「反撃能力」は“いいか悪いか”ではない これ以外に抑止する手立てはない

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青山学院大学客員教授でジャーナリストの峯村健司が5月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。これからの日本の防衛について解説した。

舞洲で行われた航空自衛隊による地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の機動展開訓練=2022年5月19日午前、大阪市此花区 写真提供:産経新聞社

日本の防衛費について 反撃能力は必要か

ロシアによるウクライナ侵略が泥沼化するなか、日本における安全保障情勢、特に台湾有事への懸念は高まる。日本周辺の安全と平和を守るために、日本の防衛はどうあるべきか。

飯田)防衛費については、いろいろなところで議論になっています。

峯村)まず強調したいのは、防衛費の額よりも、「最初に戦略ありき」だということです。いま中国軍がこれだけの航空機や艦艇を持っていて、これだけのミサイルがあるので、日本は防衛をするためにはどれだけの装備や人員が必要なのか、ということを算出するのが先決です。そのためにはこれだけの額が必要であり、たまたまそれが2%なのか、3%なのかという話なのです。

これまでの防衛予算は「1%以下」という発想で決められていた

飯田)見ていると議論が逆になっていて、「まずこの金額で収めて」という発想があり、そこに無理やり体を合わせていくような、防衛全体の構築の仕方がありましたからね。

峯村)おそらく、防衛予算はまずGDP「1%以下」というキャップが前提にあります。しかし、国際情勢、特に日本の周辺の安全保障は以前と比べて大きく変わっているわけです。

中国からのミサイルに対する「反撃能力」として、どのくらいの防衛費が必要か

峯村)もちろん、我々は平和を求めていますけれども、中国だけではなく北朝鮮、さらにロシアが三正面にいるというのが、この国の状況です。彼らはいずれも核兵器を持っています。このなかで「1%だ、何%だ」という話ではありません。

飯田)三正面にいるなかで。

峯村)そもそも、日本を射程に入れている中国のミサイルの数は、1000発後半~2000発くらいあるとみられています。これは、日本の防衛拠点や重要インフラを何回も叩けるくらいの量ですこれまでのミサイル防衛ではとても対応しきれるものではありません。これに対処するのが、今議論されている「反撃能力」なのです。

飯田)撃たせないという。

峯村)それもそうですし、撃たれたらやり返せる能力です。「撃たせない」というのはもう無理です。

飯田)撃たせないということは。

峯村)「撃たれたときにどうするのか」というところです。撃たれた場合は相手にもダメージを与える能力をもっておくことで、「相手の好きなようにさせない」という抑止しかもうないのです。反撃能力がいいか悪いかという話ではなく、やりたいかやりたくないかでもありません。

飯田)そうですね。

峯村)他にやり方があればいいのですけれども、敵国のミサイルによって、日本の空港などを破壊されても、ミサイルによって相手方の空港を攻撃することで、航空優勢を奪われないようにすることが不可欠です。そのための予算がいくら必要なのかということです。

1日、中国・北京の天安門広場で開かれた中国共産党創立100年を記念する式典で演説し、拳を突き上げる習近平党総書記(国家主席)[中国政府のニュースサイト「中国網」の中継動画より]=2021年7月1日 写真提供:時事通信

意図的に敵国の衛星写真に模型の艦艇や飛行場などを写して脅しを掛ける中国

飯田)本当に具体的に狙われているのだなと思ったのは、日経新聞が出していましたけれども、衛星写真の分析に関する報道です。浜松基地に置いてあるE767と同形状の構造物が、新疆ウイグル自治区の砂漠に置いてあるということです。メールもいただいております。神奈川県綾瀬市の“みやちゃん”さん、51歳のドライバーの方からです。「横須賀海軍基地を模して、ミサイル演習をしている様子も報じられました。とても不安になります」ということです。神奈川県の方ですから、他人事ではないという。「北朝鮮もミサイルを撃ち上げると思うので、日米韓の対応に期待しています」ということです。

峯村)神奈川の方がおっしゃっていた横須賀基地の報道は、2019年に私が報じた記事のことですね。それと今回のE767も同じ流れなのです。中国軍の内部文書をいくつか見ると、軍事的な緊張が高まった場合、意図的に敵国の衛星写真に模型の艦艇や飛行場などを写して、脅しをかけるということが書かれている文言があります。そういう脅し、本気度を示すということが1つです。

飯田)意図的に写して。

峯村)もう1つ、実際に各国の軍の人らと意見交換をしていると、中国軍は実際に標的を壊していると言うのです。そういうことを考えると、やはり精度を上げるための訓練も真剣にやっていると見ていいと思います。

飯田)精度を上げるために。

峯村)いずれにしても、こういう写真が出るような場合、偶然撮れているわけではありません。本気で中国が台湾有事に向けたエスカレーション、緊張の階段を上っているところなのだと見るべきです。

脆弱な日本の基地

飯田)やられたときにどうするのかということや、航空機を守るためには掩体壕に入れておいた方がいいのではないかという意見も含め、これから先の課題になりますね。

峯村)そうですね。台湾ではミサイルからも防護できるようなシェルターに航空機を入れたり、台湾の東側にある断崖絶壁のところを、地下へ掘って入れたりすることも考えています。ところが沖縄の那覇基地は……。

飯田)建屋のなかに航空機が整備されているという感じです。

峯村)あの建屋も風よけでしかなく、ミサイルは避けられません。空港に関して言うと、普通に民間機が飛んでいる一般的な空港ですから、数発のミサイルですぐにやられてしまいます。そういうことを考えると、早急にその辺りの強靭化をしなければいけない状況にきています。

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