岸田氏が語る 平時の社会経済活動に戻す「2つのポイント」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月8日放送)に岸田文雄衆議院議員が出演。自民党総裁選に立候補してからのこれまでの手ごたえについて、また、今後の自身の政策構想について訊いた。
自民党岸田派の臨時総会~選挙戦への決意呼びかけ
自民党総裁選への出馬を表明している岸田文雄衆議院議員は9月7日、東京都内で岸田派の臨時総会を開き、「前半戦の勝負は党員投票だ。国民、そして党員にしっかり向き合い、選挙戦を続けて行きたい」と述べた。
「意見ボックス」へは6000件の質問や意見が寄せられている
飯田)9月17日告示、29日投開票の自民党総裁選挙。正式に出馬表明されているのは、いまのところ岸田さんのみとなります(編集部注:2021年9月8日午前7時の放送時点)。この時間は岸田さんと電話をつなぎまして、お話を伺ってまいります。岸田さん、おはようございます。
岸田)よろしくお願いいたします。
飯田)7日には岸田派が臨時総会を開きました。党員投票の部分を強調されていらっしゃいましたけれども、立候補を表明されてから2週間近く経ちますが、手応えはいかがですか?
岸田)手応えは感じています。徐々に反応の数、いろいろな声も増えて来ています。「国民、党員の皆さんに向き合って発信する」という方針は、これからも続けて行きたいと思っています。
飯田)インターネット上で意見をつのる「岸田ボックス」を開設したということです。「#岸田BOX」の文言を付けて投稿すると、動画やツイッターで岸田さんが回答される。6000件以上ということですが、どういう声がありますか?
岸田)いろいろな声がありますが、やはり多いのは「コロナ禍において苦しんでいるんだ」「ぜひ政治にこういった声をしっかりと受け止めてもらいたい」という声。これが圧倒的に多いと思います。
数十兆円単位の経済対策をまとめる
飯田)断続的に記者会見を開かれて政策を訴えるなかで、最初はやはりコロナ対策というところをまずお話しされました。経済対策について、財政出動も含めてやろうという決意がかなり感じられました。どういうことをやろうとされていますか?
岸田)「医療難民」などという言葉が使われていますが、入院したくてもなかなか医療にアクセスできない。こういう状況に対して、しっかりと対応するということ。それと合わせて、いま経済対策の話が出ましたが、皆さんにコロナとの戦いで人流抑制に協力してもらうならば、それに見合うだけの経済支援がなければならない。数十兆円単位の経済対策を至急まとめるべきだということを訴えています。
飯田)スタジオには、数量政策学者の高橋洋一さんもいらっしゃいます。
数量政策学者・高橋洋一)高橋でございます。
岸田)おはようございます。
高橋)いま数十兆円規模の経済対策ということで、非常に期待が持てる数字を言っていただきました。財源については国債というお話だったと思いますが、それでよろしいですか?
岸田)はい、けっこうです。いまは非常時です。いるものはいる。それは国債、借金をしてでも賄わなければならないと思っています。
高橋)国債という話になりますと、あとの処理をどうするのか。いま借金とおっしゃいましたが、これはどうお考えになりますか?
岸田)当面は低金利時代がしばらく続きます。借金で賄いながら、経済の再生をまず考えて行く。成長をしっかり考える。再起動する。そこから始めて、「経済なくして財政なし」という順番で対策を考えて行かなければならないと思います。財政の重要性については念頭におきながらも、まずは危機を乗り越え、経済成長を復活させ、その先に財政の方向性を考えて行く。それが順番だと思っています。
「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「成長戦略」の3原則を堅持するべき
高橋)以前、自民党の勉強会で私は言った記憶があるのですが、このようなときに、「日本銀行と政府の連合軍」という話をしました。国債については通貨発行益という話もしたと思うのですが、そういうものでかなり賄えるので、あまり借金として認識しなくてもいいということをお話しさせていただいたと思います。それについてはどのようにお考えですか?
岸田)国債の意味、その取り扱いについては、いろいろな意見があるということは十分承知しております。しかし当面は、いま行っている大胆な金融政策、機動的な財政政策。そして、成長戦略。3原則と言っていますが、この3原則は堅持すべきだと思っております。
高橋)どうも、ありがとうございます。いまの言葉は国民に対して非常にいいメッセージだったと思います。
経済の正常化を図りつつ、財政健全化への方向性を考える
飯田)経済を浮揚させて、その先の財政を考えるという部分で、よく出て来るのが税金をどうするかという問題です。具体的には消費税を上げる、下げるというような話も出て来ますが、まず最初は経済の成長ありきと考えていいですか?
岸田)経済あっての財政だと思っています。経済の正常化をまずは図りつつ、財政健全化への方向性も考えて行く。その順番だと思っております。
飯田)その辺りで、経済成長率や物価上昇率など、具体的な数字目標はありますか?
岸田)まず、最大の目的はデフレからの脱却です。先ほど申し上げたような3原則は守って行く。物価上昇率2%を始め、当面の数字を目標としてしっかり掲げ続けなければならないと思っております。
平時の社会経済活動に戻す2つのポイント~ワクチン接種と経口薬の開発
飯田)コロナとの戦いというところで、当面はステイホームや行動制限などの対策になると思いますが、他方ではワクチン接種の進展に伴い、一部緩和してもいいのではないかという議論も出てまいりました。この辺りの緩め方はどういうイメージをされていますか?
岸田)目標とするのは、平時の社会経済活動を取り戻すということです。そのために、ワクチン接種は大変重要です。ただ、政府の目標でも、希望者全員に行き渡るには11月くらいまでかかると言われております。
飯田)11月まで。
岸田)そして、私はもう1つのポイントとして治療薬があると思います。口から投与できる経口薬の開発が、できるだけ早く平時の社会経済活動に戻るための1つのポイントになると思います。これを年内に開発しようと、いま努力を続けています。これは目標ですから、努力をいっそう続けなければならないわけですが、この2つがポイントになり、それが揃ったならば、平時の生活へ徐々に移行できると考えております。
憲法改正と自衛隊法の改正について
高橋)違う話になるのですが、先日、自衛隊法の改正の話を岸田さんがおっしゃっていました。それとの関係で、憲法改正と自衛隊法の改正について、道筋などを教えていただけますでしょうか。
岸田)アフガニスタンにいる邦人、または日本大使館の現地職員の救出のために、自衛隊機が向かったわけですけれど、結果的にまだ多くの方々が残されている。「遅かったのではないか」という指摘もあります。いまの法律ですと、現地政府の了解を取る、また現地の安全を確認しないと向かうことができないのですが、そもそも「危険な状況にある邦人や関係者を救出に行くのに、安全でないといけない」という問題があります。「これは国民感覚としてどうだろうか」という問題提起をさせていただきました。そして、その法律について考える際に、憲法を始め、他の法律との整合性を考えなければならない。このように申し上げました。
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