ロシア大使館員の国外追放が「1センチの前進」である理由

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自由民主党・参議院議員の青山繁晴が4月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本政府が表明したウクライナへの円借款の増額について解説した。

駐日ロシア連邦大使館=2022年2月26日午後、東京都渋谷区 写真提供:産経新聞社

日本政府、ウクライナへ円借款3億ドルに増額表明

岸田総理大臣は4月19日夜、バイデン大統領の呼びかけで開かれたウクライナ情勢のオンライン会合に出席し、ロシアの侵略を受けたウクライナの経済を下支えするため、円借款を従来の1億ドルから3億ドルに増額すると表明した。また、自衛隊が保有する化学兵器に対応した防護マスク・防護衣の他、ドローンを提供する方針を説明した。

飯田)G7各国の他、ポーランド、ルーマニア、EU、NATO事務総長も会合に参加しました。円借款もそうですが、防護マスク等々も提供と。これはウクライナの求めに応じてということのようですが。

ゼレンスキー大統領の本音は「軍事的なアシスタンスをして欲しい」 ~日本は一切できない

青山)日本が現憲法下でできることをやっているという状態です。

飯田)日本ができることを。

青山)あくまでも「ゼレンスキー大統領が指導するウクライナの求め」ということにはなっていますが、ゼレンスキー大統領が本音でおっしゃっているのは、「軍事的なアシスタンスが必要だ」ということです。日本はそれが一切できないことになっています。「ドローンはその方向で使われるのではないか」と、記者から質問が出ますが。

飯田)記者から。

青山)やむを得ないこととは言いつつ、世界秩序が目に見えて壊れているのです。逆に言うと秩序が壊れるということは、新しい秩序づくりなので、いままで通りのやり方として、嫌な言い方ですが「お茶を濁す」という姿勢があると感じますよね? 本当は日本なりの犠牲も払って貢献しているのですが、そう受け止められない。それは湾岸戦争のときの記憶に直結して、「何も変わっていないな」となるでしょう。

日本の動きも見ている中国 ~「台湾、尖閣」の有事につながる可能性も

青山)中国は日本の動きもずっと見ているのです。「日本は変わっていないね。竹島を奪われても、北方領土を奪われていても、何もできない日本そのままだね。では、台湾プラス尖閣で動こうか」ということにもつながるのです。

飯田)中国からすれば。

青山)いい加減な予想を言っているのではなくて、日本は抑止力を日々失いつつあるということなのです。これまでの日本はアメリカの抑止力があったわけですが、ウクライナ戦争が見せつけているものは、「アメリカが力を失っている」ということなのです。

最低限の後方支援を行うべき ~軍隊への水や食料等の支援など

青山)日本が以前と同じままでは、日本の守りがなくなるということです。だから、ウクライナで虐殺され、苦しむ人々を助けることに関し、円借款のプラスアルファだけではなく、直接的な支援をもっと行うべきなのです。軍事行動を直接取ることはもちろんできませんし、しませんが、ウクライナ軍への最低限の後方支援のなかでも、軍隊とは言え普通の人間ですので、水や食料、医薬品を渡すことはできるのではないでしょうか。

飯田)水や食料などを。

青山)しかし、これを渡すと軍事支援とみなされます。みなされますが、そういうことまで踏み切らなければいけないと思います。

自由民主党・青山繁晴議員

ロシア大使館員の追放は「情報工作員」の追放だった

飯田)装備品の提供等々というところでは、防護服などの話になっていますが、外交的なところで、ロシア大使館員の追放が報じられています。ここまで踏み切るということも、いままではなかったと言われていますが。

青山)ないですね。日本が今回追放した外交官というのは、外交特権を持っているけれども、基本的に全部工作員です。「全部」と言いましたが、それは私の個人的見方であり、私なりの情報の裏打ちがあって申し上げているので、ロシアはもちろん全面否定しています。

飯田)ロシアは。

青山)「そうです。これは工作員です」と言うわけがない。そういう人を日本は慎重に選んで、「出て行ってください」と。だから実際に国外に行きます。ロシア側がそこに応じるのも、はっきり言うと脛に傷があるからです。この件に関しては、ヨーロッパがやったから日本もそれに倣いますというだけではありません。

ロシアに対して「日本はわかっているのだ」というアピールにも ~初めて抑止力を発揮することができた

飯田)きちんと我々も見ているのですよと。

青山)1つ大きな意味があったのは、外交官の顔をしているけれども、この人は情報工作員で、日本の世論工作もやっています。中国人民解放軍のように世論戦、心理戦、法律戦の「三戦」などとは言わないけれども、同じことをやっています。

飯田)ロシアの工作員も。

青山)「わかっていますよ、この人ですね」と日本が指し示したのは、初めてなのです。ときどき、「ロシアの工作員が自衛官に接触しようとした」という小さな事件があって、すぐにその人がいなくなるということがありますが、そうではなく、「もっと潜り込んでいる人を知っていましたよ」と日本が示し、初めて抑止力を発揮したのです。外交官追放にはその意味があるので、そこは1センチ前進したのではないでしょうか。ロシアは「ギョッ」としていると思います。

ロシアの情報工作員の国外追放は「1センチの前進」

飯田)ロシア大使館のなかに「こういう人がいますよね」と示したのは、他の大使館についても見ているということですか?

青山)中国はもっと多いですし、アメリカにもイギリスにもいます。いないのは日本だけなのです。だから、ロシアが日本の外交官を追放するときに、日本の工作員が含まれているわけではないのです。相互主義だけれども、本当は相互ではない。それは日本が情報弱者であるということでもあります。

飯田)情報弱者であると。

青山)私は国家情報局、あるいは戦略情報局の設置法案を国会に出せと言っていますが、新しい日本の統合情報機関ができたときに、こういう不正工作をしろということではないのです。違う道を行く。ただし、相手の不正工作は防げなければいけないし、本当は全部摘発しなければいけない。今回は、そういう意味では「1センチの前進」ですね。

飯田)前進したと。

青山)世界のなかでも、私の知っている民主主義側の情報コミュニティは驚いているし、「やはり把握していたのだね」と言っています。ちなみに、私のルートで「米英を中心にした」と言っておきますが、民主主義側に「そちらのリストと合っているか」と聞いたら、「合っている」ということでした。

飯田)正解であると。

青山)これは日本政府がアメリカにもらった情報ではありません。独自に調べたものです。日本の警察は、スパイ防止法がないから何も動けません。動きませんが、しっかり見て、把握していることは把握しているのです。それを今回、世界に証明したのです。

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