東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が3月18日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。がんの早期発見と検診の重要性について解説した。
がんは早期発見できれば治る ~そのためにも検診を
飯田浩司アナウンサー)「自分の体がどうなっているのか」という情報は大事ですよね。やはりその情報を得るとすると、検診を受けるということになりますか?
尾﨑)「胃がんになればこういう症状がある」、「肺がんにはこういう症状がある」と思っている方がたくさんいらっしゃるのですが、がんは早期に見つければ転移もしていないので、そこだけ取り除けば治ってしまう病気なのです。
飯田)早期発見できれば。
尾﨑)早期の段階というのは、ある臓器の表面に留まっている状態です。その段階では、症状はほとんど出ないのです。症状が出ていない早期のうちに見つけるためには、検診を受けていただく必要があります。
飯田)症状が出ないので検診で見つけるしかない。
尾﨑)いまは治療法が進歩していて、ある程度進行したがんでも手術や放射線治療、化学療法などを組み合わせれば治る方が増えています。しかも、早期のうちに見つければ、いまは100%近くの方がよくなるのです。早期発見・早期治療が大事です。それには健康診断や検診を受けることが大事になります。
日本の半分以上の人が検診を受けていない
飯田)この番組が始まってから、いろいろなお医者さんにお話を伺っていますが、検診について否定する人は1人もいないわけですからね。
尾﨑)特に国が力を入れている肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんはきちんとしたエビデンスのなかでやっていますし、公費負担でできますので、ぜひ受けていただきたい。しかし、実際には2割~4割の人しか受けていないのです。
飯田)受診率が半分にも届いていないわけですね。
早期に見つければ怖くないがん
尾﨑)欧米では7割~8割という高い確率で受けられている。特にアメリカなどは皆保険制度ではないので、がんになると数千万円という治療費がかかってしまいます。ですので、皆さん予防できるものは予防して、がんなどは早く見つけるという意識が高いのです。
飯田)なるほど。
尾﨑)日本の場合は、「いつでも医者に行けるし、手遅れにはならないだろう」と思う人が少なくありません。あるいは「検診してがんが見つかったら怖い」というような人もいます。
飯田)そんな人がいるのですね。
尾﨑)いるのです、現実には。しかし、がんは早期に見つければ怖くない病気です。早期発見するためにも、ぜひ検診を受けてください。
ある程度の年齢になったら検診を
飯田)イギリスなどは家庭医制度があって、そもそものヘルスリテラシーが高いということもありますか?
尾﨑)そうですね。「がんなどは早期に見つけて早期に治療すれば大丈夫だ」というようなやり取りが、家庭医の先生と患者さんの間にあるということですね。
飯田)若いうちだと「自分の体は健康だし、自分のことは自分がいちばんわかっている」などと言って、あまり学ばずに過ごしがちですが、本当はリテラシー部分は若いうちからやるべきなのですね。
尾﨑)がん化するということは、ある程度加齢と関係しますので、高齢になるほど多いのですけれども、若い方でも遺伝的要素などがあるとがんになります。そういう意味では、ある程度の年齢になったら、きちんと検診を受けることは必要だと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます