産経新聞社会部の鵜野光博記者が4月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。現地・ウトロ港から、知床観光船事故の現在の状況について解説した。
北海道の知床観光船事故、運航会社の捜査を検討
北海道・知床半島沖で観光船「KAZU I(カズ・ワン)」が浸水した事故で、第1管区海上保安本部は4月25日、新たに発見した子ども1人の死亡を確認したと発表した。乗船者26人のうち、死者は11人となった。また観光船を運航していた「知床遊覧船」は、2021年にも2回事故を起こしている。第1管区海上保安本部は今回の事故について、業務上過失致死や業務上過失往来危険容疑などでの捜査を検討している。
会社側から仕事を押し付けられ、船長に余裕がなかったのではないかという情報も
飯田)ウトロ港での捜索はどのような状況でしょうか?
鵜野)午前5時前から船は出始めています。漁業関係者の方々が、捜索の協力のために船に乗り込んで出かけて行き、港はほぼ空っぽになっている状況です。
飯田)関係者の方々からお話は聞けましたか?
鵜野)事故を起こした船長と知り合いの方がいらっしゃいました。事故の直前、船長に「きょうは午後から天気が悪くなる予定だから気を付けろ」と話しかけたという人もいました。
飯田)船長に。
鵜野)話しかけたら、船長が「エッ」と驚くような顔をしたと、その方は言っていました。観光船でこの時期、ちょうど遊覧を始める初日に起きた事故だったので、「会社の方から『仕事をたくさんやれ』と言われて、余裕がなかったのではないか」と同情するような声も、仲間の人からは聞かれました。
報道対応をまったくしない会社側 ~社長による記者会見の実施に注目
飯田)会社側の声がなかなか伝わってきませんが。
鵜野)それはこちらでも聞いていません。港の近くに事務所があるのですけれども、事故が起きた23日夜から報道陣が声を取ろうと待機していますが、一切、報道対応していないという状況です。
飯田)報道対応は一切ない。
鵜野)昨日(4月25日)、家族への説明会が3回開かれたのですけれども、最初の1回目には社長が出てきましたが、2回目と3回目には同じ内容を言うことになるからというような理由で、社長は出てきていません。
飯田)そうですか。
鵜野)国土交通省の方も、「記者会見をするべきだ」と社長に申し上げていると説明していて、この先、社長が記者会見を開くのかどうか、我々も注目しているところです。
なぜ強風・波浪注意報が出ているなかで出航したのか
ジャーナリスト・有本香)当局が業務上過失致死等で捜査を検討しているという報道があります。船を出すには無理がある天候状態だったのではないかということも言われていますが、そこははっきりしているのでしょうか?
鵜野)漏れ伝わってくる話では、船長本人が「うちはブラック企業だ」と話していたということです。国交省が会社に対して特別監査を行っていますが、そこで運航マニュアルがどうなっていたのかということが判明するのではないでしょうか。
飯田)運航マニュアルが。
鵜野)今回の事故は、強風・波浪注意報が出ているなかで出航していますから、それを容認するようなマニュアルがあるのか、あるいは暗黙の了解があったのかどうかというところが今後、解明される必要があると思います。
事故のあった西側から知床半島の東側に流されていた遺体
飯田)本日も捜索のために船が出ているということですが、今後の海の天候はいかがですか?
鵜野)いま港は平穏なのですけれども、事故現場の付近では、潮の流れが速くなって荒れるのではないかと言われています。事故があったのは知床半島の西側なのですが、25日に身元が確認された女の子は、半島の東側の方に流されていました。まだ見つかっていない方は15人いらっしゃいますが、かなり大変な作業になると思います。
国後島へ捜索範囲が拡大する可能性も
飯田)知床半島の東側というと、国後島があります。捜索範囲はその辺りまで広がることになりそうですか?
鵜野)捜索に関しては、ロシアと国が交渉しているということです。向こう側も捜索に関しては理解を示していると伝わっています。
飯田)ロシアと。
鵜野)航空機で遭難した方を探すということは、海の上の米粒を探すようなものだと言われています。また、現場は水深100メートル以上のすり鉢状になっているところがあるそうです。捜索がどれだけ進められるのかということが大きな課題だと思います。
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