ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月24日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。自民党総裁選について解説した。
オンラインでの討論会開催~自民党総裁選
コロナ禍での総裁選に、自民党はオンラインでの選挙戦を展開。9月23~26日には、特設サイトで国民から募集した質問や意見を基に、候補者が議論する政策討論会を初の試みとして行う。
飯田)自民党総裁選について、オンラインの討論会が開催されております。さまざまなテーマで話すということですが、宮家さんが論点として挙げるとすれば、どういうことがあるでしょうか?
宮家)私は内政の専門家ではないので、余計なことは言いません。しかし年金に関しては、私自身の年齢の関係でも関心がないわけではありません。ただ、いちばん気になるのは、やはり外交です。
飯田)外交。
宮家)外交については、各候補者の方々にそれぞれお考えがあって、ニュアンスの違いがあると思いますけれども、何と言っても、外交は継続性です。「継続してなんぼ」なので、政権が変わる度に、言うこと、やることがコロコロ変わってしまってはどうしようもないですよね。
安倍・菅外交をどう変えるのか
宮家)過去9年間、安倍・菅外交が何をしたかと言えば、単に「長期政権で安定した外交をやりました」ということだけではないと思います。やはり20~30年、過去を振り返ってみると、アメリカが中東の陸上で戦争ばかりやっているときに、中国がアジアの海の上で台頭して来たという、戦略的にも大きな変化がありました。されば、今後も日本はそれに対応する外交をしなければいけません。これが過去9年間の安倍・菅外交であったと思います。その意味では、変えようがないと思いますし、もし変えるというなら、どうやって変えるのかということは気になります。
今後、日本はどうやって生き残るのか
飯田)アメリカとの関係を強固にしつつ、中国を睨みつつ、東アジア全体を見る。
宮家)一般的に言うとそうなってしまいます。私の説明が少しいつもと違うのですけれども、日本はいま「生き残り」をどうやって考えるかが一番大事です。
飯田)生き残りを。
宮家)内政、外交両方で、ということです。日本は人口が減って行くかも知れないし、経済的にもう高度成長は求められない。社会保障の必要性が高まるし、安全保障も大事だという、このバランスをどう取るのかと考えるわけです。国内ではいろいろな施策があって、年金ももちろんそうですし、若い世代への支援などいろいろなことがあると思いますが、外交の目的に関する限り、それは「生き残り」です。
安全保障上の抑止力をどう持つのか~高齢化して行くなかで防衛費を増やさなくてはならない
宮家)これだけ世界で大きな変化が起きていて、中国がこれだけ大きくなっているときに、我々は一体どうやって生き残るのかということを考えると、残念ながら、もはや70年代の日中蜜月のような時代はもうないのです。日本は真剣に生き残りを考えなくてはいけないし、それに必要な安全保障上の抑止力を持たなくてはいけない。
飯田)安全保障上の抑止力を。
宮家)高齢化して行くなかで、社会保障費を削るわけにはいかないし、防衛費は増やさなくてはいけない。どこで折り合いをつけるかということは、どの総理・総裁も考えなくてはいけないと思います。
飯田)どこで折り合いをつけるか。
国家戦略とは何か~現在の生活を維持し、国際社会で信頼される国にならなければいけない
宮家)その議論をして欲しいのです。国家戦略とは何なのか、我々はこれからどうするのか。子どもたちや孫のことを考えれば、このまま萎んで行く、衰退して行くというのは、私は嫌です。少なくともいまの生活を維持して、しかもいま以上に国際社会で尊敬され、信頼される国にならなければいけない。そうなると、やることはおのずから決まって来るのだと思います。私はその議論が必要だと思っています。ただ、これは過去70年間ほとんどなかった議論です。いまほど危機感を持たなければいけないときはないと思います。
性悪説で最低限のことをしなくてはいけない
飯田)いままでは、日本人の美しさや価値観のなかでコツコツやっていれば、きっと誰かが見てくれていて、報われるということがありました。いいものをつくり、国のなかで頑張るのだということをやって来たわけですけれども、国際社会のなかで考えると、いま以上にアピールや構想する力がリーダーにはより必要になるわけですか?
宮家)その通りです。日本国内では性善説でいいのです。いい人たちが多いから。しか、し私の経験だと、国外において性善説ではダメだと思います。やはり性悪説で考えなければいけない部分があります。性悪説で最低限のことをしなくてはいけないとなると、結論は決まって来るでしょう。
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