ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月30日放送)に慶應義塾大学総合政策学部准教授の鶴岡路人が出演。コロナ禍で変わった大学のキャンパスライフについて解説した。
堀内ワクチン担当大臣退任へ、松野官房長官が兼務に
松野官房長官は3月29日、2022年3月末で堀内詔子ワクチン担当大臣が退任するのに伴い、松野長官自身が後任のワクチン担当大臣を兼務すると発表した。堀内大臣は兼務している東京オリンピック・パラリンピック担当大臣の設置期限に伴う閣僚枠の減少により、3月末で退任する。
飯田)堀内ワクチン担当大臣は総理の派閥、岸田派に所属していらっしゃいます。今回の組閣の目玉人事であったということが言われていますが、約半年で外れるということになりました。ワクチン接種について言えば、慶應大学は職域接種を真っ先にやっていましたよね。
鶴岡)第1回、第2回のときは早かったのですけれども、第3回はなかなかタイミングが合わなかった感じですね。ちょうど入試のシーズンに入り、春休み、新年度と大学が最も忙しくなる時期でした。
飯田)「1回目、2回目に比べると職域接種がなかなか進んでいないのではないか」という指摘もありますが、大学に関してはそのような事情も重なってしまったわけですね。
鶴岡)タイミングが重要だったのだと思います。
生徒は対面よりもZoomのチャットの方が質問しやすい ~リモート授業の方がいいところも
飯田)キャンパスライフは相当変わったということが言われていますが、いかがですか?
鶴岡)新年度、4月からは対面が増えるということです。最初は学生も教員も、対面に慣れないという部分があるかも知れません。
飯田)リモート授業への対応はかなり大変だったと聞きますけれども。
鶴岡)最初は大変だったのですけれど、慣れてしまうと、お互いにいい部分も出て来ました。対面授業の場合、大きな教室で手を挙げて質問するのは、学生にとっても敷居が高いのですね。それよりもZoomのチャットで質問する方が敷居は低いようです。
飯田)口を動かさなくても、チャットが別のトラックとして動いている感じですものね。
鶴岡)独り言のような機能があるので、その独り言に別の人が返したりしていますね。「授業を聞いていろよ」とは思うのですけれど、そのような形で自然発生的にコミュニケーションが起きるのはよかったと思います。
周りの目を気にせず質問できる ~雨の日でも出席率がよい
飯田)コロナ禍の初期に、やはり慶應大学で教えていらっしゃる細谷雄一さんに出演していただいたのですが、「リモートになったら、普段無口な生徒が質問して来て驚いた」という話をされていました。周りに見られていると気後れしてしまうような子にとっては、救われる部分もあったのかも知れないですね。
鶴岡)周りの目を気にしなくていいので、授業が終わったあとの質問も、オンラインの方がやりやすいようです。
飯田)他の人は退室して行きますからね。
鶴岡)あとは出席率がよくなりました。特に「雨の日の1限」です。対面でやっていると、雨の日は露骨に人が少なくなるのですけれども、オンラインだといっさい影響がない。
飯田)「この先、ニューノーマルになるかどうか」というところですが、ハイブリッド化して行きますか?
鶴岡)対面の方がいい部分と、オンラインでも効果がある、あるいはオンラインの方が優れているところもあると思います。それをうまく分けることが大事です。
対面のキャンパスを知らない学生の方が多い ~日本に来ないまま修士課程が終わる留学生も
飯田)私のような世代が考えるキャンパスライフであれば、「学生同士で飲みに行ったりして、楽しい大学生活」というイメージがあります。そういうものがコロナ禍ではすべてなくなってしまい、「どうなるのだろう」と思うのですが、実際に若い子たちを見ていて、どうですか?
鶴岡)そこは深刻でして、サークルの運営でも、対面のキャンパスライフを知らない人の方が多くなっているようです。
飯田)2年経ってしまったら、そうですよね。新3年生はほとんど知らないわけですからね。
鶴岡)大学院では、オンラインのまま終わってしまった人も少なくありません。留学生のなかには、日本に入れないまま修士論文を書いてしまったという学生もいます。それでも続けられたということは、社会でも正しく評価して欲しいところです。学びを止めなかったということですから。
飯田)なるほど。
鶴岡)ただ、日本に来る予定だった留学生が、日本に入れないまま修士課程が終わってしまうということは、果たして留学と言えるのかどうかなど、いろいろと考えなくてはいけない問題もあります。
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