黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(8月17日放送)にクリエイティブ・ディレクターの鹿毛康司が出演。糸井重里から受けた影響について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。8月16日(月)~8月20日(金)のゲストはクリエイティブ・ディレクターの鹿毛康司。2日目は、糸井重里の影響について---
黒木)糸井重里さんがどのようなことをお話しなさっていたのかを聞きたくて、いろいろやっていたらご本人からメールが来たということですが……
鹿毛)不祥事を起こした企業の社員として私がテレビに出ていたときに、お会いしたこともないのに、メッセージというか、長い、千文字以上のメールをいただきました。私が活動していたところのそばにいたのかというくらいに、企業とはどういうものか、いまやるべきことは何なのかということが丁寧に書かれていまして、その洞察力がすごいと思いました。
黒木)それは、「こういうことが糸井さんに聞きたくて」ということがご本人に伝わっていたのですか? 伝わっていなくて、そういう、鹿毛さんが望んでいらっしゃるようなアンサーが来たということですか?
鹿毛)何も聞いていないです。ただ、私は糸井重里様を昔からコピーライターとして尊敬していました。だから、(WEBサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」でこの件についてコメントされていたのですが、翌日には消えていましたので)事務局の方に「どんなことをお書きになったのか教えていただけますか」と言ったら、「いま他の仕事があるので、後ほど」ということで、ご本人からいただいたものです。
黒木)糸井さんの言葉に「心というものなどない。そういう考え方があってもいいと思うけれども、“心というものはある”としておかないと何も見えなくなってしまうんだよ。だって、ほとんどの人間が心で動いているから。まずそこだけは共通の理解にしたい」という、糸井さんの著書の『思えば、孤独は美しい。』の一節がありますが、これは、鹿毛さんがお出しになった『「心」が分かるとモノは売れる』とリンクしていますよね。
鹿毛)リンクしていますね。
黒木)糸井さんからの影響は大きかったですか?
鹿毛)大きいですね。それから糸井重里さんをさらに研究しまして、いつか糸井さんとお話しできるまでの人間になりたいと思っていました。それで一生懸命頑張って「消臭力」のCMをつくりました。数年前に糸井様と対談をさせてもらいましたが、対談した中身のひとつひとつが丁寧で深くて、私の心を読みながらお話しされていました。見事だなと思いました。
黒木)短い文章のなかに伝わる言葉を探しているというか。だから長文のなかから1文を編み出すわけでしょう。
鹿毛)そこから離れて、人生だとか、「人とは何なのか」など、いろいろなことを考えていらっしゃるのです。そこにある「モワモワッ」としたものを言葉に変えて、「はい。どうぞお食べなさい」というような感じではないですかね。
黒木)そういうお気持ちで鹿毛さんもCMをおつくりになっていらっしゃると思うのですが、「消臭力」のCMは最初から評判になりましたよね。ミゲルくんが「消臭力~」と歌って、「これは何だ」と私も思いましたし、最近では西川貴教さんが「空気を変える」というのが出たときも、私、見入ってしまいましたもの。
鹿毛)その時代その時代に、みんなが空気を変えたいことをコマーシャルに乗せて、ミゲルくんから西川さんに出ていただいています。震災で西川さんやミゲルくんと出会ったのですが、「ほんのちょっとだけ、空気を変えるお手伝いができたらな」という生意気な気持ちでCMをつくっております。
黒木)お客様たちの心を「グッ」と掴むわけですね。
鹿毛)一緒になって考えるということですね。コロナ禍のいま必要なのは、笑い合うこと、許し合うことだと思います。「ボケたらツッコむ」というか。そういうような歌詞で、ちょうど歌い出してもらったところなのです。
黒木)新しいCMができたばかりなのですよね。
鹿毛)西川さんがそれを仙台の公演でアカペラで歌ったそうです。
黒木)そうですか。
鹿毛)そのことを私は西川さんから直接聞くのではなく、ツイッターの仲間が私に教えに来てくれるのですよ。そこにいる方々も含めて、お客様も西川さんも、みんな仲間で活動が進んでいるという感じがします。
鹿毛康司(かげ・こうじ)/ マーケター・クリエイティブディレクター
■株式会社かげこうじ事務所代表 マーケター、クリエイティブ・ディレクター。「お客様の心に向き合う」をテーマにマーケターとして活動中。同時にクリエイティブ・ディレクターとしてCM監督、プランニング、コピー、作詞作曲を手掛ける。
■早稲田大学商学部卒。ドレクセル大学MBA。
■雪印乳業を経て、2003年にエステー入社。
■エステーを日本有数のコミュニケーション力のある企業に導く。
■エステー執行役を経て、2020年に独立。かげこうじ事務所を設立。
■代表作は「消臭力」CM。2011年震災直後の「ミゲルと西川貴教の消臭力CM」で一大社会現象を起こす。
■現在、グロービス経営大学院教授、エステーコミュニケーションアドバイザー、日経クロストレンド・アドバイザリーボードメンバー/Ad-tech 東京ボードメンバー。
■受賞歴:マーケターオブザイヤー、WEB人貢献賞、ACCゴールド、フジサンケイ広告大賞ほか。
■最新の著書:『「心」が分るとモノは売れる』(日経BP)
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毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳