“ランドパワー”であるフランスと“シーパワー”のイギリス ~地政学から見るその「性格の違い」

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黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(7月29日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。ランドパワー、シーパワーという言葉を基に国々の争いについて語った。

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。7月26日(月)~7月30日(金)のゲストは地政学・戦略学者の奥山真司。4日目は、「ランドパワー」、「シーパワー」について---

 

黒木)国の地理的な条件を基に、他の国との関係性や国際社会での行動を考える地政学なのですけれども、地政学は世の中に必要なのですね。

奥山)霞が関の方々や、防衛相の方々が国際政治を見る際には、必ず1つの要素として、絶対になくてはならない見方です。

黒木)この地政学、戦略学者ということは、起こってはいけませんけれども、国同士が戦うときに地図を見て、どのように戦略すればいいかを考えると。

奥山)その通りです。そのベースになるのが、「ランドパワー」と「シーパワー」です。今回はその2つについて説明いたします。

黒木)ランドパワーとは?

奥山)ランドパワーは、大陸国家のことを言います。単純に言えば、ロシアとかフランス、ドイツ。現在では中国です。こういう大陸に根差して、陸上をベースにいろいろ商売をしたり軍事力を発揮しようとしたりする国々のことを指します。

黒木)ではシーパワーは?

奥山)シーパワーは、日本やイギリス、そしてアメリカも、実は海の勢力の一端なのです。そこでこのランドパワーとシーパワーは地政学では必ずぶつかってしまう。国の性格が違うので。ぶつかってせめぎ合いをしてしまうのだというところを、いつも前提として持っています。そういう見方をします。

黒木)なぜ衝突してしまうのですか?

奥山)「生き方が違う」というのが単純な理由です。海というのは海の勢力、シーパワー、日本もイギリスもアメリカも、それほど他の国の領土を「獲る、獲らない」というところには意識が行きません。「あなたのところの港をちょっと貸してくれ」ぐらいのことは言いますが、商売をさせてもらえればいいのです。商売をしようと、その代わり海の行動の自由は担保してくれよな、というのはシーパワーの国々です。

黒木)それでどうして国同士が衝突してしまうのですか?

奥山)ロシアやフランスやドイツのようなランドパワーの国は、どちらかというと海のところ、「お前、ここに来るなよ」と地域の海を囲おうとするので、「海の行動の自由をさせてくれ」と言うシーパワーの国々と衝突してしまうのです。歴史的に見ると、そう言うことが言えます。

奥山真司 / 地政学・戦略学者 国際地政学研究所上席研究員

奥山真司 / 地政学・戦略学者 国際地政学研究所上席研究員

黒木)イギリスとフランスのドーバー海峡などはどうなのですか?

奥山)まさにあそこが、その国の運命を分けるところでですね、島国のイギリスは世界でいろいろ植民地を持っていましたが、基本的に商売をベースにやりたいと。フランスなどはナポレオンなどが出て来て、革命を起こしたり、ロシアと戦争したり、ドイツと戦争したり、陸続きなので、隣でバチバチやりがちなところがあるのです。それで海で商売している人たちと陸の人たちがぶつかってしまうのです。だからあのドーバー海峡は、国の生き方というものを、決定的に分けてしまっているのです。フランス側がイギリスに攻めて行きたい、あいつら憎いということで行こうとしても、海があるのでなかなか攻めて行けない。

黒木)なるほど。

奥山)海によってイギリスは守られているのだという部分もありますね。フランスなどはすぐ隣にドイツという国があり、国境を接しているので、陸の守りを固めなければいけない。ランドパワーの国には神経質な国が多いという印象ですね。

黒木)ランドパワー、シーパワーが出て来ましたけれども、この両方を狙うと国が滅んでしまうということも、奥山さんのご本に書いてありました。大英帝国がまさにそうであったと。

奥山)そうですね。大英帝国というより、フランスがそれをやろうしたり、ドイツがそれをやろうとし過ぎて、国力が持たなかったのですね。ただでさえも、陸の守りもやらなければならないところに、船もつくらなければならない。船はお金がかかるのだけれど、同時にいろいろなことをやらなければならない。お財布は1つだから、お金が続かずに軍事力がダメになってしまうという例はいくらでもあります。

“ランドパワー”であるフランスと“シーパワー”のイギリス ~地政学から見るその「性格の違い」

奥山真司 / 地政学・戦略学者 国際地政学研究所上席研究員

奥山真司(おくやま・まさし)/ 地政学・戦略学者 国際地政学研究所上席研究員

■1972年・横浜市生まれ。
■カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学卒業後、英国レディング大学院で、戦略学の第一人者コリン・グレイ博士(レーガン政権の核戦略アドバイザー)に師事。
■独自の情報網と分析で活躍する地政学者の旗手であり、ブログ「地政学を英国で学んだ」は、国内外の多くの専門家からも注目。新の国家戦略論を紹介している。
■著書に『地政学・アメリカの世界戦略地図』『ビジネス教養 地政学(サクッとわかるビジネス教養)』、訳書に『中国4.0』など多数。

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