プーチン大統領が犯した「アクション・リアクション」としての「大きなミス」

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地政学・戦略学者の奥山真司が4月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ウクライナ侵攻でプーチン大統領が犯した戦略的なミスについて解説した。

プーチン大統領が犯した「アクション・リアクション」としての「大きなミス」

2月、モスクワで記者会見するロシアのプーチン大統領(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

フィンランドとスウェーデンが夏にもNATOに加盟

英タイムズ紙は4月11日、フィンランドとスウェーデンが2022年夏にも北大西洋条約機構(NATO)に加盟する見通しだと報じた。

飯田)フィンランドとスウェーデンは、いままで入っていなかったのですね。

奥山)彼らは中立という形でロシア側に気を使い、あまり西側の方に向かないようにしていたのです。しかし、徴兵制もありますし、国防費も多く使っていて、ロシアに対する警戒は怠っていなかったのです。

大きな戦略ミスを犯したプーチン大統領

奥山)それがNATOに入るということは、「非常に大きな戦略ミスをロシアは犯した」というNATOの複数の当局者による話があります。まさに戦略論で言うところの「アクション・リアクション」の部分……。

飯田)アクション・リアクション。

奥山)アクション・リアクションですね。ロシアが何かをすることによって、反発が起こるわけです。そして「プーチンさんにはその反発が見えていなかったのではないか」ということです。

ウクライナへ侵攻したことによって敵を増やしてしまった ~「NATOの東方拡大を阻止する」ことが狙いだったが

奥山)「NATOの東方拡大を阻止する」というのが、プーチンさんの狙いとしてあったと思います。実際、阻止しようとして軍事行動に出てみたら、ますます周りが固まってしまったということです。

飯田)ウクライナへ侵攻したら。

奥山)自分の当初の狙いではなく、その逆の結果が出てしまった。NATOは1つの軍事同盟で、イギリス、カナダ、アメリカなどが中心になっているけれども、逆にそれを固めてしまい、また新たにNATOに入るメンバーを増やしてしまった。敵を増やしてしまったということです。

侵攻が始まり、大きく方針転換したドイツ

奥山)敵を増やしてしまったということは、プーチンさんは戦略的に大間違いをしたと言わざるを得ないのではないかということです。

飯田)戦略的な間違いを。

奥山)いちばん驚いたのが、ドイツです。ドイツは直前まで、ノルドストリームというパイプラインがあり、ほぼ完成していて、あとは許可するだけというところまで来ていました。

飯田)そうですね。

奥山)ロシアがウクライナへ侵攻するかも知れない、というときも、「侵攻などないだろうし、ノルドストリームプロジェクトはやめない」ということを言っていたのです。その前にも、エストニアが東ドイツの榴弾砲をウクライナに供給しようすると、「それもやめてくれ」と言っていたのに、いざ2月24日に侵攻が始まると、ドイツは対戦車砲や地対空ミサイルを提供する方向へ、いきなり方針を転換しました。

飯田)最初はヘルメットしか供給しないなどと言っていたのに。

奥山)防衛費も上げるということで、今回、ドイツ側のリアクションが大きく出ています。

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