コロナ禍で必然となった日本の「かかりつけ医」の今後

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東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が5月10日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。「かかりつけ医」の今後について解説した。

コロナ禍で必然となった日本の「かかりつけ医」の今後

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

コロナ禍で必然となった「かかりつけ医」

飯田浩司アナウンサー)この番組では「かかりつけ医」について、さまざまな角度から伺ってまいりましたけれども、コロナ禍で存在感が増した気もします。実際にはいかがですか?

尾﨑)従来は、2025年からの超高齢社会に向けた対応でした。病気を持ち、体も弱っているような高齢者の方々を診るために、いろいろな知識を持ったかかりつけ医が必要になります。相談ができて、在宅医療もできるような世の中にしなくてはいけないという話をしていました。

飯田)2025年から超高齢社会に入るということで。

尾﨑)しかし、コロナ禍で自宅療養を強いられる方が増えてきて、かかりつけ医がいないために、どこに連絡していいかわからないという状況が、第5波のときに相当出てきたわけです。

飯田)問題になりましたね。

尾﨑)第6波以降は、そういう方を地域のなかで発熱外来として診断し、診断した先生が引き続きその人を診るという体制になりました。その結果、普段でも相談できるかかりつけ医の存在が定着する流れになっているのではないでしょうか。

コロナ禍で必然となった日本の「かかりつけ医」の今後

新行市佳アナウンサー、尾﨑治夫氏、飯田浩司アナウンサー

海外での「かかりつけ医」制度

新行市佳アナウンサー)かかりつけ医に関する制度は、他の国々ではどうなのでしょうか?

尾﨑)「かかりつけ医」という言葉は日本で生まれたもので、イギリスなどでは“General Practitioner(ジェネラル・プラクティショナー)”と呼ばれる地域の家庭医が対応しています。略してGPと呼ばれています。

飯田)GP。

尾﨑)イギリスもオランダも、基本的にはそういう人たちがいて、「この地域は〇〇さんのGPにかかってください」というような仕組みになっているのです。そこで診てもらい、入院が必要、あるいはMRIのような高度な検査が必要だと判断されると、その方がそういう施設のある病院を紹介する。逆に言えば、勝手に自分で病院にかかることはできないのです。一次医療、プライマリー医療はすべてGPがその地域を受け持つという形になっています。

飯田)イギリスやオランダなどでは、家庭医を自由に選べたりするのですか?

尾﨑)その地域は「誰々」と指定されます。

飯田)日本のように自由に選ぶことはできないのですね。

尾﨑)できません。ただ、GPになるために質の高い教育を受けますので、能力の高い人が集まっています。

飯田)あらゆる病気を診ることになるのですか?

尾﨑)そうですね。メンタルも含めて、総合的に診ることができる能力を持った人たちでつくられています。

グループ診療で24時間対応するイギリスのクリニック

飯田)先生は「人たち」とおっしゃいましたが、イギリスのクリニック的なところには、お医者さんが何人かいるということですか?

尾﨑)そうなのです。私も最初は1人でやっていると思っていて、「スーパーマンのような人だな」と思っていました。実際は、生活習慣病への対応が得意な人や、在宅を熱心にやっている人、認知症についてよくわかっている人、あるいは救急のエキスパートなど、いろいろな人が集まって1つのクリニックを24時間対応で運営しているのです。グループ診療なのです。

飯田)なるほど。では家庭医の部分だけを日本に移植しようとしても、うまくいかないわけですね。

尾﨑)うまくいかないと思います。ただ、この先は総合的に診察できる方が必要なことは事実です。これは今後の大きな課題になると思います。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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