ワクチンの予防効果が従来より低い「デルタ株」の脅威

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東京都医師会理事で「セントラルクリニック」院長、日本内科学会総合内科専門医の蓮沼剛氏が8月23日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスのデルタ株について解説した。

ワクチンの予防効果が従来より低い「デルタ株」の脅威

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

一方、重症化しにくくなる効果は従来通り90%以上 引き続きワクチンが重要である

■基本再生産数は従来1.4~3.5人だったのが、デルタ株は5~9人に増加

飯田浩司アナウンサー)目下の新型コロナウイルスについて伺って行こうと思いますが、デルタ株の情報が皆さんのところにも入って来ていると思います。従来とはだいぶ違いますか?

蓮沼)いままでの新型コロナウイルスとは“別物”と考えてもいいくらい、大変なウイルスであります。

飯田)どこが別物なのでしょうか?

蓮沼)まず感染力が強いのです。基本再生産数という言葉がありまして、1人の感染者が感染症を有する期間に何人にうつすかという平均値です。元祖の新型コロナは1.4~3.5人だったのですが、デルタ株は5~9人に増加していると言われています。

飯田)1人の人が、最低でも5人にうつす可能性があるということですね。

■デルタ株、入院するリスクは従来の2.2倍、ICUに入室するリスクは3.8倍

蓮沼)次に重症化するリスクなのですが、デルタ株で入院するリスクは元祖の2.2倍、ICUに入室するリスクが3.8倍、死亡リスクは2.3倍と言われています。

飯田)そう考えると、感染力も強いし、それだけでなく重症化など深刻になるリスクも高いと。

■94%~95%だったワクチンの予防効果が54%~84%となるデルタ株

蓮沼)いままでのコロナは、ワクチンでだいたい94%~95%くらい予防できた(予防効果があった)のです。ワクチンの性能としてはものすごくいいのです。インフルエンザワクチンなどに比べても優秀です。ただ、デルタ株は、最近のデータではだいたい54%~84%くらいと少し低下しています。

飯田)すごい感染力の強さですね。そうすると、ワクチンを打ったから自分は普段通りの生活に戻ってもいいのだというわけにはいかない。

■デルタ株も、ワクチン接種者は従来通り重症化はしにくくなる効果は90%以上

蓮沼)そうです。ただし幸運なことに、重症化しにくくなる効果は従来通り90%以上あると言われていますので、やはりワクチンは大事ということですね。それと同様に、手洗いとマスクをよろしくお願いしますと。

飯田)ワクチンはある意味ベースの部分をつくり、その上で予防はしっかりしなくてはいけないと。

ワクチンの予防効果が従来より低い「デルタ株」の脅威

新行市佳アナウンサー、蓮沼剛氏、飯田浩司アナウンサー

ハッピー・ハイポキシア~低酸素血症が進行しても息が苦しくなりにくい

蓮沼)ハッピー・ハイポキシアという現象がありまして。

飯田)ハッピー・ハイポキシア。

蓮沼)無理やり訳すと「幸福な低酸素血症」となるのですが、突然悪化する人がときどきいますよね。在宅などでの経過観察でも、新型コロナウイルス感染症のなかでは「低酸素血症が進行しても息が苦しくなりにくい」という人がある程度いることがわかっています。

飯田)息が苦しくならない。

蓮沼)なぜこうなるかというのは難しいのですが、診断がついて入院して、「酸素が低いので鼻からつけましょう、マスクをつけましょう」と言われても、「悪くないのになぜつけるのか」と言うような人もいます。だから、パルスオキシメーターという指につける装置をもっと普及させて、経過観察中の人は必ずそれを定期的に測定するということにいまはなっていると思います。

(※情報は、番組を収録した8月前半時点のもの)

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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