透析患者が新型コロナに感染したら
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東京都医師会理事で「三軒茶屋病院」院長の腎臓専門医、大坪由里子氏が12月3日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナと人工透析について解説した。
透析施設での新型コロナ対策
飯田浩司アナウンサー)人工透析をされている方の平均年齢は69歳だということです。病気を抱えている上に高齢ということで、新型コロナ感染へのリスクは高くなります。感染対策は大変だと思うのですが。
大坪)透析施設では、感染対策にかなり注意しています。免疫力が低いので、通常の方よりも少ないウイルス量で簡単に感染してしまうことと、感染後に重症化するリスクが高いのです。
飯田)そうですよね。
大坪)データによると、新型コロナに感染した透析患者さんは2657名いらっしゃいます。そのうち、亡くなった方が413名いらっしゃるので、死亡率が15%ということになります。
飯田)死亡率が15%。
大坪)一般の方に比べるとかなり死亡率が高い。オープンスペースのなか、皆さんで受ける施設が多いので、手洗いからマスクの着用など、非常に注意を払って透析を行っています。
ラバーシーツに代えて毎回消毒
飯田)大部屋の透析施設で、週3回も行うということだと、皆さん入れ替わり立ち替わりの形で人工透析を受けることになります。そうすると、1回1回、終わったあとに消毒をするのですか?
大坪)そうですね。シーツなどが原因になるということで、ラバーシーツのようなものに代えて、毎回消毒液で拭けるようにしています。ご自分でバスタオルを持って来ていただき、敷いてもらう形式に変えたクリニックもあります。
飯田)シーツの共用もできなくなってしまう。
大坪)いろいろ改良しているところです。
新型コロナ感染の透析患者も受け入れる「三軒茶屋病院」
飯田)先生のいらっしゃる「三軒茶屋病院」でも、コロナの患者さんの受け入れが別途ありながら、透析も受けるという形なのでしょうか?
大坪)22床のコロナ病棟をつくりました。そのなかで、コロナの透析患者さんも受け入れるという形になっています。
飯田)コロナに感染してしまった透析患者さんを受け入れる病院は、かなり少ないのでしょうか?
大坪)東京都には70床ぐらいあるとは言われているのですが、第5波のときのように、1日に何千人も感染者が出てしまうと、透析患者さんのコロナのベッドが70床ぐらいでは、あっという間に埋まってしまいます。そして、重症化してしまうので、入院が長くなってしまいます。そこはとても苦慮したところですね。
新型コロナ患者でも移動せずに透析が受けられる
飯田)平時と違い、入院していて透析室に行って戻るということは難しいですよね。
大坪)透析施設などの空間では、クラスターが起きやすくなってしまうので、それが敬遠される1つの理由だと思います。三軒茶屋病院はコロナ病棟のベッドのなかに、透析を受けられるベッドが4床用意してあるので、透析室に移動せず、その場で隔離透析を受けることができます。そのような意味では、クラスターの危険は低く、病棟内で完結することができたのでよかったと思います。
飯田)人繰りも各病院、本当に大変でしたよね。
大坪)本当に大変でした。他の一般診療をしているところから看護師さんを投入しなければいけなかったので、通常医療が行えないような状況になり、第5波のときはコロナ病棟最優先でやって来ました。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます