ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月15日放送)に作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴が出演。中国の人権問題に取り組む自民党と超党派の国会議員連盟が、岸田総理に北京五輪への「外交的ボイコット」を求めたというニュースについて解説した。
北京冬季オリンピック、パラリンピックの外交的ボイコットを考える
中国の人権問題に取り組む自民党と超党派の国会議員連盟は12月14日、総理官邸で岸田総理と面会し、2022年2月の北京冬季オリンピックに公的な外交使節団を派遣しない「外交的ボイコット」を求めた。
飯田)青山さんが代表を務めている「日本の尊厳と国益を護る会」は12月7日の時点で、政府に対して「外交的ボイコット」をすべきだということ、また国会の決議についても総理に直接申し入れています。
青山)7日という日付にどういう意味があったのかというと、日本時間の午前3時ごろ、ホワイトハウスでサキ報道官が「外交的ボイコットをやります」と発表しました。それも「理由は中国の人権弾圧だ」ということをはっきりとおっしゃったのです。
飯田)そうですね。
青山)記者会見が行われたのは日本時間の7日未明ですが、夜が明けたら岸田総理に連絡して、「きょう、護る会と会ってください」とお願いすることを決めました。
飯田)その時点で。
青山)相手は内閣総理大臣ですから、さすがに夜が明けていきなり電話はしません。でも朝早く、7時20分には連絡をしました。そのあと党本部に行って会議に出たら、岸田総理から直接「会います」という連絡が来ました。
飯田)その日のうちに。
青山)護る会は71人もいますが、任意の議員集団ですから、普通は総理となかなか会えません。それに、総理日程の当日変更というのは影響が甚大なのです。
飯田)緻密に組んでありますものね。
青山)そこに10分間の時間をつくっていただき、それも15分に延ばして、我々の意見を聞き、総理も雄弁に語られました。
北京五輪をめぐり、中国側と水面下でやり取りをしている ~閣僚を送らないことは決まっている
青山)中国側は、「我々が東京五輪、パラリンピックを支持したからできた」と言っているけれど、それはおかしいと。中国側は序列の低い人を送って来ただけですし、別に中国の支持で東京五輪が開催できたわけではなく、アメリカがはっきり「支持する」と言ったからできたのです。大統領夫人も来られました。そういうことを具体的に総理ご自身が指摘なさっています。
飯田)総理自身が。
青山)つまり、「実は中国側と水面下のやり取りが、北京五輪をめぐってある」ということを、私たちに話しておられるのと同じなのです。ただ、「アメリカとまったく同じにはしたくない」という意思も岸田総理は強く、閣僚を送らないことは事実上決まっていると思います。
飯田)閣僚を送らないことは。
青山)7日にいきなり総理日程をこじ開けて会っていただけたこと自体が、ある程度の方針が決められている証拠です。そして、自由民主党の議員のなかで、「70人を超える議員集団はどういう考え方なのか」を実際に聞き、最終決断の参考にしようと思われたことは間違いないと思います。
送るのは政府関係者ではなく山下JOC会長にするべき
青山)閣僚は送らないけれども、ゼロということにはしないと。私が思うのは、政府の人間ではない方、山下さんだけにするべきだと思います。
飯田)山下JOC会長。
青山)スポーツ庁長官や橋本聖子さんを送るという案も出ていますが、スポーツ庁長官は閣僚ではないけれども、政府の一員です。橋本聖子参議院議員は主権者に選ばれた方です。それは好ましくないと思い、そのことも申し上げました。それは護る会というより、個人的に岸田総理側に申し入れているのですが、まだ回答はありません。
「外交的ボイコット」と言うべき
青山)ただし、「外交的ボイコット」とは言わないようにしようという、米中の間を取り持つような動きも考えられます。しかし、私の個人的な意見ですが、それは違うと思います。それは取り持つのではなく、浮遊することになるのです。中国は利用しようとして来るし、アメリカの信任、国際社会の信任を失う恐れがある。むしろ信念としては対中宥和を、いまの極端な独裁が続く限りは止める、断つべき時期だと思います。
飯田)「外交的ボイコット」と言うべきだと。
青山)北京五輪に関して言うと、これだけウイグルの方々をはじめ、異民族を苦しめている状況のなかで、「平和の祭典」とはとても言えないでしょう。
「選手団を送らない」ということは避けるべき
青山)ただし、モスクワ五輪ボイコットの経験からすると、選手団を送らないということは避けるべきです。そうすることが、どのくらい長い傷跡を残すか。
飯田)今回の東京オリンピックでも、1年延びたというだけで選手にとってのプレッシャーはとても大きかった。これが4年になるというのは、別の問題として考えなければいけない部分かも知れません。
青山)選手まで送らないということになると、スポーツの範疇を超えてしまう。モスクワ五輪のボイコットのあと、今度は当時のソ連が4年後のロス五輪をボイコットしましたが、あまりにも政治的になりすぎるのです。
「閣僚を送らない」ことは決断している
青山)諸国は事実上、民主主義国家が外交的ボイコットをして、言葉はどうであれ「一致している」ということが大事です。アメリカの真似をするわけではなく、民主主義の連帯を示すためにも必要だと思います。
飯田)日本時間12月7日にアメリカが「外交的ボイコット」を表明した。そのあとイギリス、カナダ、オーストラリアも続きました。さらにニュージーランドはコロナ流行が理由であって、外交的ボイコットではないということを滲ませながらも、政府関係者を送らないことを決めた。EU諸国のなかでもリトアニアなどが出て来ているなかで、日本の表明が遅れていますが。
青山)ヨーロッパではフランスがボイコットをしないということです。パリ五輪が迫っているので、報復を恐れてということはあります。また、フランスは岸田総理よりもアメリカに対して、独自色を発揮したいという伝統的外交がありますから。
飯田)フランスは。
青山)外務省や岸田総理の様子を見ていると、判断が遅れているというよりは、中国と水面下で接触しているのだけれど、中国の顔色が変わり、強硬に出ています。落としどころを探っているのは事実ですが、迷っているというのは違うと思います。閣僚を送らないことはもう決断しています。
今週中に表明するべき
青山)自由民主党の世耕幹事長のような役職にある方からも、「いつまでも引っ張るのはよくない」という趣旨の表明があります。どう考えても今週中でしょう。開会式が2月4日ですけれども、今週中にやらないといけません。年を越すのはダメです。
飯田)そこはさすがにいけませんよね。
青山)日本の拠り所の1つは、公平な大使が中国にいることです。
飯田)垂さんという。
青山)個人的にもよく存じ上げているのですが、強硬論者ではないのです。公平な人で、香港で何が起きているのかということも、独自の客観的な分析を早期からされていました。ただし、垂さんもチャイナスクールなのですが、いままでの外務省の、いわゆるチャイナスクールとは違います。
飯田)視野がもっと大局的。
青山)視野は広いし、あくまでも日本の国益のためであり、「中国共産党には言うべきことを言った方が、中国のためにもなる」という信念は不動のものです。そこをきちんと活用して、「年明けでもいい」というような愚かなことにならないよう、今週中に表明すべきだと思います。
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