“発達障害“”とは何か— 東京都医師会副会長が解説
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東京都医師会副会長で「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が9月27日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。日本における発達障害の現状について解説した。
発達障害の人が生きにくい世の中になっている~全国で約50万人
飯田浩司アナウンサー)最近よく聞く精神疾患の症状や実態、その原因、治療法、周りの人たちとの対応の方向などについて伺って行きます。まずは発達障害についてです。名前を聞く機会も多くなり、注目度も上がっているように思うのですが、実際はどうですか?
平川)実数が増加しているかどうかは定かではありませんが、町医者の肌感覚としては、増加しているように感じます。ご本人や周囲の方が気付いて受診している人が増えているという感じです。おそらく背景の1つとして、社会環境が変化し、ますますこのような障害を持っている人たちが生きにくい世の中になっているということだと言えます。
飯田)自分で公言している人もいますよね。
平川)その一方で「自称発達障害」も増えています。そのような方は思い込みが多いように感じます。しかし、そのような方たちは、「ここぞ」というときにはやるべきことをしっかりと達成していますが、発達障害の方は「ここぞ」というときでも、普段の生活と同じようにやってしまうのです。
飯田)全体の割合で言うと、どのくらいになるのですか?
平川)なかなか調査は難しいのですが、厚労省の発表では小中学生で6~8%、大人でも3%と、ざっくり見ても50万人くらいいるのではないかと言われています。決して稀ではないのです。
ADHDやアスペルガー症候群など、何種類もある発達障害
飯田)そもそも発達障害とは、どのような病気と捉えればいいのですか?
平川)名前の通り、脳機能の発達にアンバランスがある状態です。
飯田)アンバランスの状態によって、いろいろと種類があるということですか?
平川)そうですね。一般的によく知られているのは、「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」と言われるものです。あるいは広汎性発達障害、アスペルガー症候群や学習障害、発達性協調運動障害などが代表的な発達障害です。
飯田)いくつか重なったりすることもあるのですか?
平川)おっしゃる通りです。単一のものもありますが、かなりの確率で重なり合うことが多く、2つ3つが濃淡を持って混在します。
差別するのではなく、「ある特性や特徴を持った人」として認め合うことが大事
飯田)そのような方々に対して「どう支援するか」ということを考えて行かなければいけませんね。
平川)いずれにしても発達障害の方たちへの支援は必須です。発達障害というラベルを貼って差別するのではなく、ある特性や特徴を持った人として認め合うことが大事です。彼らとともに歩むにはどうすればいいのか、まさに多様性の時代の話です。
「3障害」……身体障害、精神障害、知的障害
飯田)そもそも障害者の内訳というのは、どのようになっているのですか?
平川)障害者は現在、「3障害」という大きな区分があるのですが、身体障害者が436万人、精神障害者が392万人、知的障害者が108万人と、決して精神障害者は少なくありません。そのような障害のなかでも、差別や壁のようなものがあるのかなと感じています。発達障害というのは、協調社会を謳ういま、その壁を打ち破るケースとして重要だと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます