ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月29日放送)に慶應義塾大学・総合政策学部長の土屋大洋が出演。政府が埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県と大阪府に対し、緊急事態宣言を発令する検討に入ったというニュースについて解説した。
首都圏3県と大阪府に緊急事態宣言を検討~7月30日にも決定へ
政府は7月28日、新型コロナウイルス感染者が急増している埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県と大阪府に対し、緊急事態宣言を発令する検討に入った。早ければ30日の政府対策本部で決定する見通しだ。
飯田)首都圏3県と大阪での感染が増えて来た原因について、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が、28日の衆議院内閣委員会の閉会中審査で答弁しています。
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薄れている「緊急事態宣言」の効果~オリンピックによる感染拡大はないのか
飯田)メッセージの出し方、また、より広範な措置などを求めるという趣旨でありました。いかがでしょうか?
土屋)私たちには慶應病院がありまして、これは国立競技場にいちばん近い病院なのです。
飯田)そうですよね。
土屋)そういう面では、「五輪が感染を拡げてしまうのではないか」ということに注目していました。緊急事態宣言が出たことで、少し安心できるかなと思っていたのですが、なかなかそうならない状況です。実際、オリンピックの会場に入れないにも関わらず、周りに人がたくさんいらっしゃいますよね。
飯田)開会式のときなど、多くの人が集まったという報道がありました。
土屋)私たちもキャンパスが東京と神奈川に散らばっているものですから、「学生をどのようにして家に留めて置くか」ということは課題です。「家にいるように」「宴会などしないように」「みんなで観ることをやめるように」と一生懸命言っているのですが、私たちだけが言っていても仕方ないのですよね。周りの人たちが楽しそうにしていると、どうしてもついて行ってしまう。あるいはテレビでそういうものを見てしまうと、出歩いてしまう人たちも多いのではないでしょうか。そういう面では、緊急事態宣言の効果はあまり感じません。
飯田)何度も出て慣れっこになってしまっているという指摘もあります。
土屋)去年(2020年)、最初に出たときは、本当に人が街中にいなかったのが、いまは普通に出歩いている人が多いですから、なかなかこの効果が出ているかというと、出ていない気がします。
海外留学を希望する他大学の学生への接種も受け入れた慶應大学~2021年の留学が可能に
飯田)他方、ワクチンとの追いかけっこだという話もありますが、慶應大学は職域接種が早かったですよね。
土屋)職域接種ができるとわかってすぐ、「やります」と宣言をしました。私たちは病院、医学部、看護医療学部、薬学部が揃っていますので、一気に体制を整えまして、「5万人に打ちましょう」ということで学生、教職員、それから他大学で留学に行きたいという方々にも接種の機会を提供しました。
飯田)他大学の。
土屋)昨年、新型コロナウイルスのために留学を諦めた子たちがたくさんいるのです。その子たちが「今年も諦めなければいけない」と言っていたのですが、ワクチンを2回打てば行けるのではないかということで、慶應が率先してその方針を出しまして、他大学も、「慶應が打ってくれるなら、私たちも学生を送りたい」と言ってくれました。いま1回目が終わり、2回目が始まっています。
飯田)海外の学期は9月から始まるところが多いから、いま1回目を打っておけば、2回目を打って2週間開けても間に合うという感じなのですか?
土屋)ギリギリ間に合うと思います。
飯田)留学に関して、証明も必要になる国は多いわけですよね。
土屋)私たちは証明するときの書類を日英で併記しています。それを提出すればわかってもらえるという書類をつくるようにしています。
飯田)一部運用が始まっていますが、ワクチンパスポート。これに将来的にはおそらく代わって行くことになっていますが、いまのところ各自で用意するという形ですか?
土屋)現在、「7ヵ国くらいで使える」と政府が言っていると思いますが、アメリカでは使えない状況だと思います。アメリカ政府と話ができれば、かなり大きな助けになると思います。デジタルでやって欲しいですね。
飯田)でないと向こうも受け付けることが難しいし、不便ですよね。
土屋)「この紙は本物か」ということをいちいち調べていたら、キリがないと思います。
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