ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。2月4日に行われた北京冬季五輪の開会式について解説した。
北京冬季オリンピック開会式
2月4日に行われた北京冬季オリンピック開会式の中継で、中国国営中央テレビ(CCTV)のアナウンサーが、台湾の代表団を「中国台北」と呼んだ。会場では従来通り「チャイニーズ・タイペイ(中華台北)」とアナウンスされており、国内向けでは「中華」ではなく「中国」と呼ぶことで、台湾が中国の一部であることを強調したと見られる。
飯田)この手のプロパガンダ的なところが、各所で見られたということも言われていますが、どうご覧になりましたか?
須田)各所ではなく、全編です。開催前から今回のオリンピックは政治宣伝であり、政治利用であり、プロパガンダであるということが予想されていたのではないかと思います。
中国がオリンピックを政治利用することは開幕前からわかっていた ~IOCはなぜ中国での開催を選んだのか
須田)開かれた結果として、政治宣伝や政治利用だと批判されるのはわかるのだけれど、開会式が開かれる前から、そのようなことが議論され、警戒されているということ自体が異常なのです。
飯田)異常である。
須田)中国にとっては通常運転だと思うのですが、オリンピックがそういうことに利用されると予めわかっていながら、IOCはなぜ中国での開催を選んだのかというところを考えてみるべきではないかと思います。
「イマジン」に対する冒涜 ~開会式で使用
飯田)メールやツイッターでもさまざまいただいております。西東京市の“クールガイ”さん、50代男性の方からいただきましたが、この方は東京2020組織委員会で勤務されていたそうです。「北京オリンピックの開会式を観ました。ネット上では東京と比べて北京の方がすばらしいという意見を散見しましたが、もし去年(2021年)東京が今回の北京と同じような開会式をやっていれば、今度はショボすぎるという批判が殺到していましたよね。笑わせてくれたのは、『イマジン』を流したところです。ぜひ、ウイグル、チベットの方々の感想を聞いてみたいと思います。ただ、すべてのアスリートの口を塞ぐことは不可能です。誰かが人権侵害、抗議のパフォーマンスを行ってくれるのではないか。それを信じています」といただきました。
須田)私は「イマジン」に対する大冒涜だと思います。理想へ向かって少しでも進んで行こうと考える人は、中国で使われたことについて、本気で抗議すべきだろうと思います。ブラックジョークで済ませていい話ではなく、「イマジン」の描いている世界、あるいは精神が、曲を使われたことで汚されたのです。その点に関して怒りの声を上げるべきだと思います。
飯田)ジョン・レノンが描いた世界とは。
須田)かけ離れています。真逆ですよ。
オリンピックの精神を汚した ~ウイグル族選手による聖火ランナー
飯田)“ドルフィンキック”さんという方からは、「国内向けに『中国台北』と呼んだこと、そして、ウイグルの選手を聖火ランナーの最終走者に選ぶなど、中国の思惑が透けて見えるようです」と、短い文ながら核心を突いたご意見をいただきました。
須田)ウイグルの選手が最後の聖火ランナーでしたが、「そこまでやるか」と思いました。驚きを通り越してしまいました。凄まじいまでの政治利用だなと。これは先ほどの「イマジン」の精神を汚したということに加え、オリンピックの精神すらも汚してしまったことになるのではないかと、私は思います。
金メダルを獲得した選手に祝電を送る前にやることがある
飯田)人権に対する懸念については、各国が外交ボイコットという形で早くから示しておりました。では我が国は、ということなのですが、「外交ボイコット」とは呼ばないそうです。
須田)金メダルを獲った選手に対して祝電を送るのはいいし、大賛成なのだけれども、その前にやることがあるのではないでしょうか。中国の人権問題など、いろいろなことに抗議する、声を上げる。そういった中国に対してのメッセージを送る役割を放棄して、金メダルを獲ったことでよしとしている。その辺りの精神も信じられないと思います。
飯田)(中国の)スマホのアプリに関して、健康管理のためだということで、アプリを入れることを半ば強制されています。情報が全部取られるのではないかなど、いろいろなことが言われていて、選手団に新品のスマホを貸与する国もあるのですが、日本はそういうことは一切やらない。直前に官房長官が「気をつけて」と言っただけのようですが。
須田)今国会で何をやっているのかと言えば、経済安全保障です。
飯田)そうですよね。
須田)実際にやっている行動と違うのではないでしょうか。
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