自由民主党・高市早苗政調会長が1月26日のニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「経済安全保障推進法案」について語った。
サプライチェーンの強靭化
飯田)自民党のなかに経済安全保障対策本部が設置されて、高市さんは本部長でもいらっしゃいます。経済安全保障についてはいろいろと言われますが、どこが肝だと思われますか?
高市)一昨年(2020年)からコロナ禍になって、私たちは散々な目に遭いました。マスクの約7割が中国からの輸入であるということは、私も最初は知らなかったのですが、大変なマスク不足があったり、医療用ガウンや注射器が足りなかったり、人工呼吸器がないなど、いろいろな問題がありました。
飯田)ドラッグストアには列ができました。
高市)産業界では、世界的な半導体不足でみんな苦労しました。やはりサプライチェーンを強化しなければならないと思います。国民の皆さまの生活や医療や保険、そして産業。絶対に必要な物資は国内で生産、調達できる体制をつくらなければならない。サプライチェーンの強靭化がいちばんわかりやすい話だと思います。
飯田)サプライチェーンの強靭化。
基幹的なインフラ産業の安全性を確保する
高市)もう1つは基幹的なインフラ産業の安全性、信頼性を確保することです。サイバー攻撃の数が尋常ではないくらい増えています。電力でもそうですし、情報通信、医療や運輸、物流や金融、ガス・水道などもそうです。私たちの暮らしに欠かせないところが、サイバー攻撃を受けて不調をきたさないように、基幹的なものについては使っているデバイスや部品なども含めて、安全性、信頼性を確保して行く。これが2つ目の柱だと思います。
重要技術の保全・育成
高市)それからもう1つ、重要技術の保全・育成です。量子やAIなどの先端技術は核心的なのですが、進展も速いため、国際間の競争が非常に激しい。そこで、日本にとって大事な技術とは何かを特定して、それを保全し、しっかり官民で育成して行く。日本の優位性、そして不可欠性を確立して行くことです。今回、検討される法律案は、いま申し上げた3つの柱を大事にしたものになると思います。
飯田)重要技術の保全について、もちろんデータベースのなかにある技術情報などもあるし、人間の頭のなかにあるものをどう保全して行くか。これに関して、諸外国でやっているようなものはつくらなければいけないと思いますか?
高市)本来でしたら、できるだけ急いでつくらなければならないものだと思います。いまは出入国在留管理庁の方で、留学生や研究者の方については申告事項を増やしています。これは「スクリーニング」と言って、入って来るときに見ていますけれども、重要技術にこれから関わる方の背景はしっかりと調査して行かなければいけないものだと思います。しかし、国会で経済安全保障推進法案を絶対に通そうと思うと、この「人に対する調査」というところでいろいろと揉めると思いますので、そこは厳しいところですね。
「経済安全保障推進法」が成立したら、世界の情勢に応じ、必要な条文を付け加えて行く
飯田)まず産み、そのあと育てて行くというところもある。そうすると、毎年のように改正案を出すようなものになりますか?
高市)私はそう思いますね。アメリカや中国がどんどん法律をつくっていますから、その狭間で日本企業は大変な目に遭っています。「経済安全保障推進法」が今年(2022年)成立した場合は、世界の情勢に応じて、必要な条文を付け加えて行くという作業は、ずっと続けて行かなければならないと思います。
「攻めの経済安全保障」の可能性も探るべき
飯田)高市早苗政調会長のインタビューの模様を聞いていただきました。経済安全保障については、高市さんご自身も1月24日の衆議院予算委員会の質問のなかで、将来的なところとしてセキュリティクリアランス、情報の取り扱いに関し、身元を確認した上で機微情報を扱えるかどうか認定するような制度も整備して行かなければならないと。その先に一歩進めれば、スパイ防止法のようなものを日本でもつくらなければならないというところまで、危機意識もあろうかという話です。
数量政策学者・高橋洋一)そこは日本だけが積極的にやって来なかった。今回は「守りの話」でしたが、もう少し攻めの経済安全保障もあるはずです。途上国のインフラ整備の一環として、政府で援助します。そのときに、自分たちの規格を外に出し、なるべく他の国に取り込まれないようにして、日本の経済圏、安全保障圏を広めるということも可能です。
飯田)日本の規格などを出して。
高橋)インフラ整備としてできるので、低軌道衛星などを打ち上げ、通信事業を立ち上げることもできます。それで日本に友好的なところをつくる。世界はもうやっていますが、「攻めの経済安全保障」として、こういうこともやっていいと思います。
飯田)攻めの経済安全保障を。
高橋)ただ単に海外協力をするだけではなく、そういうところまで目配せをする。インフラであれば日本は有利だから、海外援助を安全保障に結び付けて、自分たちの味方を増やすこともできるのです。
飯田)火山の噴火があったトンガに対して支援を行っていますけれども、あそこの通信インフラを日米豪で整備しようという話も進んでいます。
高橋)途上国は通信インフラがないでしょう。だから低軌道衛星を打ち上げればできるのです。
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