「思春期妄想症」「離人症」……思春期独特の精神疾患の症状を知る

By -  公開:  更新:

東京都医師会副会長で「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が9月29日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。思春期の精神疾患について解説した。

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

思春期独特の精神疾患 ~「思春期妄想症」「離人症」「対人恐怖症」

飯田浩司アナウンサー)精神疾患入門と題して、巷でよく聞く精神疾患の症状や実態などについて取り上げます。精神疾患は大人だけではなく、お子さんにも患者さんがいたり、症状が現れるということが近年広く知られるようになって来ました。思春期の症状で特徴的なものはありますか?

平川)思春期独特の「思春期妄想症」や「離人症」、「対人恐怖症」などが挙げられます。

思春期妄想症

飯田)まず、「思春期妄想症」というのはどういうものですか?

平川)例えば「自己臭」、「自己臭症」とも言いますけれども、腋臭やおならが気付かないうちに漏れていて、周囲だけが気付いていて自分のことを嫌っている。または変な人物として見ているのだと思い込み、登校を嫌がったり引きこもることがあります。

飯田)他の症状としてはどんなものがありますか?

平川)やはり思春期独特の症状で「醜形恐怖症」というものがありますが、これもこの時期に見られる病気です。鼻や目の形が変だとか、左右の親指の形が違うのを何とか直して欲しいと。「この醜さのために自分は交友関係がうまくいかない」「嫌われているのだ」と考えてしまうのです。こんなひどい鼻、目の形では周囲に不快感を与えていると確信しています。

離人症 ~リストカットやバイクで乱暴な運転をする場合も

飯田)先ほどもう1つ挙げられていた「離人症」はどういう病気ですか?

平川)自我意識の症状なのですが、例えば朝、いつも行く登校途中の景色が何となく、昨日と違う。少し遠のいた感じがする、または薄いベールを通して見えているように感じ、景色が「キリッ」と見えて来ない。考えてみると自分の体感もはっきりしない。感覚が鈍くなっている感じで、極端になると「生きているのか死んでいるのか、自分では理解できないような感じになる」という、現実感が薄れてしまうような状態です。

飯田)それは具体的な行動として現れることもあるのですか?

平川)非常に不快な症状ですし、怖いものですから、自分を現実界に戻そうと思うようです。なかにはリストカットをした痛みで「自分は大丈夫、生きている、ここにいるんだ」とわかったり、バイクで乱暴な運転をして、ギリギリのところで生きている事実を感じるという、かなり危ない行動を取ってしまう場合があります。

飯田)なるほど。生きている実感をどこかで得たい気持ちが、そういう行動になる。

平川)そうですね。大人になればもっと違う行動があると思いますが、思春期の頭で精一杯考えて、そういう行動を取る場合があります。

新行市佳アナウンサー、平川博之氏、飯田浩司アナウンサー

力強い成長や健康なパワーも併せ持つ思春期の子ども

新行市佳アナウンサー)思春期の精神疾患の特徴というのは、どういうものが挙げられるのでしょうか?

平川)どう見ても重症な精神病と思える病態を呈しているお子さんが、みるみるうちに治って行くことがあります。言ってみれば誤診したようなものなのですが、「嬉しい誤診」とも言えることがあります。そういう点では、この時期のお子さんには、成長や健康なパワーを感じます。ですから、この時期は弱い面と強い面、両面を持っているのですね。

学校では保健室の先生がキーパーソンになる

飯田)周りで対応する場合、注意すべき点はどういうことでしょうか?

平川)先ほども申し上げましたけれども、症状が大きく変わるので、ある日、ある時点の症状をもって安易に判断、診断することは危険です。あまり「○○病」とラベルにこだわるのではなく、お子さんの独特な精神状態を認識することが大切です。

飯田)子どもの生活は、学校に入ると親には見えない部分も多くなります。家だけではなく、周りがやらなくてはいけないことがあるわけですか?

平川)この時期の生活の中心は学校ですから、担任の先生やスクールカウンセラー、そして大事なのは保健室の先生。この先生がキーパーソンです。この方々と我々がいかに連携しながらサポートするかということが重要だと思います。

飯田)そこにコロナ禍が来ると、難しいところもありますものね。

平川)昨年(2020年)からのコロナ禍によって、自殺者の数が増えていますが、特に若い方の自殺が増えたことが気掛かりです。早急に手を打たなければならないと感じています。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

Page top