ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月28日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。コロナ対応の執行が遅れ、予算繰越金が過去最大になったというニュースについて解説した。
コロナ対策の予算の使い残しが酷い日本
国の2020年度一般会計予算のうち、執行が遅れて21年度へ繰り越される額が過去最大の30兆円規模に達する見込みであることが判明した。政府が20年度に3度編成した補正予算73兆円のうち、使い残した額はその4割に相当する。
高橋)日本では予算の使い残しの中身が酷くて、愕然としましたけれども。医療方面に1兆5000億円の予算を付けたのに、それもほとんど使い残しているのでしょう。
飯田)コロナ対応の患者さんを受け入れたら、お金を払うというところ。
高橋)医療の供給を増やすためにやったのに、使い残しがあるのでしょう。あとは地方創生臨時交付金という、時短要請のための地方の補助金があるのですが、これも4.5兆円を付けたのに、ほとんど余っている。要するに政策をしていないのです。供給対策もしていないし、時短要請の協力金も払っていない。
飯田)予算を付けて、あとは実行する省庁なり都道府県、市町村が事務処理しきれていない。
高橋)これだけ使えていないと、事務処理の問題ではないと思います。
飯田)事務処理だけでは、ここまで使い残しは出ないですか?
概算払いができていない~予算を付けてやっていないのは、官僚のサボタージュ
高橋)官僚が従来の頭で、「精算払い」という、「事後的にきちんとチェックしてからお金を出します」というやり方をするのですよね。
飯田)「書類がきちんと揃っていなければダメ」というもの。
高橋)でも今回の場合は概算払いでやるべきなのです。概算払いというのは、とりあえず「ポン」と払っておいて、あとで事後精算するというパターンです。それがまったくできていないのですね。「予算を付けてやっていないのは、官僚のサボタージュだ」と私はきつく言いますよ。「事務処理できなかった」という言い訳は通らないと思う。
飯田)それは「仕事をしていません」ということを、大手を振って言っているだけに過ぎない。
高橋)それはダメです。やはり予算を付けられたら消化しなくてはいけません。
「精算払い」と「概算払い」~災害時には概算払い
飯田)飲食店の方が毎日の資金回転でやっているなかで、「書類が揃ってから、半年後に振込ですと言われても、当座の資金が枯渇する」という話は1年以上言われていますよね。
高橋)ずっと言われているから、政府でやっているときに「概算払いでやれ」と言っていましたけれどね。「精算払い」と「概算払い」の2種類があるのです。精算払いというのは、書類をきちんと見て、確定して出すやり方です。しかし、いまの状況は災害と一緒です。災害の際は概算払いでやるのです。先渡しという言い方をしてもいいような、とりあえず出しておいて、あとで確定する。補助金で精算払いが多いのは事実ですが、こういうときは災害と同じで概算払いにしなくてはなりません。
飯田)緊急性が認められる場合。
高橋)緊急なのだから、概算払いでやるべきです。事前にチェックするか、あとでチェックするかという違いだけです。
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