中東から中国へシフトするアメリカ ~アフガニスタンでタリバンの攻勢が続くも

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月13日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦がリモートで出演。反政府武装勢力「タリバン」が各地の州都を相次いで制圧したと宣言しているアフガニスタンの現状について解説した。

反政府勢力タリバンとの戦闘が迫る中、路上で警戒するアフガン治安部隊員(アフガニスタン・カンダハル)=2021年7月9日 AFP=時事 写真提供:時事通信

アフガニスタンでタリバンの攻勢が続く

アフガニスタンでは、反政府武装勢力「タリバン」が各地の州都を相次いで制圧したと宣言している。8月12日には南東部ガズニ州と、第3の都市である西部ヘラート州の州都をそれぞれ支配下に置いたと宣言した。タリバンが制圧を宣言した州都はアフガニスタン34州の州都のうち、合わせて11にのぼっているということだ。

飯田)3分の1を手中に収めつつあるということです。

「タリバン」の意味は「学生」

宮家)7月上旬に4分の1を獲ったと言っていたので、1ヵ月余りで3分の1と、かなり急ピッチだなという気がします。ところで飯田さん、「タリバン」と言いますが、なぜタリバンと言うか知っていますか?

飯田)知らないです。

宮家)アラビア語で「ターリブ」は「学生」という意味なのです。アラビア語では複数形は「トッラーブ」というのですが、それが現地のパシュトゥー語だと思うのですけれど、「ターリバーン」というのはターリブの複数形なのですね。何の学生かというと、イスラム法やイスラム神学の学生だということです。「学生なら勉強しなさいよ」と言いたいのだけれど、実は誰かが武器を供与して、支援しているわけです。だから単なる反政府勢力と言っても、しっかりとした組織を持っているのです。私が外務省にいた1996年にも今回と似たようなタリバンの大攻勢が起きました。

飯田)なるほど。

宮家)アメリカが「撤退する」と言えば、力の真空ができるのですから、当然それを埋めに行くわけですが、それを埋めることができるのは、結局タリバンだけなのです。そういう意味では、状況は悪い方向に進んでいて、いまはまたアメリカの大使館員などを避難させるために、3000人も米兵を送らなければならないという状況になっている。胸が痛くなる状況ですね。

中東から中国へ向けてシフトするアメリカ

飯田)アメリカ国内で「撤退するのはまずいのではないか」という議論は出ているのですか?

宮家)そういう議論はもちろんありました。ただ、こういうことが起こることはある程度覚悟しながら、ある程度は仕方がないという気持ちが強かったですね。アメリカの中東専門家は「これでは大変なことになる」とおっしゃるのだけれど、「アジアの方が大事でしょう」と言う人も増えて来ましたね。中国のチャレンジを考えて、中東も大事なのだけれども、中東ばかりやって行くわけにはいかないのだと、そういう意識は強く感じます。アメリカの外交政策はずいぶん変わったなと思います。

飯田)そうですね。

宮家)但し、中東で大きな事件が起きれば話は別です。しかし、そうでなければ、中国との競争という方向にアメリカのエネルギーを持って行くということです。

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