東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が9月17日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルス感染症に関する東京都、国に対しての要望について語った。
東京都へは縦割りの組織のあり方を変えて欲しい
飯田浩司アナウンサー)東京都に対して、また国に対して「ここはこう変えたらどうか」という、いろいろな要望があると思いますが、まず東京都に関しては何を要望したいですか?
尾﨑)東京都については、いままで我々の現場の要望をよく聞いていただいて、車の両輪の形でやって来ました。組織的に縦割りで、バラバラに動くのではなく、統合してうまくやる……そういう形にもう1度改善していただきたいと思います。
国に司令塔がいない~有事として感染症に臨む体制をつくって欲しい
尾﨑)国に対しては、司令塔がないということです。分科会は分科会ですから、何かの組織の下につくっているわけです。そうではなく、感染症対策を独立して、「有事の際の感染症、パンデミックにはこう臨む」という体制をつくり直して欲しいです。そこがしっかりとした意見を言って、それを政府が取り入れてマネジメントする。その内容を、国民にも包み隠さず訴えるような仕組みに変えていただきたいと思います。
望まれる国産ワクチン
飯田)ワクチンに関しても、だいぶ接種が進んで来ました。いまは、アメリカやイギリスの製薬会社のものを輸入して来ている形です。「国産はどうなのか」という声がいろいろなところで上がっていますが、これはどうですか?
尾﨑)今後、ブースターでもう1度打つ、また冬場になればインフルエンザのワクチンも混ざって来ます。そうすると、いまのように6人で1単位とか、10人で1単位のものを打つということになると、3回目の接種が滞ってしまいます。できればインフルエンザワクチンのような、常温で管理できるタイプの国産ワクチンが出て来ればありがたいと思います。
ある段階に入ったら、新型コロナを2類相当からインフルエンザと同じ扱いに変えるべき
飯田)無症状や軽症での感染者は一定程度出るかも知れないけれど、ワクチンが普及すると、重症者は抑えられて来る。PCRで陽性になった人は、いまは基本的に保健所の管理下になりますが、保健所のマンパワーがとてもひっ迫しています。この辺りのやり方も、今後は変えて行く必要がありますか?
尾﨑)そういう段階に入ったら、いまの2類相当の指定感染症という状態から、インフルエンザと同じような扱いに変える必要があると思います。
飯田)その方が現場のお医者さんの投薬やケアもやりやすくなりますか?
尾﨑)やりやすくなりますし、症状の重い中等症の患者さんを「入院させてくれ」ということも、いまは診療所から直接病院に言えないのです。必ず保健所を介さなければならない。保健所の負担を減らすということも含め、ワクチンが行き届いた段階で、検討すべき課題になると思います。
飯田)そういうことを検討すると言えるのは、少し先が見えて来たということですか?
尾﨑)それはあると思います。出口が見える11月の終わりごろまで、しっかり頑張ってもらうということが大事だと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます