東京都医師会理事で「ケイアイクリニック」理事長の消化器内科医、黒瀬巌氏が11月22日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。ワクチン接種証明、PCR・抗原検査の陰性証明の今後のあり方について語った。
ワクチン接種証明書だけでなく、PCR検査などの陰性証明書を併用する
飯田浩司アナウンサー)既に新型コロナワクチンを2回打った方が、日本国内では7割を超えました。接種証明について、正式なものはあるのですか?
黒瀬)国が発行しているのは、いまのところ海外渡航用の「新型コロナワクチン接種証明書」だけです。国内向けには、ペーパーのものとスマホなどに入れるデジタル的なものの2つを企画しているようです。詳細はまだ発表されていませんが、いずれは実用化されると思います。東京都では、「TOKYOワクション」というデジタル証明書を出すことになっています。
飯田)ブレイクスルー感染などもあり、ワクチン証明だけでは不十分ではないかということが言われますが、その辺りはいかがですか?
黒瀬)ブレイクスルー感染の怖いところは、ご自身の症状が出ない場合が多いということです。感染していることを知らないうちに、ワクチンを打っているからということで、お店に入ってしまう危険性がある。周りにワクチンを打っていない方がいると、その方にうつしてクラスターを起こしてしまう可能性があります。そういうときには、ワクチン証明書だけではなく、必要に応じて検査の陰性証明書を併用されることも1つの手段かと思います。
PCR検査と抗原検査を使い分ける
飯田)検査の陰性証明というのは、どういう検査になりますか?
黒瀬)PCR検査、抗原検査があり、抗原検査には定性検査と定量検査があります。それぞれに利点、欠点があるのですが、最も正確だと言われているのがPCR検査です。ただし、これには検査時間がかかり、費用もある程度高くかかってしまいます。
飯田)PCR検査は。
黒瀬)一方で抗原定性検査は簡単です。早く結果が出て、しかも安い。利点としては精密さより素早さ、簡便さがあります。飲食店に入る直前にPCR検査を受けても、その日はもう入れません。抗原検査ならば、5~10分で結果が出ますので、少しお待ちいただくだけでお店に入ることができます。
抗原検査でも感染者の判別はできる
飯田)感染しているかどうかもそうですが、抗原検査の場合は、いま他の人に感染させてしまうかどうか、その可能性がわかるということですね。
黒瀬)その通りです。抗原定性検査をするためには、鼻のなかに2センチほど綿棒を入れて、鼻水を採取して検査します。鼻の出口付近にどのくらいウイルスがいるか見るという意味で、抗原定性検査を行います。
飯田)綿棒を鼻に入れますね。
黒瀬)鼻の先にたくさんウイルスがいる場合、精度が多少落ちても抗原定性検査で十分引っかかります。そういう方はご自身に症状がなくても、「サイレントスプレッダー」と言うのですが、「静かなる拡散者」ということで感染している可能性が高い。その場合は入店をご遠慮していただいたり、イベントの参加を遠慮していただくことになります。
飯田)サイレントスプレッダー。
黒瀬)状況に合わせて判断するべきだと思います。室内で人が密に集まるようなところでは、ワクチンも打っていて、かつ抗原検査が陰性の方でなければ入ることはできない。しかし、屋外でスポーツ観戦をするような、あまり密な環境ではない場合、ワクチン接種だけ、または抗原検査が陰性であるなど、どちらかの証明ができればいいと。今後はそういう形になるのではないでしょうか。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます