「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
先日、「西九州新幹線」(武雄温泉~長崎間)の開業日が、9月23日と発表されました。その分岐駅として計画されているのが九州新幹線・新鳥栖駅です。この駅で「かしわめし」「焼麦弁当」などの名物駅弁やうどん店を手掛ける老舗駅弁屋さんが、2021年の秋から自慢の鶏肉と牛肉を組み合わせた新作駅弁を販売しています。しかもご飯はかしわめしのような炊き込みご飯ではなく「酢飯」。その理由をお店の方に伺いました。
九州新幹線・新鳥栖駅を発車した「さくら」号が、次の博多を目指して加速して行きます。博多までは約13分、新大阪行に乗れば小倉まで約30分なので、北部九州の各都市は思いのほか近いもの。山陽・九州新幹線は博多駅で料金体系が変わりますが、小倉~新鳥栖・久留米間は、やや割安な料金設定となっていますので、時短効果や乗り換えの煩わしさを考えれば、「さくら」でサクサク移動するのもいいですね。
九州新幹線の新鳥栖駅は、平成23(2011)年の九州新幹線開業とともに誕生しました。“鳥栖”らしく、駅のデザインは鳥の翼をイメージしたものだそう。また、白と黒の駅舎は、佐賀平野に生息する「かちがらす」にちなんだものだと言います。在来線の鳥栖駅からは、長崎本線で1駅・約3分のアクセス。長崎・佐世保方面の特急「かもめ」、「みどり」も、全て停車し、九州新幹線「さくら」、「つばめ」と接続しています。
新鳥栖駅・鳥栖駅の駅弁を手掛けているのが、今年(2022年)が創業130周年の「中央軒」です。それに先立つ去年(2021年)10月23日に発売した新作駅弁が、「がばい鳥栖の牛鶏(ぎゅうどり)弁当」(1000円)。牛と鶏の絵が描かれ、大きく商品名が書かれたスリーブ式の包装には、佐賀を代表するブランド鶏「みつせ鶏」が使われている旨が記されています。また、中央軒自慢「焼麦」の鶏肉バージョンも入っている様子。これは気になりますね。
【おしながき】
・酢飯
・和牛しぐれ煮
・鶏肉煮
・みつせ鶏 柚子胡椒風味
・鶏肉の焼麦
・錦糸玉子
・香の物(桜漬け、しば漬け)
ふたを開けると、牛肉のしぐれ煮と名物「かしわめし」のかしわが敷き詰められています。これに、新たに開発したという柚子胡椒風味のみつせ鶏も載って、食欲がそそられます。いざ口にすると、何とご飯が「酢飯」です。中央軒によると、鳥栖駅にはかつて「とりちらし寿し」という人気駅弁があり、これをオマージュしながら作り上げたそう。肉のうま味に、酢飯のサッパリ感が加わって箸が進みます。発売から約半年、認知度も徐々に上がって、リピーターのお客様も増えているということです。
佐世保からの特急「みどり」が新鳥栖駅に入って行きます。30年前、特急「つばめ」として登場した車両は、いまも九州の各線で活躍しています。新鳥栖駅は、今年(2022年)9月23日の部分開業(武雄温泉~長崎間)が発表された「西九州新幹線」の分岐駅としても計画されている駅。駅前はまだ比較的のどかな雰囲気が残っていますが、今後の行方が決まってくると、この景色にも変化が起こるのかも知れません。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/