東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が3月8日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。子どもの新型コロナの合併症について解説した。
大人から子どもに感染が拡がる
飯田浩司アナウンサー)オミクロン株について、「幼稚園や学校で流行している」というような話もありますが、実際のところはどう考えられますか?
川上)子どもがどこかで感染して、いきなり発症するというパターンはもちろんあります。ただ、現状を見ていますと、学校の先生や保育士さん、ご家庭の親御さんなど、大人からの感染が多いようです。子どもの場合、1日しか熱が出ない傾向にあり、「土日に熱が出たけれど、月曜日に熱が下がったので来てしまいました」という形で、保育園や学校内にウイルスが持ち込まれるパターンが多いですね。
飯田)周りの大人たちの感染対策が重要になって来ますか?
川上)それは最初のころから変わっていないと思います。
合併症として「小児多系統炎症性症候群(MIS-C)」を発症することも
飯田)一方で、子どもの場合、1日で熱が下がるということもあり、「重症化しないから普通の風邪と同じではないか」という見方もあります。これについてはいかがですか?
川上)2歳未満のお子さんで「クループ」と言われる、のどがヒュウヒュウするような状態や、肺炎のような状態になるお子さんもいらっしゃいます。10代のお子さんになると、急性期は軽そうでも、発症から4週間ぐらい経って「小児多系統炎症性症候群(MIS-C)」と呼ばれる、全身の血管炎などの重い合併症を引き起こすことがあります。
飯田)小児多系統炎症性症候群。
川上)全身の血管に炎症が起きて、そのために熱が出たり、お腹が痛くなったり、下痢をしたり、心拍が増えたり、血圧が下がったりするなど、いろいろな症状が起こります。
「川崎病」に似た症状が出る
新行市佳アナウンサー)発症からタイムラグがあるのですね。
川上)そうですね。このときはPCRをやっても陰性ですから、注意しないと、その前にあったコロナとの関係性を見逃す可能性もあります。この症状は、お子さん特有の病気である「川崎病」にとてもよく似ています。川崎病は小さい子が多いのですけれど、それが10代のお子さんたちに起きて来るような怖い病気です。
飯田)コロナ禍の初期、「コロナに感染した子どもに川崎病と似たような症状が出る」と言われていましたが、この話をしていたわけですか。
川上)そうです。
子どもの声をよく聞く
飯田)それまでの間に兆候はあるのですか?
川上)ないです。
飯田・新行)ないのですか。
飯田)では、本当に元気にしていたお子さんが「ある日突然に」ということが起こり得る。
川上)そうです。
飯田)よくお子さんのことを見ていないと気付けないですね。
川上)お子さんが不調を訴えられる年齢であれば、その声をよく聞いてあげる必要があると思います。「コロナは風邪だ」と言って、油断してはいけないのはこういう事例があるからです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます