内閣官房副長官に元警察庁長官の栗生俊一氏が起用される理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月4日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。岸田新総裁が新内閣において事務担当の内閣官房副長官に元警察庁長官の栗生俊一氏を起用する方針を固めたというニュースについて解説した。
内閣官房副長官に栗生俊一・元警察庁長官を起用
自民党の岸田文雄総裁は10月4日に発足する新内閣で、事務担当の内閣官房副長官に栗生俊一・元警察庁長官を起用する方針を固めた。栗生氏は警察庁で刑事局長や官房長などを歴任。2018年から2年間、警察庁長官を務めた人物だ。
飯田)内閣官房副長官。衆議院、参議院の両方から1人ずつ出るという政務担当の方がいますが、事務担当は杉田和博さんという方がずっと務めていました。
須田)9年間やっていたということですが、異例の長期就任であり、各省庁に安定した太いパイプを持っていることから任せたということです。政務担当の官房副長官は、衆参両院から1人ずつということですが、これは単純に官邸と議会、衆議院・参議院との連絡役という役割なのです。
飯田)官邸と議会の連絡役。
須田)ところが事務担当の官房副長官というのは、まったく状況が違って、官僚機構のトップに位置するような、つまり官僚のなかでいちばん偉い人なのです。なぜ栗生さんがそうなったのかと言うと、警察庁の官房長という、他省庁、特に財務省や国会との調整役を務めたということで大きく評価された人なのです。警察絡みの法律は微妙なものが多いので、その辺をうまく調節しながら進めて行ったということが評価されたのでしょう。
大きな力を持つ官房副長官補
須田)もう1つはあまり知られていないのですが、「官房副長官補」という呼び名があります。ただ単純に代理のようなイメージではなく、ここには3人のポストがあるのですが、かつての内政審議室や外政審議室のようなセクションの名称でもあるのです。セクションのトップに座る人は「官房副長官補」という肩書を得るのですが、各省庁から外政であれば外務省中心に人を集めたりする。経済安全保障であれば、ここを中心にやって行くのだと思いますが、各省庁からスタッフを呼んで来て、政策立案や法律の叩き台をつくるという、シンクタンクであると同時に実務部隊のような存在です。これを配下に持っているというところが、官房副長官の大きな力の源泉です。
飯田)補室というような略称で読んだりもしますね。
須田)そうですね。ここがブラックボックスとなっていて、おそらくいまの新聞社でもきちんと取材ができている人はいないのではないでしょうか。そこが肝で、いま何をやっているのかを探るのが我々の仕事なのです。そのような意味で言うと、官房副長官の役割というのは、これからも大きくなって行くのだろうと思います。
国家安全保障局長~警察庁から来るのか外務省から来るのか
飯田)経済安全保障の話も出ましたが、省庁横断型の新しい法律ができるときは、ここが相互調整を担って行くということになるわけですよね。いままでいろいろな省庁から事務担当の官房副長官が出ていましたが、杉田さんは警察出身、今回の栗生さんも警察畑ということで、警察から2代連続で出たということはどうなのでしょうか?
須田)異例といえば異例です。批判的な人などはすぐ「公安的だ」というようなイメージで捉えてしまうのですが、そのようなことはないのだろうと思います。むしろ注目して欲しいのは、国家安全保障局長は「警察庁から来るのか、外務省から来るのか」でせめぎ合いがあるのです。いまは外務省出身の方ですよね。
飯田)そうですね。前の外務事務次官が入っているという形です。
須田)その前は警察庁からですので、そのような意味で言うと、「外務省が獲ったのか」というイメージが官僚のなかでは大きい。しかし、このポストは旧内務省が中軸になって回して行くという方向で概ね理解されているため、それほど違和感はないと思います。
北村滋・前国家安全保障局長
飯田)官房副長官のポストに前の安全保障局長だった北村さんが行くのでは、という噂まであったくらいですからね。
須田)北村さんの場合はポストに就かず、外からでも大きな影響力を発揮すると思います。
飯田)経済安全保障も含めてのプロでもあるわけですからね。
須田)そうですね。
経済安全保障が岸田内閣の1つのキーワードに~日本版CIAという発想
飯田)経済安全保障が岸田内閣の1つのキーワードになることを考えると、そこのポジション、NSSの経済班というのが、これから先は重要になって行きますか?
須田)甘利さんがどのような差配をするのか、そこに高市さんがどのように絡むのか、というところになるのではないでしょうか。もう少し踏み込んで言うと、安倍さんが兼ねてから言っていますが、「日本版CIA」のような発想があるのかと思います。
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