2022年の原油価格は値下がりの方向へ 石油連盟・杉森務会長

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月1日放送)に石油連盟の杉森務会長が出演。これからの原油価格の見通しについて述べた。

2022年の原油価格は値下がりの方向へ 石油連盟・杉森務会長

長野市内のガソリンスタンド。レギュラーガソリンの店頭価格は1リットル当たり180円と表示されていた=2022年1月26日午後 写真提供:共同通信社

激変緩和措置 ~石油業界各社は卸価格に還元する

政府はガソリン価格の上昇を抑えるため、石油元売り各社に補助金を出す異例の対策を1月27日から開始した。

飯田)ラジオをお聴きの方にはドライバーさんも多く、ガソリン価格に対して敏感なところがあるのですが、激変緩和措置などが出て来ました。これについてはどうご覧になられますか?

杉森)いまの原油価格の上昇は、私ども石油業界でも、非常に憂慮しているところです。政府の激変緩和措置が12月に確定して、1月27日に発動されました。

飯田)激変緩和措置が。

杉森)激変緩和措置は、原油高騰による国民の暮らしや事業への影響を少なくするために始められた措置だと理解しています。私どもとしては、当然、政府と協力して取り組んで行かなければならないと思います。従って、政府からいただいた補助金につきましては、我々石油業界各社は、すべてこれを卸価格に還元するという方針でやっています。

「トリガー条項」の凍結が解除されれば混乱は避けられない

飯田)「トリガー条項」についてもいろいろ言われていますが、凍結解除となると、ご商売される環境は変わると思います。その辺りの影響も含めて、どう思われますか?

杉森)凍結を解除するとなると、25円税金を下げる、また条件によっては、それを元に戻すといったような、極めて大きな金額が動くことになります。そうしますと仮需、逆仮需、つまり25円引かれる前夜は、まったくそのものが売れないということになります。

飯田)買い控えしますよね。

杉森)当然、買い控えをします。そうなると一気に人が押し寄せ、需要が急拡大します。

飯田)そうなります。

杉森)まずはガソリンスタンドの店頭において、大きな人の動きがさばき切れるかどうか。もう1つは、我々の配送問題があります。売れるからといって、いきなりすべて供給がつけられるかどうか。物流配送面においても、大きな混乱が予想されます。

飯田)物流配送においても。

杉森)凍結解除すること自体に賛成、反対というわけではないのですが、大きな混乱が生じることは間違いないと思います。25円下がるということは、消費者にとっては極めて望ましいことだと思いますが、供給する側にとっては、いろいろな制約が多い。

飯田)その辺りの構造も含めて、理解してもらった上で行うことが大事ですか?

杉森)充分な周知期間を取って準備を行い、できるだけ需要を平準化するような措置が必要だろうと思います。

飯田)人情としては、価格が下がる前は買い控えをしたいし、安くなったところで駆け込みたくなりますよね。

杉森)必ずそうなると思います。

2022年の原油価格は値下がりの方向

飯田)原油価格の部分の先行きなのですけれども、どうご覧になっていますか?

杉森)いまの需要予測で言いますと、国際エネルギー機関(IEA)がレポートを出していますけれども、2022年の需要としては、コロナ前に戻るだろうと見ております。

飯田)コロナ前に戻る。

杉森)それに対して、供給もだんだんと追い付き、むしろ供給が在庫よりも増える、という見通しがされています。つまり在庫が増える、あるいは需給が緩和することになりますので、原油価格は値下がりの方向に向くと言えます。経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)の面においてですね。

セーフティネットとセットでの労働法の改革が必要

飯田)石油連盟の杉森会長にお話を伺いました。いま足元は1バレルあたり88~89ドルにつけていますけれども、今後の見通しはどうなりますか?

経済アナリスト ジョセフ・クラフト)価格が上がったからトリガー条項の凍結を解除するとなると、いつまでやるのかという問題があります。財政問題にもなりますし、会長がおっしゃる通り混乱が起きる可能性があります。

賃金を上げてインフレに対応できる収入構造をつくるべき ~価格上昇に脆い経済社会になってしまう

飯田)原油価格の上昇については、各国の思惑も含めてですから、なかなか予想するのは難しいのですけれども、ウクライナ危機が収まらないことには下がるのは難しいですか?

クラフト)根本的な問題を言えば、日本は供給面の価格だけではなく、賃金を上げて、それなりにインフレに対応できる収入構造をつくって行かなければ、価格上昇に脆い経済社会になってしまいます。すぐにはできませんが、どうしたら賃金を上げて行けるのかということも並行して考えなくてはいけません。

飯田)そこに関しては、法人税の割引などの策は出て来ていますけれども。

クラフト)個人的には、労働法を改定して、もっと労働者の流動性を高めないといけません。これだけ労働人口の減っている国で、賃金が上がらないのは世界でも珍しい。

飯田)労働人口が減っている国で。

クラフト)労働者の流動性が循環していない。もっと企業が解雇しやすく、雇いやすくする。その代わりに、ドイツやスカンジナビアのように、セーフティネットを潤沢に設ける。例えば1~2年失業しても、リカレント教育が受けられたり、生活保護がされるような仕組みにする。そうすれば、別に失業しても怖くないのです。そういうセーフティネットとセットでの労働法の改革が必要だと思います。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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