駅弁を家に置けば合格? 広島・三原の「置くとパス(合格)」な縁起のいいたこ駅弁とは

By -  公開:  更新:

【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

あっぱれ多幸(合格祈願たこめし)

画像を見る(全7枚) あっぱれ多幸(合格祈願たこめし)

英単語を覚えるとき、アルファベットの綴りを一致させるために、ダジャレで覚えた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。駅弁でもおなじみの食材・たこは、英語で「Octopus(オクトパス)」と言います。これを「置くとパス(合格)」と解釈し、縁起がいいと話題を呼んでいる受験生応援駅弁が、広島県の三原市で作られています。

227系電車・普通列車、山陽本線・東尾道~尾道間

227系電車・普通列車、山陽本線・東尾道~尾道間

受験シーズン! アナタを応援する駅弁(第2回/全3回)

坂のまち・尾道を、広島地区で活躍する赤い電車が駆け抜けて行きます。尾道といえば、映画の“尾道三部作”を思い出す方も多いはず。主人公は、いずれも中学生や高校生。青春映画のイメージと相まって、まち歩きを楽しむだけでも、何となく甘酸っぱい気持ちに浸りながら、気持ちが若返ったような気分になれるものです。そんな街のなかを行き交う普通列車は、地元の中・高生たちにとっての大事な通学の足でもあります。

EF66形電気機関車+24系25形客車・寝台特急「あさかぜ」(2005年撮影)

EF66形電気機関車+24系25形客車・寝台特急「あさかぜ」(2005年撮影)

かつて、広島・山口地区の方が、進学等で上京するときにお世話になったであろう列車は、やっぱり、寝台特急「あさかぜ」だったのかなと思いを馳せます。昭和31(1956)年11月、東京~博多間の列車として運行を開始、ブルートレインと呼ばれ親しまれた青い客車が投入されると「動くホテル」とも云われました。平成17(2005)年の運行終了から早17年。きっといまも、多くの方が青春の思い出とともに語りたい列車の1つではないかと思います。

あっぱれ多幸(合格祈願たこめし)

あっぱれ多幸(合格祈願たこめし)

尾道のお隣・三原市の糸崎を拠点に、三原駅や福山駅の駅弁を製造するのが「浜吉」。昭和28(1953)年発売のロングセラー「元祖珍辨たこめし」が名物です。2000年代以降、陶器版も登場していましたが、これを昨年(2021年)から受験シーズンの駅弁としてリニューアル。「あっぱれ多幸(たこ)(合格祈願たこめし)」(1500円)として、今季は1月14日から3月末まで(予定)、2日前までの予約制(電話:0848-62-2121)で販売しています(受取りは、三原駅・福山駅・糸崎の本社など、浜吉の直営売店)。

あっぱれ多幸(合格祈願たこめし)

画像を見る(全7枚) あっぱれ多幸(合格祈願たこめし)

【おしながき】
・たこめし
・瀬戸内産真だこのやわらか煮
・紅白有頭海老
・縁起のいい紅白かまぼこ
・見通しのいいれんこんの煮物
・栗の甘露煮 炙り勝ち栗風

あっぱれ多幸(合格祈願たこめし)

あっぱれ多幸(合格祈願たこめし)

「あっぱれ多幸(合格祈願たこめし)」には、合格祈願シールとお品書きが封入されていて、シールは容器の上蓋の扇の部分に貼り付けられるサイズとなっています。もともと、このたこ型容器を我が家に「置くとパス(合格)」ということで、受験生やその家族が陶器製のたこめしを買い求めることが多かったのだそう。そこで、より受験生に寄り添った駅弁として、縁起のいい紅白かまぼこを加え、栗の甘露煮に炙りを入れ勝ち栗風にするなどアレンジ。浜吉によると、この冬も「孫に届けたい」という年配の方や、「子どもの大学受験に」という親御さんをはじめ、地元の皆さんからの予約が相次いでいると言います。もちろん、メインのたこも頑張って瀬戸内産を確保、やわらかく煮つけられ、心地よい歯ごたえが楽しめます。

キロ47形気動車・快速「etSETOra」、山陽本線・尾道~糸崎間

キロ47形気動車・快速「etSETOra」、山陽本線・尾道~糸崎間

広島~尾道間を呉線経由で結ぶ観光列車も、2020年のデスティネーションキャンペーンに合わせ、「etSETOra(エトセトラ)」としてリニューアルされています。縁起のいい駅弁で、合格を果たした暁には、ご褒美にいつもの列車とはひと味違った鉄道旅を楽しみたいもの。身の締まったたこが獲れる豊かなふるさとの海をしっかりと目に焼き付けて、人生の次のステージへステップアップしていく……そんな春が待ち遠しいものです。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

Page top