留学生の入国を認めないことで失われている「日本の国益」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月15日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。厚生労働省がアメリカ・ファイザー社と1000万回分のワクチン追加購入の合意に至ったことを発表したニュースについて解説した。
ファイザー製ワクチン、1000万回分の追加購入で合意
厚生労働省は2月14日、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種用としてアメリカ・ファイザー社から1000万回分を追加購入することで合意したと発表した。3月末までに輸入し、改めて自治体への配送時期を示す。
飯田)昨日(14日)公表された政府の数字では、3回目接種が終了した人は、全人口の9.4%だそうです。
奥山)9.4%。
飯田)1割にも行っていないという状況です。
奥山)「3回目接種をしたい」という強い情熱が国民側から見えて来ない。私の周りでも「打たなくていいのではないか」という雰囲気を感じるところではあります。一連のコロナ禍で、衝撃的だったことが2つあります。
留学生の入国を認めないことで、日本の国益が失われている
奥山)政府がようやくビジネス関係者や留学生を緩和の対象とする、入国緩和の対象とする調整に入りました。
飯田)3月から。
奥山)3月からということです。コロナ禍で衝撃的だったことの1つ目ですが、カリフォルニア大学が、日本への留学生の派遣を中止したというニュースがありました。私は大学で教えていますが、英語の授業をやらなければいけないのです。コロナ前は留学生がクラスの6割~7割だったのですが、いまは留学生の入国を断っている状況ではないですか。
飯田)それが2年も続いていますからね。
奥山)そうすると、外国人の学生がいないなかで、日本人の帰国子女の方々もいるのですけれど、授業が活性化しない。別の価値観を持っている人が活発な議論をしてくれるではないですか。
飯田)そこに意見を放り込んで。
奥山)それがないというのがここ2年の状況です。日本に留学していた子が自分の国に帰って、「日本はよかったよ」というところで人的交流があり、それが新たなビジネスチャンスにつながるのですが、それがなくなってしまうということは、我々は国益を失っているなと感じるのが1点目です。
経済を戻すという強い意志を感じない日本
奥山)2点目として、家族でテレビドラマを観ていて、ふと思ったのですけれど、テレビドラマのなかの世界はコロナ禍の前の世界観で動いているのです。出演しているみんなが、当然なのですけれど、マスクをしていないのですよ。
飯田)確かに、そうですね。
奥山)例えばいま『ドクターホワイト』や『ミステリと言う勿れ』というドラマをフジサンケイ系でやっていますけれど、現実とドラマのギャップが大きいのです。
飯田)なるほど。
奥山)テレビのなかではみんなマスクをしていないのに、我々は普通にマスクをしている。「これは何なのだ」ということです。
飯田)どちらがファンタジーなのでしょうね。
奥山)日本や韓国、中国以外の世界は、いま経済を完全にもとに戻そうという強い意思を感じるのですが、日本にはそれがないですよね。
「我々はどこでマスクを外すのか」という根本的な議論を行うべき
奥山)日本の政府がどういうビジョンを持っているのかわかりませんが、「どこで我々はマスクを外すのか」とか、「コロナ後をコロナ前の状態に戻すのか」という根本的な議論をするべきだと思うのですけれど、その機運がまったくないのが衝撃的だと思います。
飯田)目の前のことである現場は特にそうなのでしょうけれど、すべてがそちらに行ってしまっている。本来は目の前の問題を対処している人たちもいれば、10年~20年先も含めて考える人たちがいてもいいのに、10年~20年先のことを考えようとすると「お前は人の命を何だと思っているのだ! いまここで死んで行くかも知れない人たちをどうするのだ!」と言われてしまう。そちらも大事ですけれど、「それだけではない」ということが議論にならないという。
コロナ後のイメージを持たないと日本はこのまま落ちぶれてしまう危険が
奥山)最終的には、コロナ後のイメージを誰かが描いて行かないと、日本はこのまま落ちぶれて行ってしまうのではないか、ということが最大の心配です。
飯田)そこは若い人たちの意見を積極的に取り入れて、変えるべきところは変えなければならない。
奥山)そうですね。「経済成長をしようよ」と、正面から議論しないのが不思議ですね。そこは議論して行かなければならないと思うのですけれど、政治家の役割として。
飯田)その政治家が、選挙を前にしてというのがね。
奥山)やはりそうなのですかね。
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