10代・20代におけるモデルナ社製ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎
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東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が11月2日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。10代のワクチン接種について解説した。
ワクチン接種の年齢を12歳で区切った理由
新行市佳アナウンサー)現在12歳以上の子どもに対してワクチン接種が行われております。政府が明らかにしている年齢別接種実績によりますと、10月末時点で50代以上の2回接種率は8割以上。これに対して、12歳~19歳の10代は1回目の接種を終えている人が67%、2回目接種完了が48%になっています。この数字についてはどうご覧になりますか?
川上)地域によっては、接種券の発行時期が夏休み近くになっていたところも多いので、8月~10月の3ヵ月間でここまで接種が進んでいるということは、いい成績だと思います。
新行)ワクチン接種の年齢を12歳で区切ったのは、どういう意図があるのでしょうか?
川上)1つは、世界的に罹った人たちの統計に基づいているだろうということ。また、子どもたちの発育時期の要素もあるのではないかと思います。
ワクチン接種について理解しようとする子どもたち
新行)学生の方がワクチン接種について考える機会、知る機会はこれまであったのでしょうか?
川上)ほとんどなかったと思います。ただ、スポーツのイベントがなくなり、学校の行事がなくなるという状況のなかで、子どもたちは子どもたちなりに、「自分たちはどうしたらいいのか」ということを考えているのです。私が関係している団体のお子さんたちも、「なぜ受けなければいけないのか」、「受けるとどのような副反応があるのか」など、多くの質問をいただきました。ある晩などは2時間かけてお話ししたことがあります。
新行)そうなのですね。
川上)「子どもたちがよく考えてくれているのだな」と感動しました。
新行)これをきっかけに、ワクチン接種を正しく理解して考えるというのは、いいことですね。
モデルナ社の新型コロナワクチン接種後に心筋炎・心膜炎の発症事例
新行)モデルナ製のワクチン接種後、ごく稀に10代~20代の男性に心筋炎や心膜炎を疑う事例が報告されて、1回目の接種後にファイザー製への変更が可能になりました。ここについても詳しく教えていただけますでしょうか?
川上)あまり報道されていませんけれど、コロナに罹ったときでも、心筋炎・心膜炎を起こしている人はかなりの頻度でいるのです。その数から見ると、ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎の頻度は、20分の1よりも少ないくらいです。1桁~2桁違うと思います。統計を取ると、ワクチン接種で心筋炎・心膜炎が起きているということと、ファイザー製よりモデルナ製の方が少し頻度が高いということがわかって来ました。心配して2回目を受けたくないけれど、ファイザー社のワクチンなら2回目を受けるというのであれば、そうしましょうということで許可が出ております。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます