「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
2022年1月~3月の間、大阪~下関間で運行されている「WEST EXPRESS銀河」。なかでも下り列車の岡山駅から福山駅にかけては、今回のメインイベントが、ギュッと詰まっています。オリジナルグッズなどの車内販売と参加者限定の「銀河特製弁当」。広島に入って最初の大きな駅・福山駅での46分停車では、さまざまなおもてなしも用意されていました。「WEST EXPRESS銀河」山陽コースの旅・第2弾、岡山・福山編をお届けします。
「WEST EXPRESS銀河」山陽コースの旅(第2回/全3回)
JR西日本が令和2(2020)年から運行している新たな観光列車「WEST EXPRESS銀河」。2022年1~3月は、日中の大阪~下関間を、東海道・山陽本線経由で運行しています。「銀河」の愛称は、平成20(2008)年まで東京~大阪間の寝台急行列車として親しまれました。この「WEST EXPRESS銀河」の愛称には、西日本エリアを宇宙、各地の魅力的な地域を星になぞらえ、それらの地域を結ぶ列車という意味を込めたと言います。
●岡山~福山間は、お買い物タイム!
大阪から約4時間、岡山駅から「WEST EXPRESS銀河」に待望の車内販売の方が乗ってきました。車内販売が行われるのはフリースペースの4号車。銀河オリジナルグッズや岡山エリアの名産などが陳列されると、車内放送が行われ販売が始まります。
トライタンタンブラーは車内限定、銀河オリジナル「伯州綿マスク」も実用性があり、お洒落な逸品。全国の交通系電子マネーで決済できるので、気軽に「ピッ!」と買い物が楽しめます。
車内販売のもう1つの目玉は「瀬戸内レモンかまぼこ」。80年あまりの歴史がある岡山市の長谷井商店が手掛けるかまぼこで、長谷井商店の販売員さんが直々に乗りこみ、販売しています。爽やかな酸味が楽しめる岡山・瀬戸内市牛窓産のレモンと練り物の磯の香りが、真空パックにギュッと詰まっていて土産に重宝。こちらは岡山の天満屋さんでも入手できますが、旅の途中なら、この車内販売で買い求めておくのがいいですね(現金決済のみ)。
●岡山の老舗駅弁屋さんが作る「WEST EXPRESS銀河」オリジナル弁当!
車内販売と合わせ、ツアー料金に含まれている昼食がバウチャー券と引き換えの形で、フリースペースで手渡されていきます。この「銀河特製あなご和膳」は、岡山駅弁の三好野本店が製造していて、「銀河」山陽コースの下り列車に乗車した人だけが味わえます。銀河のヘッドマークと駅弁マークがしっかり入った掛け紙があるのは、じつに嬉しいもの。駅弁好きの方のなかには、掛け紙のために「銀河」に乗車する方がいるかも知れませんね。
【おしながき】
・焼き穴子と煮穴子の穴子めし
・有頭海老煮
・さわら西京焼き
・厚焼き玉子
・森林どりの天ぷら(岡山県産)
・ローストビーフ
・ままかり酢漬け
・富有柿と大根の胡麻酢和え
・ひじきと野菜煮
・抹茶わらび餅
・作州黒豆
「銀河特製あなご和膳」の蓋を開けると、焼き穴子と煮穴子を一緒に味わえる穴子めしが現れました。山陽の旅にはやはり穴子は欠かせません。加えておかずも豊富。岡山で春を告げる魚として知られる鰆、定番のままかりはもちろん、三好野本店自慢の鶏、牛の肉料理も入って作州黒豆にデザートのわらび餅まで。気分転換がてら、指定された座席からフリースペースに移動して、移りゆく岡山の景色を眺めていただくのもいいですね。
●46分の長時間停車、思わず財布のひもが緩む? 福山駅のおもてなし!
「WEST EXPRESS銀河」は岡山から県境を越えて広島へ。程なく、地元出身の小林克也さんの声による案内放送で福山のまちが案内されました。福山駅ではこの日最大となる46分の停車時間があり、ホームからコンコースへ降りると、歓迎の横断幕とおもてなし!
特産品のなかには、銀河の運行に合わせて開発された「銀河ワイン2021」もありました。この他、生産日本一を誇る「琴」の演奏による歓迎が行われる日もあります。
停車時間中には、福山駅の上り新幹線ホームへ移動して、ボランティアガイドさんによる福山城のガイドツアーも行われました。じつは昔の城のなかにある福山駅。“日本一天守が近い駅”とも云われます。
福山城は2022年で築城400年。現在、天守の外観復元など「令和の大普請」が行われており、築城記念日の8月28日には、新たな城の姿がお披露目になるということです。
福山駅の46分停車を終え、「WEST EXPRESS銀河」は再び西を目指します。約20分でしまなみ海道の尾道大橋をくぐり、尾道へ入って行きます。列車は尾道駅を通過しますが、車掌さんの案内放送で尾道の魅力が紹介されます。私は何度も訪れている尾道ですが、のんびりブラブラと歩くのが楽しいまち。案内放送を聞いていると、機会を改めてまた足を運びたくなるものです。
尾道を過ぎた「WEST EXPRESS銀河」は、しまなみ海道の因島大橋を遠くに望みながら、瀬戸内海沿いを国道2号とともに進みます。次の糸崎では、運転停車(ドアが開かない停車)して、岡山の乗務員さんから広島の乗務員さんに交代。気が付けば、行程の半分を過ぎて、終着・下関までは約5時間となりました。広島・山口エリアでの長めの停車は、広島と宮島口のみ。西に傾いた太陽を追いかけて、本州最西端を目指します。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/