの親権をどうするのか。いまの日本の基準では、子どもに会わせなくていいということになっているようなので、そこを国際基準にする必要があるのではないかという気はします。これから日本はより国際金融センター的な役割になるため、同じような人材が世界からたくさん来ますので。
フランスは共同親権だが、日本は単独親権で子どもはどちらかの親と暮らす~国際条約にサインをしていて法的なインフラはあるがどうにもならない
飯田)この議論として、日本は単独親権ということで、離婚した場合、子どもはどちらかの親と暮らすことになり、面会交流を認められない場合もある。フランスは共同親権の形で、一定の期間、「平日は母親と過ごして週末は父親と過ごす」というような形です。これは裁判所の取り決めによるのか、従わない親も多いのか、どちらなのでしょうか?
ユルマズ)どちらもあるのではないかと思います。フィショさんの話を聞くと、「日本は国際条約などにはサインをしているし、法的なインフラのようなものはあるのだけれど、実際には実行されていない」と言うのです。考え方の問題があり、外国人は立場が弱いので、現実的には会わせてくれなくても、どうにもならないという状況です。
共同親権を認めると、DVの元夫が乗り込んで子どもに危害を加える可能性も
飯田)ここの法律をどのように守らせるのかという話ですね。個別に具体的な話が出て来てしまっていて、冷静な議論ができないところもあるようです。一方で、共同親権を認めるとDVの親が乗り込んで来て、子どもに危害を加えるのではないかというような議論にもなっています。
■グローバル化の一環として解決すべき事案
ユルマズ)そうですよね。日本側からすれば、子どもを守ろうとしているということはわかるのです。フィショさんはいい方なのだと思いますが、悪いケースとして、子どもを外国に連れて行ってしまったり、まったく奥さんに顔を見せない、というようなこともなきにしも非ずです。難しい問題だとは思うのですが、これもグローバル化の一環なのです。フィショさんのような人たちが日本に来ていますし、外国人と結婚をしている日本人もたくさんいます。外国の方と結婚している確率としては、日本人の男性の方が実は多いのです。そのようなこともあるので、これは考えて行かなければいけないと思います。
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