罰則規定を必要最小限に留めているスピード感の無さと不十分さ ~経済安全保障推進法案

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。小林経済安全保障担当大臣が「経済安全保障推進法案を2月下旬に国会に提出する」と述べたというニュースについて解説した。

デジタル庁が入る紀尾井町ガーデンテラスに設置された案内表示=2021年9月1日、東京都千代田区 写真提供:時事通信

経済安全保障推進法案 ~2月下旬に国会提出へ

小林鷹之経済安全保障担当大臣は2月1日の記者会見で、「経済安全保障推進法案を2月下旬に国会に提出する」と話した。法案は半導体などのサプライチェーンの強化、基幹インフラの安全性の確保、官民の技術協力、特許の非公開制度の4項目が柱となる。

飯田)2月下旬ということになると、予算が衆議院を通過したあとに審議が始まることになります。どうご覧になりますか?

須田)経済安全保障関連で言うと、仕組みが着々と整備されて来ました。経済安全保障の中心になって来るのは、サイバーセキュリティ分野なのだろうと思います。デジタル庁が立ち上がり、組織、機能を見ると、「マイナンバーカードを推進しましょう」とか、「国・自治体と民間とのデジタル化を推進しましょう」というのはサイドの話なのです。

警察庁に「サイバー特別捜査隊」を設置 ~デジタル庁のトップは総理大臣

須田)柱としては、サイバーセキュリティの部局が大きな柱になっているのです。これをどう維持して行くのか。サイバーセキュリティについては、単純にハッキングや情報漏洩の問題だけではなく、半導体も含めて国産のものを推進して行きましょうという仕組みができた。担当大臣はいますけれども、デジタル庁のトップは総理大臣だということを忘れないでいただきたいのです。

飯田)トップは総理だと。

須田)その一方で、政策面の推進ですが、サイバーセキュリティ分野に特化する形で犯罪行為が起きた場合、どういう形で立件するのか。これは抑止の部分です。それについては、警察庁は行政組織なのだけれども、そのなかに専門部隊を設けることが決まった。これが車の両輪となるわけです。

飯田)そうですね。

須田)ただ、実効性を持たせるための武器が与えられていないということで、法律面を整備して、罰則規定を設けようということになった。本来ならば、情報漏洩やハッキングの分野の他、サイバー攻撃に対応しなければならないのですが、場合によってはスパイ防止法的な、官民にまたがるような法律が必要です。しかし、そうなると国会で大揉めに揉めて、官邸前デモが起こりかねない状況になります。

飯田)「日本が警察国家になってしまう!」というように。

須田)そうさせないためにも、最初は必要最小限のところから始めて行く。ただ、スピードが間に合うかどうかということが心配です。

罰則規定に関しては必要最小限に留める

飯田)国会の審議などではセキュリティクリアランス、適格性をどう評価するのかという話が出て来るのですが、政府側もそこに対して踏み込まないですよね。

須田)反発も予想されるし、罰則規定を設けるという話が出て来たときに、朝日新聞は1面トップで、どちらかと言うとネガティブな論調で報道しました。こういう動きに対して、参議院選挙を控えている以上、慎重に対応しているのだろうと思います。今国会で何とか対決法案にさせないためにも、必要最小限に留めている。このスピード感のなさ、あるいは不十分さが将来、大きな禍根を残すことにならなければいいと思います。

半導体大手、台湾積体電路製造(TSMC)のロゴの前を歩く男性(台湾・新竹市)=2021年1月29日 AFP=時事 写真提供:時事通信

法律面をどう整備するか

飯田)いろいろなところで不備が指摘されています。サイバー特別捜査隊を警察庁のなかにつくるという話もあります。諸外国の捜査機関では、情報がどう流れているかを見るのですが、日本では、通信の秘密の部分に引っかかって憲法問題になるため、できないと言われています。ここも大きな問題ですし、憲法にまで引っかかって来ると、いつ動くのかという話になってしまいます。

須田)だから、その辺りをきちんと法律面で整備する。その部分を出せないこともないのです。

飯田)現行の憲法上でも。

須田)ただ、それに対して「これだけ法律違反が行われている」という根拠を示さなければならない。根拠なく問い合わせる、あるいは情報を出させるというのも行きすぎてしまうと問題ですが、そのバランスがポイントだと思います。

飯田)いまも通信傍受に関しては、裁判所から令状が出れば対応できるということですよね。その延長線上であれば。

罰則規定を設けることが犯罪の抑止になる

飯田)今回はどちらかと言うと、基幹インフラの安全性や特許に関してなど、経済の仕組み寄りのところが入っています。本当は毎年のように改正しなければいけないということですか?

須田)もっと強化して、対象を広げて行かなければならない。それによって摘発される企業、個人が出て来るかどうかということよりも、罰則規定を設けることが抑止になるという部分が重要です。「これに違反すれば、場合によっては刑事罰になる」というリスクが、企業や個人に掛かるわけです。懲役期間が短いとか、罰金の金額が少ないということよりも、そこが1つ仕組みをつくる必要性があるところではないかと思います。

サプライチェーンの強化 ~国産企業の育成

飯田)このなかに、サプライチェーンの強化も盛り込まれています。TSMCの工場が熊本にできることも大きく報道されましたが、ああいう事例が増えて行くことになるわけですか?

須田)そこに関しては、今度はお金の問題です。どう予算付けをするのか。いまは過渡的な措置だから、外国の企業を呼び込むことはいいのだけれど、やはり、国産の企業を育成する必要があります。最終的には、そこが経済安全保障につながるところではないかと思います。そのためにも予算、お金が必要なのです。TSMCに対して4000億円の補助金を出したように、かなりのお金を用意して、テコ入れして行く必要があるのではないでしょうか。予算との連携も必要なのだろうと思います。

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