東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が9月15日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルス感染症に対して、東京都医師会が行って来たことと、医師会に対する批判について語った。
医師会主導でPCRセンターを増設
飯田浩司アナウンサー)医師会に対して、「民間病院はコロナの患者さんたちを受け入れていないではないか」と批判されることがありました。実際はどういう努力をされて来たのですか?
尾﨑)2020年4月ごろは、PCR検査が十分にできず、非常に不自由な思いをしました。発熱患者が検査をなかなか受けられない。そこで、自分たちでできるようにしようということで、医師会主導でPCRセンターというものをつくって来ました。当初、感染症を診られる部署は118ヵ所だったのですが、いまは6319ヵ所にまで増えています。これはもちろん東京都がやることですけれども、医師会が協力、要請をし続けた結果だと思います。
飯田)東京都に対して。
尾﨑)検査から医療体制を含め、すべての面において、病院の先生、診療所の先生たちと一緒になって休みなくやって来ました。ただ、会員の先生のなかにも一部、そういう意識にならない先生もいます。どんな組織でも、熱心な人ばかりではありません。例えば「医師会は発熱外来もやっていないではないか」と批判されますが、多くの先生、6割~7割の先生方にはそういうことに協力していただき、毎日、疲労困憊のなかでやっています。そういうところを評価していただければと思います。
医師会と飲食店業界が争っているかのような報道
飯田)よく飲食店、または経済界と医師会の対立、というような切り取られ方をしてしまうところがあります。以前から「その2つは対立ではない」という話をされていました。これはメディアの責任が大きいと感じますか?
尾﨑)初期は飲食店での飲酒が原因になっていましたので、「いまは控えてください」という話はしました。でもその際、「必ずそれに見合う補償はしっかりしていただきたい」ということも訴えていました。ところが、「自粛しろ」という話だけが取り上げられてしまったようなところはありました。
飯田)その部分だけが。
尾﨑)感染者を減らして医療体制に負荷をかけない、そしてコロナ診療と一緒に通常医療もやって行く体制を維持するということが、私たちの責務です。そのため、感染予防を皆さんに呼びかけるのは当然だと思います。感染予防のために行動を自粛されては経済が持たない、そう言われるのも当然だと思います。それをマネージして、国民にしかるべき行動を呼びかけるのは、政府や都など行政の役割です。
飯田)そうですね。
尾﨑)そこを言わず、医師会と飲食店業界の争いのような形にして、それをそのまま見守っているのはおかしいのではないか。政治の役割がきちんとしていれば、感染症の司令塔というところがあって、そこが国民に向かってアピールし、国民も納得できれば、いまのような不毛な争いは起きていないだろうと思います。
飯田)現場で頑張っている人たちのモチベーションが落ちてしまうという。それはまずい展開ですよね。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます